クラウド給与計算ソフトの利用状況調査

 

2016年03月29日

■ 給与計算ソフト利用者のうち、クラウド型の利用は12.5%
■ 給与計算ソフト購入者の2割以上がクラウド型を選択
■ 「freee」がクラウド給与計算ソフトで首位、約4割のシェアを獲得
■ クラウド給与計算ソフトの導入メリットは、セキュリティの向上とコスト削減

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は3月29日、国内におけるクラウド給与計算ソフト(※1)の利用状況に関して調査結果を発表した。この調査は、従業員300人未満の中小企業等4,168社を対象にWebアンケートを実施して取りまとめた。
 2016年3月現在、中小企業等におけるインストール型を含む給与計算ソフトの利用率は44.0%で、そのうちWebブラウザを使用するクラウド型の利用率は12.5%だった。また直近2年未満の給与計算ソフト購入者においては、セキュリティの向上やコスト削減などを目的としてクラウド型を選ぶ割合が2割超と多く、同ソフト市場において今後クラウド型の利用率が一層高まっていくものと予測される。
クラウド給与計算ソフトの事業者(サービス)別シェアでは、「freee」が39.8%で首位となった。

※1 Webブラウザを使用し、インターネット等のネットワーク経由で給与計算ソフトの機能を利用できるソフトウェアを指す。
パソコン等の端末に給与計算ソフトをインストールして使用するものや、給与データのみをインターネット等のネットワーク経由で外部に保管するソフトウェアは含まない。

給与計算ソフト利用者のうち、クラウド型利用は12.5%

 従業員300人未満の中小企業等における給与計算業務の方法は、給与計算ソフトの導入によるものが44.0%を占め最も多い。さらに給与計算ソフト利用者においては、クラウド型サービスの利用が12.5%、インストール型のパッケージ導入によるものが87.5%で、現時点ではクラウド型の利用率は1割程度となった。

給与計算ソフト購入者の2割以上がクラウド型を選択

 給与計算ソフトの購入時期別に導入形態を分析したところ、1年未満ではクラウド型の導入が23.1%、1年以上2年未満では24.8%で、ここ1~2年の購入においては2割を超える水準となり、前述のクラウド利用率12.5%の2倍近くを占めていることが分かった。中小企業等における給与計算ソフト購入者の約4社に1社がクラウド型のサービスを選んでおり、今後は各種クラウドサービスの認知拡大に伴ってこの割合がさらに増加していくことが予測される。

「freee」がクラウド給与計算ソフトのシェアで首位

 クラウド給与計算ソフトを利用する300人未満の中小企業等において、「クラウド給与計算ソフト freee(freee)」の利用率が39.8%と最も高く、シェア首位となった。次いで、「給与ワークス(スマイルワークス)」が17.2%、「MFクラウド給与(マネーフォワード)」が13.4%と続く。
 シェア首位の「クラウド給与計算ソフト freee」は2014年5月にベータ版、同年10月に正式版を提供開始。簡単な操作を実現するユーザーインタフェースやクラウドを活用した業務の自動化、無償のサポートなどで評価を得て、わずかな期間で同市場においてシェアを獲得。クラウド会計ソフトにおいても高いシェアを持ち、中小企業におけるバックオフィス業務の分野でプレゼンスが高まっている。2位の「給与ワークス」は、2016年1月にリニューアルを実施。マイナンバー関連機能への対応や画面デザインの変更などによる利便性の向上を図り、首位のfreeeを追う。

クラウド給与計算ソフトの導入メリットは、セキュリティの向上とコスト削減

 クラウド給与計算ソフトの導入目的として「セキュリティの向上」が筆頭(29.0%)に挙げられた。同ソフトの多くは厳重に管理されたデータセンターで運用されているため、従業員のマイナンバーを含め給与関連データを自社で管理するのに比べて情報の漏えいや消失等のリスクを低減させることができる。

 次いで、「給与計算業務にかかる人件費の削減」(27.0%)、「ソフトウェアにかかる費用の削減」(23.0%)が導入目的として上位に挙げられた。紙による給与明細等を従業員へ配布しない「給与関連書類のペーパーレス化」(17.5%)の実現を含め、コスト削減が多くの分野で実現できるのもクラウド型のメリットと言える。
 さらに、近年増加している税制改正への対応においても税率変更やソフトウェアのバージョンアップなどが手間や費用をかけることなく自動で実施されるなど、クラウド型サービスのメリットをユーザーが認識しつつある(「法規制の対応など常に最新機能の利用」(14.5%))。
 一方、「社外や複数デバイスからのアクセス性向上」を導入目的とする割合は10.5%とそれほど多くないが、法人におけるモバイル端末の普及・活用が進む中、従業員が多様なデバイスやOSから社内の情報にアクセスする機会が増えており、勤怠や給与に関する情報の入力・閲覧も今後増加すると見られる。そのため、マルチデバイス・マルチOS対応のクラウドサービスの重要性が一層増すと考えられる。

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<調査概要>
1.調査対象: 従業員300人未満の会社・団体等法人における給与関連業務担当者※
 ※代表者・役員、人事・労務、総務、経理・財務の担当者
2.回答件数: 4,168社
3.調査方法: Webアンケート
4.調査期間: 2016年3月11日~3月14日
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