国内MVNO市場規模の推移(2019年9月末)

独自サービス型SIM契約数は前年比16.8%増加

2019年12月05日

■ 独自サービス型SIMの回線契約数は前年比16.8%増の1,405.0万回線
■ 携帯電話(3GおよびLTE)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は7.8%
■ 事業者別シェアは楽天が16.2%で1位。UQコミュニケーションズが2位
■ MVNE提供分を含む保有回線数ではインターネットイニシアティブがトップ
■ 楽天のMNOサービス参入でMVNO市場は大きな余波が不可避

 MM総研(東京都・港区、所長・関口 和一)は12月5日、国内MVNO市場の2019年9月末時点での実績を発表した。独自サービス型SIMの回線契約数は1,405.0万回線となり、前年比16.8%増を記録した。また、携帯電話(3GおよびLTE)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は7.8%に高まった。

※独自サービス型SIMはプリペイド契約の数値を含まない

独自サービス型SIMの回線契約数は1405.0万回線

 独立系MVNO事業者がSIMカードを活用し、独自の料金プランで提供する独自サービス型SIMの回線契約数は、2019年9月末で1,405.0万回線となった。1年前の2018年9月末時点から16.8%増加したことになる。

携帯電話契約数に占める独自サービス型SIM比率は7.8%、伸びは鈍化傾向 

 19年9月末時点の携帯電話(3GおよびLTE)契約数は1億7936.6万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話(3GおよびLTE)市場全体から見ると構成比で7.8%となった。2017年9月末以降、伸び率は緩やかに鈍化している。
 10月の電気通信事業法改正と消費税増税を前に大手キャリア(MNO)において駆け込み需要が起き、それに伴い中期的にはMNOからMVNOへの流入はさらにブレーキがかかる事が予想される。

楽天とUQコミュニケーションズがシェア伸ばす

 19年9月末時点でMVNO市場の事業者シェア1位は楽天モバイル。2位はUQ mobileを提供するUQコミュニケーションズ。3位はIIJmio・BIC SIMなどを提供するインターネットイニシアティブ。以下、OCNモバイルONEなどを提供するNTTコミュニケーションズ、mineoを提供するオプテージ、BIGLOBEモバイルを提供するビッグローブとなった。 

 市場全体の伸びが鈍化するなか、18年9月に比べシェアが拡大したのは1位の楽天モバイルと2位のUQコミュニケーションズの2社。楽天モバイルは家電量販店等の取扱店舗数を増やしたのが奏功した。19年10月よりMNOサービスとして5,000人を対象とした「無料サポータープログラム」を提供開始しているが、従来のMVNOサービスについても並行して提供を続ける。なお、本調査では9月に事業承継したDMM mobileについては楽天ブランドに統合されるまでは独立して集計する。

 UQコミュニケーションズは端末ラインアップの拡充とTVCMの強化によって着実に獲得を伸ばし、シェアを拡大している。今後はUQ WiMAXとのセット割やau ID連携によるKDDIグループの囲い込み施策によって、更なる回線数の伸びが予想される。同じKDDI傘下であるビッグローブやJ:COM MOBILEを提供するジュピターテレコムも端末調達面などのアドバンテージを活かして獲得を伸ばしており、今後もKDDIグループのシェア拡大が続くだろう。一方で、キャリア傘下ではない独立系MVNO事業者は苦戦を強いられる状況が続く。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)とNTTコミュニケーションズは、MVNEとして数十万規模の回線を提供しており、MVNE回線を含めた総回線数で見ると市場における両社のシェアは依然として高い。IIJはフルMVNOによるeSIMサービスの提供を開始しており、今後のeSIM端末普及がシェア拡大の機会となり得るだろう。

※各社ともにMVNEとしての契約数は含まない

 

春商戦以降の市場の活性化に期待

 独自サービス型SIM市場は24年3月末時点には2,855万回線に達すると予測。楽天はキャリア参入に伴いMVNO回線獲得がストップし、自社MNO回線への移行が進むことなどから、同市場は20年度以降個人向けスマホ用途としての成長スピードはさらに鈍化する模様。一方で、IoT向けの需要拡大が進むことから、MVNO市場全体では堅実な成長が見込める。24年3月末時点のIoT向け回線比率は47.3%に達すると予測する。

 10月の法改正・消費増税を前にMNOの駆け込み需要が発生した影響で、10月以降はMVNOを含めたモバイル市場全体が停滞している。大手キャリアとY!mobile、UQ mobileも学割の提供を開始したが、本格的な需要の回復は来年の春商戦期頃になると予想される。

 注目の楽天MNOサービスは、当初開始予定であった19年10月はユーザー数限定のスモールスタートにとどまった。本格参入は来春以降となる可能性が高い。楽天のMNOサービスがどれだけのユーザーを惹きつけるのか、プラン内容によって市場に大きな変化が訪れるだろう。

 

 


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