2015年度上期国内パソコン出荷概要

2015年11月18日

■上期出荷台数は前年度同期比29.5%減の474.1万台、1999年度上期以来の500万台割れ
■Windows10の市場押し上げ効果は見込めず、15年度通期で1998年度以来の1,000万台割れを見込む

MM総研(東京都・港区、所長・中島洋)は11月18日、2015 年度上期(4~9月)国内パソコン出荷状況の調査結果を発表した。それによると、国内のパソコン総出荷台数は前年度同期比29.5%減の474.1万台、出荷金額は22.9%減の4,136億円となった。
 出荷ルート別では、店頭量販店及び個人向けWeb直販を主力とする「個人系ルート」が23.5%減の203.9万台、法人直販および法人向け販売店への出荷を主力とする「ビジネス系ルート」は33.4%減の270.2万台となった。
 出荷金額は22.9%減の4,136億円で落ち込み幅は台数よりも少なかったものの、20%を超える大きな落ち込みとなった。円安による部品価格の上昇に伴う値上げ、また市場縮小を背景に中高価格帯商品にメーカーがシフトしたことが大幅減の要因。
 メーカー別シェアでは、首位NECレノボグループは27.7%、2位富士通が16.2%となった。富士通は1.8ポイントほどシェアを縮小した。Windows上位メーカーが苦戦するなか6位アップルはシェア7.8%と前年から2.6ポイントシェアを拡大した。不正会計問題が発生した東芝だが、パソコンのシェアには現状悪影響は出ていない結果となった。

 2013年度末から2014年度上半期にかけて発生したWindowsXPの入れ替えに伴う特需で大きく拡大したパソコン市場だが、その反動が発生したことが市場縮小の一番の要因であると考えられる。一方で縮小に歯止めをかけ反転させる起爆剤として期待されたWindows10登場以降も市場は上向いておらず、市場は好転の兆しが見えない。2015年度は年間を通じて低調な状況が続くと予測する。

■2015年度上期のポイント

 2015年度上期の国内パソコン出荷台数は、WindowsXP入れ替え特需の反動が2014年度下期から継続し大幅な減少が続いている。
 市場別では、個人市場向け出荷台数が23.5%減。Windows10の無償アップグレードが開始された2015年7-9月期以降も減少が続いている状況であり、年末商戦に向けても市場が盛り上がってこない状況である。Windows7からの無償アップグレードを1年間限定ながら認めていることでハードウェアの買い替えを控えている動きが広がっているものとみられる。
 法人市場はWindows7が当面主力OSで、短期的にはWindows10の無償アップグレードの影響はほとんど受けていないが、個人市場と同様に厳しい状況が続いている。上期は、33.4%減と大きな減少となり、下期は減少幅が縮小すると見ているが、マイナンバー対応等の他のITテーマや、セキュリティ強化等にユーザー投資が集中することから低調な状況が続くと見られる。

■メーカー別動向

 2015年11月に富士通がパソコン事業の分社化を発表した。東芝の事業再構築、HPの分社化発表と、業界内の事業再構築が続いている。富士通は、特に法人でシェアを落としているが、前年にあった大口案件がなかった反動が発生したためである。個人市場ではアップルが富士通と同率2位とシェアを拡大している。市場の落ち込みが大きく、各社の戦略はシェア拡大を前提とした価格戦略と、ニッチ市場、もしくは独自の価値で顧客を囲い込む付加価値戦略に2分することとなると見られる。

■パソコン市場の展望 

~15年度下期も低調な状況が続き、通期で22%減の984万台を見込む
 前述の通り、Windows10登場以降も、現時点では15年末から年度末に向けてパソコン市場が回復する兆しが見えない。年度通期では984万台と1998年度以来の年間1,000万台割れを見込む。モバイルファースト、クラウドファーストを標榜するマイクロソフトだが、既存のパソコン市場の縮小は弊社予想以上に早く、Windows陣営全体としてモバイル、クラウド、さらにはIoTへの対応を一層加速させていく必要があろう。


 注)本統計対象となる「パソコン」に含まれない製品群
 AndroidOS、iOS等モバイル用途を前提とするOSを搭載し、タッチパネル等の操作を前提とした「メディアタブレット型端末」や「スマートフォン」は本統計に含んでいない。また2013年度上半期統計よりWindows8、WindowsRTを搭載したスレート(板形状)のタブレットはパソコンには含めていない。


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