2010年国内パソコン出荷概要

2011年02月03日

■出荷台数は過去最高を更新、出荷金額も10年振りに増加
■NECが僅差で首位を維持、2位の富士通とは1万台差
■2011年は小幅減少。タブレット、スマホなど新端末と競争

 ㈱MM総研は2月3日、2010年暦年(10年1月~12月)の国内パソコン出荷実績を調査、結果を発表した。それによると、国内パソコン市場は、出荷台数で前年比17%増の1,527.1万台となり、95年の統計開始以来、過去最高の出荷台数となった 。出荷金額はネットブック(小型低価格ノート)の出荷構成比が減少、一体型デスクトップやA4ノートの構成比が上昇したことから平均単価は8.9万円と前年並みに下げ止まり、前年比17%増の1兆3,579億円となった。出荷金額の増加は2000年以来10年振りとなる。


■市場動向

 個人市場向けの出荷ルートである「個人系ルート」は、前年比12.7%増と伸長。これまでの過去最高であった2009年を超え、3年連続で過去最高の出荷台数を更新した。原動力は2009年10月に登場した新OS Windows7の登場。これにより買い増し購入が多かったネットブックから買い替え需要にシフトし、一体型デスクトップやA4型のスタンダードノートの出荷台数が拡大した。平均単価は、ネットブックの減少により全体としては下げ止まっているが、円高を背景に各メーカーが積極的に一体型デスクやA4ノートの価格を下げ、ネットブックから需要を誘導したことも影響した。

 企業市場向けの出荷チャネルである「法人系ルート」は、前年比21.5%増と大幅増となった。特に2010年1~3月期は政府の補正予算により、全国の小中学校へのPC導入が進み、約50万台の押し上げ効果があった。さらに2010年10月にはWindowsXP搭載のメーカーPCの供給終了に伴う駆け込み出荷もあり、これがリーマンショック後の法人のPC投資回復に伴い、20%を超える伸びにつながった。


■レノボ・NECグループ合計で25.6% のシェア 

 メーカーシェアは、首位NECと2位富士通では出荷台数で1万台、シェア0.1ポイント差と僅差となった。富士通はドイツの持分法子会社を連結子会社化して以降、サーバービジネス同様に販売ボリュームの拡大に邁進。NECを激しく追い上げていた。一方、合弁会社の設立を発表したレノボ・NECグループの合計シェアは、2010年は25.6%となり、2位との差が広がることとなる。

 両社の発表によると当面、製品ブランド・会社ともに別での運営となるものの、合弁により国内30%のシェアをめざすとしている。ただし、現時点では事業効率化に伴う価格競争力の向上などの統合効果がどの程度現れるかは、未知数な点が多い。パソコンは製品のコモディティ化により差別化が難しい市場とされるが、それだけに合弁によるメリットを価格・機能・品質・サービスといった主要な要素に反映し、市場に還元できるかが課題となろう。

 
■2011年は前年比6.4%減の1,430万台と予測

 11年の国内パソコン市場は、個人市場、法人市場とも減少、全体では前年比6.4%減の1,430万台を見込む。1~3月期のスクールニューディールの反動、入れ替えの一巡といった点で過去最高の出荷を記録した10年の反動で台数規模はやや伸び悩むと見られるが、それでも堅調な買い替え需要に支えられて年間の出荷台数は、10年に続き、過去2番目の規模となる。テレビ、スマートフォン、タブレット型デバイス、携帯ゲーム機・書籍端末などインターネット接続端末が多様化するなかで、パソコンも即時起動、操作性の向上、クラウド活用といった進化(真価)が問われる1年となるだろう。


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