ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2014年3月末時点)

2014年05月28日

■ 2013年度のFTTH年間純増数は155.3万件と前年度並みの伸びを維持
■ モバイルがブロードバンドの6割を超え、2015年度には1億件突破へ
■ 2014年度末のFTTH契約数は2,675万件と5.3%の成長を予測

 MM総研(東京都港区 代表取締役所長:中島洋)は5月28日、2013年度(2013年4-2014年3月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2013年度末(2014年3月末)時点のFTTH(光回線サービス)の加入件数は2,540.1万件で前年度末比155.3万件(6.5%)増加した。FTTH市場全体の年間純増数としては前年度(154.8万件)並みの伸びだったが、KDDIの純増数は前年度に比べ4割減となった。モバイル端末や高速モバイル通信利用者の急拡大で固定回線の需要が鈍ってきており、MM総研としてはFTTHの成長も2014年度は5.3%増とやや鈍化を予測する。

■ KDDIのFTTHが12.8%の増加、NTT東日本の純増は前年度を上回る

 NTTのフレッツ光は2014年3月末の東西合計の加入件数が1,805万件で、FTTH市場におけるシェアは合わせて71.1%。2013年3月末から1.5ポイント減少した。

 NTT東日本は月額利用料を24ヵ月間割り引く「思いっきり割」のキャンペーンを中心に新規の顧客獲得と解約抑止を進め、2014年3月末の契約数は1,018.7万件(シェア40.1%)となった。年間純増数は43.7万件で前年度の39.7万件を上回った。
 2014年度はコンシューマ向けの1Gbpsサービスや3月から提供開始した「フレッツ 光ネクスト プライオ」の利用者向けIP-VPN「フレッツ・VPN プライオ」などの新サービスにより競争力を高める。

 NTT西日本は、「どーんと割」や「Web光もっともっと割」などの長期利用割引施策を継続的に展開し、2014年3月末の契約数は786.3万件(シェア31.0%)となった。年間純増数は31.3万件で前年度(33.9万件)をやや下回った。
 次世代STB「光BOX+」を活用したアライアンスなど、「スマート光ビジネス」を積極的に進め、2014年度中に800万件達成をめざす。

 KDDIグループは「auスマートバリュー」を引き続き展開。2014年3月末323.6万件(シェア12.7%)となった。年間で12.8%と高い伸び率を示したが、純増数は36.6万件と前年度の60.2万件から4割減少した。
 auスマートバリューでは提携事業者を継続して増やすほか、子会社ケーブルTVとのクロスセルも進めてマルチネットワークによるインターネットビジネスを拡大していく。

 関西地域を中心に展開するケイ・オプティコムは、課金開始月より3ヵ月間の料金を無料にする「スタートダッシュ割」など、料金施策の継続展開で獲得を進めた結果、2014年3月末で148.4万件(シェア5.8%)となった。
 2014年6月からは、KDDIの回線を利用したLTE・音声通話・スマホを低価格で提供する「mineo(マイネオ)」を販売開始。2014年度10万件を目標にモバイルで全国展開をする。

 丸紅アクセスソリューションズとの合併に伴いUCOMから社名を変更したアルテリア・ネットワークスは、2014年3月末56.3万件(シェア2.2%)となった。首都圏を中心にマンションにおける全戸一括加入型の受注増加により、契約数を伸ばした。
 2014年4月にはMEMS(マンションエネルギー管理システム)のアグリゲータに採択されたことを受け、電力一括受電サービス「とくエネ」など付加価値の提供を一層進める。

 NTTは2014年5月、NTT東西で提供している「フレッツ光」を他社に卸売りする「光コラボレーションモデル」を発表した。これにより、通信事業者をはじめとする様々なプレイヤーがNTTからサービス卸を受け、自社サービスとして光アクセスサービスを提供できるようになる。これまでフレッツ光の販売代理店だった多くの事業者も参入が可能となるため、業界構造にも大きな影響を与える可能性がある。モバイル通信サービスの台頭でやや下火になっていた固定ブロードバンド市場再燃のきっかけになるか、今後の経過に注目が集まる。

 



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