Web統合電話帳アプリケーション市場の概況 (2018年末)

2019年05月08日

■ 2018年12月末の市場規模は、前年比24%増の145万ライセンスに拡大

■ 事業者別ではPhone Appliがライセンス数シェアで82.8%を獲得

■ 中堅中小企業や官公庁にまで裾野は拡大、2020年末で210万ライセンスを予想

  MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、主要なソリューション事業者へのヒアリング調査等をもとに、企業内の様々なコミュニケーションツールの統合・連携を実現するWeb統合電話帳アプリケーション(※)の市場規模及び事業者シェアをまとめた。調査結果では、2018年12月末時点のWeb統合電話帳アプリケーション(以下、Web電話帳)のクライアントライセンス数は2017年12月末時点の116.9万に比べ24%増となる145万に拡大した。

 「働き方改革」の実現に向けた取り組みが業種や企業規模を問わず広がりを見せている。その動きの中で、業務効率や生産性向上の一環として大企業を中心にWeb電話帳の導入が進んでいる。特にスマートデバイスの導入やコミュニケーション基盤の更新、事業所移転などの機会に導入するケースが増加している。企業内利用が進むチャットや名刺管理などの機能に加え、SFA(営業支援システム)などの他の業務システムとの連携など、Web電話帳の活用ニーズが拡大している。

 市場拡大は働き方改革を推進する大企業がけん引しているが、ここ1~2年で中堅中小市場、さらには官公庁でも導入の動きが広がりつつある。人手不足の中で業務効率化は喫緊の課題であり、コミュニケーションの効率化を手軽に実現できるWeb電話帳へのニーズは今後も続くものと見られる。こうした状況からMM総研では2019年末のクライアントライセンス数を175万ライセンス、2020年末には210万ライセンスに拡大するものと予想する。

【データ1】Web統合電話帳アプリケーションの市場規模及び予測 (※2018年12月末)

     ※2019年12月末以降はMM総研予測値

【データ2】Web統合電話帳アプリケーションの事業者シェア(※2018年12月末)

Phone Appliが市場シェア(クライアントライセンス数)82.8%を獲得

 Web電話帳市場でトップシェアに立つのが㈱Phone Appli(以下、フォンアプリ)である。同社が提供するクラウド電話帳サービス「連絡とれるくん」の2018年12月末時点のクライアントライセンス数は前年比27%増となる120.1万に拡大、市場シェアで82.8%を獲得した。導入顧客はITサービス、金融、商社、製造、流通などの大企業が中心。近年では多種多様なサービス業や医療、官公庁・自治体関連、中堅中小企業など顧客層が急速に広がっている。同社のWeb電話帳は、シスコシステムズのコミュニケーション基盤との豊富な連携実績に加え、主要な国内事業者の音声基盤(IP-PBX)に対応。マイクロソフト、セールスフォース、ビジネスチャットのLINE WORKSなどとの連携も実現するなど、多様な顧客ニーズに対応できる点が高く評価されている。充実した販売チャネルも同社の強みだ。IP-PBX製品を取り扱う大手ソリューションベンダーなどに加え、大手通信事業者や中堅中小市場を得意とするIT系の販売店などが販売パートナーとなっている。

 フォンアプリのWeb電話帳を導入することで、社内外の連絡先を一元管理し、連絡を取りたい時に、取りたい相手と簡単につながることができる。直感的で使いやすいユーザーインターフェースや充実した検索機能に加え、名刺管理機能など様々なコミュニケーション製品と連携できる点も高い評価を得ている。機能拡充が日々進む中で、価格は1ユーザー300円からの月額制にすることで、より小規模な企業や部門単位での導入も進んでいる。大企業だけなく、中堅中小企業からの引き合いは増加傾向にあり、フォンアプリでも営業やサポート体制の拡充を継続的に進めている。今後も、働き方改革の実現など顧客の企業文化の変革や企業価値の向上を支援するソリューションの提供に注力していく方針だ。

 2位は日本証券テクノロジー㈱で、2018年12月末時点のクライアントライセンス数は前年比14%増の19.6万となった。2018年は新規の大口案件に加え、既存顧客のカスタマイズ対応などが実績拡大につながった。高い信頼性が求められる金融業界向けで数多くの導入実績を持つ点が強みで、顧客からも高い評価と信頼を得ている。この実績の積み重ねが新規顧客の獲得や既存顧客の拡張案件にもつながっている。顧客層も金融だけでなく、医療・公共も含め幅広い業種に広がるなど顧客基盤を拡大させている。

 同社が提供するWeb電話帳アプリケーション「NSTechno-phone Manager」は、シスコシステムズなど主要事業者の電話基盤と連携したCTIソリューション(Computer Telephony Integration)である。IP電話とPCネットワークの融合を実現・強化している点が特徴だ。多様なIP電話の機能をPC画面上に集約、クリック発信や着信時の発信者情報の表示、プレゼンス機能、チャット機能など豊富な機能を備えている。簡単な操作性も魅力で、マニュアルがなくとも直感的に画面を操作できる。これに加え同社の強みとなっているのが、顧客からの要望に柔軟に対応できるSI力だ。直近の顧客ニーズではSFA/CRMなどとの連携ニーズが高まっている。Web電話帳単独の導入案件も増えるが、同時に顧客からのカスタマイズニーズもさらに増えてくる可能性は高い。日本証券テクノロジーでは多くのカスタマイズ案件に対応してきた実績やノウハウをベースにこうした連携ニーズへの対応を引き続き強化していく方針だ。

 同社ではWeb電話帳を個人情報のデータベースと捉え、様々なシステムに分散しがちな顧客や社員情報を集約し、システム間を連携させるハブと位置付けている。Web電話帳を中核にしたシステム連携を図ることで、業務効率化や生産性向上が一層進むとしている。今後もWeb電話帳の機能強化やシステム連携ニーズへの対応など、個々の顧客ニーズをかたちにできるSIサービスを武器にしたビジネス展開を図っていく。

 3位の富士通㈱のクライアントライセンス数は前年比7%増の3万。富士通ではWeb電話帳ソフト「FUJITSU Network ContactFind」に加え、2018年10月よりWeb電話帳アプリケーション「LEGEND-V CP」の発売を開始した。2017年10月に発売した小規模向けIP-PBX「FUJITSU Network LEGEND-V S100」に対応したWeb電話帳となる。PC、スマホ、タブレットで利用でき、電話帳検索、プレゼンス表示、電話発信機能などを搭載。マイクロソフトのO365に対応し、LEGEND-V CPからSkype for Businessの機能(Web会議、IM)を開始することもできる。PHSや固定電話機などのレガシー端末にも対応し、PCとレガシー端末を連携させることで、電話帳検索、プレゼンス表示、電話発信機能も可能だ。2019年4月には中・大規模向けIP-PBXの「FUJITSU Network LEGEND V」に対応した「LEGEND-V CP」の発売も開始した。

 富士通では大企業を中心に進む働き方改革を支援していく上で、Web電話帳は主力のSIビジネスに付加価値を与えるアプリケーションの一つと捉えている。Web電話帳自体の認知度や利用企業が増加する中で、今後も需要は拡大するものと見ており、働き方改革が進む大企業向けの提案に注力していく方針である。

2019年末に175万ライセンス、2020年末で210万ライセンスに拡大へ

 MM総研の分析では、2019年末のWeb電話帳の市場規模(クライアントライセンス数)は175万ライセンス、2020年末時点で210万ライセンスに拡大するものと予測する。大企業を中心に、スマートデバイスの導入やコミュニケーション基盤の更改、本社移転に合わせて導入するケースが増加しており、今後もこの傾向が続くと予想される。実際に上位3社の2019年に入ってからの商談も引き続き増加しているという。

 Web電話帳に対する導入企業の満足度は高く、自社にとどまらず子会社やグループ会社までを含めた拡張への動きが広がっている。他のシステムとの連携案件も増加しており、企業のコミュニケーション基盤の一つとしてのWeb電話帳の存在感は年々高まっているといえる。大企業だけでなく、中堅中小企業や官公庁・地方自治体など市場の裾野も年々広がりを見せている。こうした顧客層では初期投資が比較的少なく、手軽に導入できるクラウドでの利用が拡大していくものと予想される。

 労働力人口が減少する中で、企業規模や業種を問わず、業務効率化や生産性向上、コミュニケーションの活性化は重要な経営課題となっている。この課題解決につながる実効的なソリューションとしてのWeb電話帳の導入・活用の動きは引き続き拡大していくだろう。

※Web統合電話帳アプリケーションの定義

・IP-PBX/SIPサーバー等と連携し、電話番号、メールアドレスなどの電話帳を、固定電話やモバイル端末(PC、スマートフォン、タブレット端末など)などから、社内・社外を問わず、利用できるようにするWebベースの電話帳アプリケーションであること。
・電話帳の画面上で、電話、メール、プレゼンス確認、インスタントメッセージ、Web会議などのコミュニケーションツールと連携できる機能を持っていること
・Web上での電話帳データの共有管理・一括管理に機能が限定されたソフトウェアは含まない。
・PBX等の一機能として提供されているものは除く

 

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