クラウド会計ソフトの利用状況調査(2019年3月末)

2019年04月11日

■ クラウド会計ソフトの利用率は2018年3月調査の14.7%から18.5%に拡大

■ クラウド会計ソフトの事業者シェアでは弥生が57.0%、マネーフォワードが21.5%

■ 個人事業主の約6割を占める会計ソフト非利用者の開拓が課題

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施し、2019年3月末時点のクラウド会計ソフトの利用状況をまとめた。本調査では、平成30年(2018年)分の確定申告を実施した個人事業主(1万3,172事業者)を対象とした。調査結果から会計ソフトを利用している個人事業主は32.5%だった。そのうちインターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト(※1)の利用率は18.5%で、前回の2018年3月調査の14.7%から3.8ポイント増加しており、クラウド利用の拡大が裏付けられた(図表1・2)。クラウド会計ソフトの事業者別シェアでは、「弥生」が57.0%、次いで「マネーフォワード」が21.5%、「freee」が18.2%となり、上位3社で96.7%を占めた(図表4)。

 一方で、会計ソフトを利用していない個人事業主の比率は62.5%と、個人事業主の半数以上が手書きや表計算ソフトなどを利用している。こうした層をいかに開拓していくかが、会計ソフト事業者の継続的な課題となっている。今後、税制改正や行政手続きの電子化が進む中で、電子申告や電子帳簿保存に対応した会計ソフトの導入が進む可能性もある。会計ソフト事業者にとっては新規顧客の開拓と、クラウド会計ソフトの利用者拡大に向けた大きな事業機会となり得るだろう。

※1. クラウド会計ソフトとは、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用できるソフトのこと。
パソコンに会計ソフトをインストールしたもの、会計データのみをインターネット上に保管するソフトは含まない。

クラウド利用は会計ソフト利用者の18.5%に拡大

 多くの個人事業主は1月~12月の1年間の「所得」を確定させ、翌年2月から3月にかけて税務署に「申告」する、いわゆる「確定申告」を行っている。1月、2月は会計ソフトやクラウド会計ソフトを導入・変更する1年で最大のタイミングとなる。第7回目となる今回の調査(2019年3月調査)では、2019年2月から3月にかけて確定申告を実施した個人事業主 (1万3,172事業者)を対象とした。

 上記の条件に当てはまる個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施したところ、「会計ソフトを利用している」との回答は32.5%(4,282事業者)となった(図表1)。この会計ソフト利用者に、利用している会計ソフトを確認したところ、パソコンにインストールして利用するPCインストール型の会計ソフト(※会計データのみをクラウド上で保管するものを含む)が72.3%を占めた。クラウド会計ソフトを利用している個人事業主は18.5%で、2018年3月調査時の14.7%から3.8ポイント増加した(図表2)。

 個人事業主向けの市場において、クラウド会計ソフトは着実に利用者を増やしているが、まだ市場は小さく、さらに開拓できる余地は残っている。ただ、市場の70%以上を占めるPCインストール型の会計ソフトの中には、クラウド連携し、クラウド会計ソフトと同等の利便性を備えているものもある。そのため、PCインストール型の会計ソフト利用者の中には、クラウド会計ソフトにこだわらない利用者層が増えている可能性もある。

 一方、「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は62.5%(8,230事業者)となった(図表1)。この非利用者に会計ソフトの代わりに利用しているものを確認したところ、「市販の出納帳/帳簿、ノートなどへの手書き」が42.0%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が35.9%で、次いで「税理士や会計事務所への外部委託」が14.8%となった(図表3)。会計ソフトを利用しない理由としては、事業規模が小さく、会計ソフトを必要としていない、会計ソフトに費用を掛けたくないなどといった理由が多く聞かれた。

「弥生」がトップシェアで57%、「マネーフォワード」、「freee」の順で続く

 クラウド会計ソフトを利用している個人事業主に、実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答してもらったところ、事業者別では「弥生」が57.0%で最も多く、「マネーフォワード」が21.5%、次いで「freee」が18.2%となった(図表4)。

※対象ソフト

・弥生              ・・・「やよいの青色申告 オンライン」、「やよいの白色申告 オンライン」
・freee         ・・・「クラウド会計ソフト freee」
・マネーフォワード  ・・・「マネーフォワード クラウド確定申告」
・全国商工会連合会・・・「ネットde記帳」


 トップシェアの57.0%を獲得した「弥生」は2018年3月調査時の55.4%からシェアを1.6ポイント上げている。3月調査の推移では2016年3月の調査開始以来、常にトップシェアを維持しており、個人事業主から安定した評価を獲得している。2位の「マネーフォワード」は、2018年3月調査時の21.1%からシェアを0.4 ポイント上げ、21.5%となった。「freee」は2018年3月調査時の16.5%から今回調査では1.7ポイント増となる18.2%とシェアを上げている。

 2018年3月調査時の上位3社の合計シェアは93.0%であったが、今回の2019年3月調査では96.7%に拡大した。個人事業主におけるクラウド会計ソフト市場は半数以上を占める「弥生」が市場をけん引し、さらに「マネーフォワード」、「freee」などのベンチャー系事業者が加わった上位3社による寡占状態が続いている。

電子申告・電子帳簿への対応が会計ソフト導入の追い風に

 会計ソフトにおけるクラウド化率は年々上昇傾向にあり、2016年3月調査時の9.2%から、今回の2019年3月調査では18.5%にまで拡大した。会計ソフト事業者による機能強化や操作性の向上、利用者拡大に向けた営業・プロモーション活動など様々な取り組みが奏功した結果と言える。ただし、個人事業主全体でみれば、会計ソフトそのものを利用していない層が全体の62.5%と多数を占めている。会計ソフトを利用しない理由としては、事業規模が小さいので会計ソフトを必要としていない、会計ソフトに費用を掛けたくないなどの理由が多く聞かれた。会計ソフト事業者にとってこうした層をいかに開拓していくかが、継続的な事業課題となっている。

 2018年度の税制改正により、2020年分(2020年1月~12月)の確定申告から、青色申告特別控除の金額が65万円から55万円に減額されることが決まった。ただし、確定申告書をインターネットで提出する(e-Tax)か、もしくは電子帳簿保存に対応したソフトを導入すれば65万円控除となる。こうした税制改正による影響が広く認知されれば、この機会に会計ソフトの導入を検討する個人事業主も増える可能性がある。その際に、クラウド会計ソフトも選択肢に入る可能性があり、会計ソフト事業者にとっては更なる利用者拡大に向けた大きな事業機会となり得るだろう。

■調査概要 

1. 調査対象:個人事業主/平成30年(2018年)分の確定申告実施者
         ※確定申告期間:2019年2月18日(月)から3月15日(金)
2.回答件数:1万3,172事業者
3.調査方法:Webアンケート
4.調査期間:2019年3月19日~27日




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