「コミュニケーションロボット」に関する一般消費者意向(2015年10月)

 

2015年10月20日

■ コミュニケーションロボットの認知度は68.4%
■ 購入意向は14.7%で、購入意欲の刺激が課題
■ 求める形状やサイズは多様化する傾向
■ 介護現場、交通機関、エンターテインメント施設等への導入に期待が高い

MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)はコミュニケーションロボットの一般消費者意向に関する調査結果を発表した。本リリースにおけるコミュニケーションロボットとは、日常生活において、人間とコミュニケーションすることにより、話し相手や情報提供などのサービスを行うロボットを指し、工場などで特定の動作を繰り返す産業用ロボットは含まない。

■コミュケーションロボットの認知度は68.4%

 一般消費者に対して、コミュニケーションロボットの認知度について質問した結果、「概ね理解している」が18.0%、「言葉を見たり聞いたりした程度」が50.4%、「わからない」が31.6%となり、認知している一般消費者は68.4%という結果になった。認知の程度に差はあるものの、7割弱の一般消費者がコミュニケーションロボットを認知しているという結果になった。



 次に、主要な製品の認知度について複数回答で質問したところ、最も認知度が高かったコミュニケーションロボットはソフトバンクロボティクスが企画・開発を行っている「Pepper」(ペッパー)で、認知度は41.0%であった。次が、ロボガレージが企画・開発した「Robi」(ロビ)の16.2%、3番目はタカラトミーの「Robi jr.」(ロビジュニア)7.2%の順となった。その一方で、いずれのコミュニケ―ションロボットも認知していないが49.7%となった。

■購入意欲の刺激が課題

 今後のコミュニケーションロボットの購入意向については、「1年以内に購入したい」が1.6%、「1年以上先になるが、購入を検討したい」が13.1%、「購入したくない」が85.2%となり、一般消費者の購入意向が現時点では必ずしも高くない結果となった。
 コミュニケーションロボットそのものが一般的に認知されつつある一方で、活用シーンや利便性が不明確でユーザーに訴求できていないことが、背景にあると考えられる。

 また、今後コミュニケーションロボットを購入すると仮定して、支払って良いと思う金額について質問した結果、「10万円未満」が全体の63.3%を占め、「10万円以上50万円未満」は10.5%、「50万円以上」が0.8%、「金額に関わらず購入したくない」が25.3%となった。

■求める形状やサイズは多様化する傾向

 求める形状を質問したところ、最も求められている形状は「人型(頭・胴体・2本の手・2本の足で構成されている)」で33.1%、次が、「動物の形状(犬や猫など)」で22.5%、3番目が「人型に近いが足は台(頭・胴体・2本の手・これを支える台で構成)」で19.2%という結果になった。
 人型に近い形状のニーズが全体の52.3%を占める一方で、人型ではない「動物の形状(犬や猫など)」の項目が22.5%、「キャラクター」の項目が16.5%を示しており、コミュニケーションロボットに対して求められている形状にはバラつきが見られた。



 求めるサイズを質問した結果では最も求められているサイズは「人間の7歳・小学校1年生と同等(身長120cm/重量20kg)」で32.8%、次が「人間の赤ちゃん・生後0ヶ月と同等(身長50cm/重量3kg)」で29.1%、3番目が「人間の赤ちゃん・生後0ヶ月よりも小さい(身長20cm以下/重量1kg未満)」で24.1%となった。特定のサイズに高い支持が集まることはなく、一般消費者が望ましいと考えるコミュニケーションロボットのサイズも求められている形状と同様に多様化する傾向を見せた。

■求める機能別では音声認識がトップ

 求める機能について複数回答で質問したところ、最も求められている機能は「人間の声を認識できる」で56.8%、次が「人間と対話することができる」で53.5%、3番目が「学習能力がある」で50.2%となった。コミュニケーションロボットの基本的な機能である音声認識や対話エンジンを備えていることを条件に挙げた一般消費者が多いという結果になった。
 コミュニケーションロボットがあると良いと思う場所について複数回答で質問した結果、最も多かった回答は「病院・介護施設」で33.2%、次に多かった回答が「駅・空港」で25.9%、3番目に多かった回答が「役所(市役所・区役所など)」で24.3%となった。
 最も多かった「病院・介護施設」については、既に介護施設でコミュニケーションロボットの導入が始まっており、各ロボットベンダーも介護マーケットをターゲットの一つに据えている。また、政府も介護分野へのロボット導入に前向きで、技術革新に迅速に対応することを「ロボット新戦略」で策定している。これにより、コミュニケーションロボットの介護分野への参入障壁が下がるとみられる。 
 次に多かった「駅・空港」については、2020年の東京オリンピックに向けて多言語対応の需要が旺盛になると予測されており、需要に応える一つの方法としてコミュニケーションロボットの活用が望まれていると推察される。

■一般消費者に向けて活用事例を提示できるかが普及のカギ

 本調査を通じて、コミュニケーションロボットの認知度は7割、個別のコミュニケーションロボットの認知度は約半数と認知度は高まっている一方で、購入意向は14.7%に留まっており、一般消費者に対してコミュニケーションロボットを充分に訴求できていないという実態が浮き彫りになった。背景にはコミュニケーションロボットのユースケース(=活用事例)を提供できていないという課題があると考えられ、各ロボットベンダーが市場に対してユースケースを明確に示すことが重要である。もちろん、手が届きやすい価格設定も必須となるだろう。
現時点では、法人や研究機関向けのみで一般消費者向けに販売を行っていない製品や、一般消費者向けの発売に至ってない開発段階の製品もあるため、今後、参入企業の増加や製品ラインナップの拡充に伴って市場が拡大していくと予測される。
 本調査は一般消費者を対象にしたが、自宅以外の各種施設におけるコミュニケーションロボットの活用には需要があることが明らかとなった。一部の企業でもコミュニケーションロボットを活用する動きが出てきている。店舗等で顧客の反応をセンシングするインターフェイスとして利用する、介護現場で介護スタッフに代わって入居者の話し相手になるといった形での活用が既に始まっている。今後は企業のマーケティングやサポート現場における普及が進むことにより、コミュニケーションロボットを活用した新しい接客やサービス提供が期待される。


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■ ユーザー調査概要
【調査方法】 WEBアンケート調査
【調査対象】 2,040人
       15~69歳の男性・女性
【調査時期】 2015年9月
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