クラウド会計ソフトの利用状況調査

 

2016年01月18日

■ 個人事業主の会計ソフト利用率は33.2%、その内、クラウド会計ソフトは8.1%
■ クラウド会計ソフトの事業者別シェアは弥生が50.5%、Freeeが24.9%
■ 起業・独立直後や事業継続年数が若い事業者ほど、クラウド利用意向が高い

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、個人事業主(2万2,125事業者)を対象にWebアンケート調査を実施し、クラウド会計ソフトの利用状況をまとめた。調査結果から、会計ソフトを利用している個人事業主は33.2%で、そのうち、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト(※1)の利用率は8.1%となった(図表1)。利用しているクラウド会計ソフトの事業者別シェアでは、「弥生」が50.5%、次いで「freee」が24.9%となった(図表2)。

 クラウドサービスの利用は中小企業や個人事業主にもその裾野を広げている。その中でも、クラウド会計ソフトは、パソコンにインストールして利用する従来型のパッケージソフトに比べ、クラウドならではの利便性の高さから認知が広がっている。本調査結果でも、個人事業主の認知度は57.5%と過半数を超えており、今後も高くなっていくことが予想される。

 クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主に今後の利用意向を確認したところ、「今後利用したい」(7.8%)と「どちらかといえば今後利用したい」(29.7%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用意向率は37.5%(図表3)となった。この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が54.8%で最も多く、事業継続年数が若いほど利用意向率が高い結果となった(図表4)。起業や独立、事業の拡大をめざす、事業継続年数が若い個人事業主ほど、クラウド化への抵抗感が少なく、既存の会計ソフトをスイッチする負担も少ないと推察されることから、これらの層を中心にクラウド会計ソフトの導入が進んでいくだろう。

会計ソフトの利用形態はPCインストール型が80.3%、クラウド型が8.1%

 総務省統計局がまとめた平成26年(2014年)7月1日時点のわが国の企業数等は約410万。このうち、個人事業主は約209万で全体の51%を占め、我が国における経済の重要な一翼を担っており、我が国のクラウド化の動向を追う上でも一つの重要な指標となる。本調査では、個人事業主のクラウド化の動向を分析するにあたり、クラウド会計ソフトの導入利用状況に焦点を当てている。会計ソフトを対象としているのは、バックオフィスの業務としてほぼ全ての個人事業主に発生する業務の一つが「会計業務」であるためだ。

 また、個人事業主に関しても、平成27年(2015年)分の確定申告を行う予定の個人事業主を対象にしている。多くの個人事業主は1月~12月の1年間の「所得」を確定させ、翌年2月から3月にかけて税務署に「申告」する、いわゆる「確定申告」を行っている。ただ、個人事業主といっても休眠状態や確定申告の義務が発生しないケースなどもある。そのため、本調査では2016年2月から3月にかけて確定申告を行う予定の個人事業主を対象としている。

 上記の条件に当てはまる個人事業主(2万2,125事業者)を対象にWebアンケート調査を実施したところ、「会計ソフトを利用している」との回答は33.2%となった。「会計ソフトを利用していない」が54.4%で最も多く、会計ソフトの代わりに、手書きやExcelなどの表計算ソフトの利用、税理士・会計事務所へ委託しているなどがある。会計ソフトを利用している個人事業主(7,346事業者)に、利用している会計ソフトを確認したところ、パソコンにインストールして利用する従来型の会計ソフト(※会計データのみをクラウド上で保管するものを含む)が80.3%を占めた。クラウド会計ソフトを利用している個人事業主は8.1%となっている(図表1)。

会計ソフト大手の「弥生」が事業者別シェアで50.5%を占める

 クラウド会計ソフト利用者に、実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答したもらったところ、事業者別では「弥生」が50.5%で最も多く、次いで「freee」が24.9%、「マネーフォワード」が9.8%、「全国商工会連合会」が7.7%となっている(図表2)。

 事業者シェアが最も高かった弥生は、2014年1月から「やよいの白色申告 オンライン」を、2014年10月から「やよいの青色申告 オンライン」を提供。2位のfreeeは、2013年3月から他社に先駆け「freee」の提供を開始、クラウド会計ソフトの市場立ち上げに貢献、新興企業ながらも会計ソフト市場での認知度を高めている。本調査結果ではクラウド会計ソフトの提供としては後発の弥生が多くのシェアを獲得している。弥生はPCインストール型の会計ソフトにおける提供で長い実績もあり、個人事業主における知名度の高さが、クラウド会計ソフトにおける利用者の拡大にもつながっていると推察される。

事業継続年数が若い個人事業主ほどクラウド会計ソフトの利用意向が高い

 クラウド会計ソフトの利点は、複雑な勘定科目を自動で判別してくれる機能があり、銀行やクレジットカードなどの外部データも自動で取得して仕訳してくれる点だ。ネット環境さえあれば、どこでも利用でき、データも自動でバックアップしてくれる。消費税率変更などの法改正にもインターネットを通じた機能のアップデートで迅速に対応できる。こうしたメリットは、会計ソフト事業者がクラウド対応の会計ソフトの拡充を進めることによって、着実に個人事業主の間にも浸透している。今回の調査でも、クラウド会計ソフトの認知度を確認したところ、「知っている」との回答は全体(2万2,125事業者)の57.5%に達した。クラウド会計ソフト事業者間の顧客獲得競争が本格化する中で今後も認知度は上がり続けるものと推察される。

 今後の個人事業主におけるクラウド会計ソフトの導入意向を分析するにあたり、クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(1万1,231事業者)に今後の利用意向を確認した。「今後利用したい」(7.8%)と「どちらかといえば今後利用したい」(29.7%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は37.5%となった(図表3)。


 この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が54.8%で最も多く、2年以上5年未満が43.9%、5年以上20年未満が36.2%、20年以上が32.7%と、事業継続年数が若いほど利用意向率が高い結果となった(図表4)。起業や独立、事業の拡大をめざす比較的事業継続年数の若い個人事業主ほど、クラウド化への抵抗感が少なく、既存の会計ソフトをスイッチする負担も少ないことが、導入意向の高さにつながっているものと見られる。


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■調査概要

1. 調査対象:平成27年分の確定申告を予定している個人事業主
2. 回答件数:2万2,125事業者
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査期間:2015年12月11日~13日

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