次世代高速通信(4G)スマートフォンの速度調査

2012年12月13日

■「SoftBank 4G LTE」が速度・エリアカバーともに充実
■4Gカバー率は「docomo LTE Xi」と「SoftBank 4G LTE」が80.7%で同率1位
■通信速度は下り・上りともにソフトバンクが最速。下り実効速度10Mbps超を記録
■iPhone 5直接対決はソフトバンクが優勢

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は現在発売されている最新のスマートフォンを利用して、各キャリアが展開する次世代高速通信(LTE/TD-LTE(AXGP)/WiMAX、以下本リリースではWiMAXを含めて4Gと記載)の電波状況および通信速度の計測結果を発表した。計測場所は、スマートフォンの利用シーンとして重要と考えられる「自宅」を意識した。「住宅エリア」における4Gサービスの提供状況を把握することを目的として、不動産・住宅情報サイト『HOME'S(ホームズ)』を運営する株式会社ネクストが発表した「2012年上半期 全国人気の街ランキング」より日本全国10エリアについて、各エリア上位10拠点を対象とした。各拠点3地点で計測を行い、全国300地点の結果をまとめた。計測期間は2012年11月9日~12月5日、計測時間帯は9時から20時、全て屋外で実施した。

 利用端末はNTTドコモ(以下ドコモ)「docomo LTE Xi(クロッシィ)」対応のOptimus G L-01E(LGエレクトロニクス製)、「au 4G LTE」対応のiPhone 5(アップル製)、「au +WiMAX」対応のARROWS Z ISW13F(富士通製)、ソフトバンクモバイル(以下ソフトバンク)の「SoftBank 4G LTE」対応の「iPhone 5」(アップル製)、「SoftBank 4G」対応のSTREAM 201HW(ファーウェイ製)の5端末とした。1地点につき3回計測を行い、平均速度をその地点での通信速度とした。1端末につき計900回(300地点×3回)の計測を行った。

■4Gカバー率は80.7%で「docomo LTE Xi」と「SoftBank 4G LTE」が同率1位

 4Gカバー率は日本全国300地点中242地点でLTEを受信した「docomo LTE Xi」(Optimus G L-01E)と「SoftBank 4G LTE」(iPhone 5)が共に80.7%で同率1位となった。3位は208地点でWiMAXを受信した「au +WiMAX」(ARROWS Z ISW13F)で69.3%、4位は205地点でLTEを受信した「au 4G LTE」(iPhone 5)で68.3%、5位は181地点でTD-LTEを受信した「SoftBank 4G」(STREAM 201HW)で60.3%となった(データ1)。



 エリア別でみると、「docomo LTE Xi」は全てのエリアにおいて4Gカバー率が60%以上と安定した。「SoftBank 4G LTE」は甲信越エリア以外では4Gカバー率60%以上となっており、四国エリア(100%)、九州・沖縄エリア及び四国エリア(96.7%)、など西日本における4Gカバー率が特に高くなった。「SoftBank 4G LTE」のサービス開始は2012年9月21日であることを考慮すると、2010年12月よりサービスを開始するドコモと同じ4Gカバー率となった点が高く評価できる。3位の「au +WiMAX」は関東、甲信越の4Gカバー率は単独1位となったが、北海道では16.7%に留まった。4位の「au 4G LTE」は80%以上の地域もあるものの、北陸、四国では30%と低く、エリアによるバラツキが目立つ結果となった。5位の「SoftBank 4G」は関東、関西、東海、九州・沖縄といった人口構成比が高いエリアで集中的にエリア構築を進めている模様。3Gエリアでの下り通信速度は最大42Mbpsと最速であり、全国300地点平均の下り実効速度№1に寄与したようだ。

■通信速度は下り・上りともにソフトバンクが最速

 通信速度は下り・上りともにソフトバンクが最速となり、ドコモは下り・上り共に苦戦する結果となった。下り通信速度の日本全国300地点平均速度は16.91Mbpsで「SoftBank 4G」が最速となった。2位は同じくソフトバンクの「SoftBank 4G LTE」で10.60Mbpsとなり、ソフトバンクの4Gサービスは共に10Mbps超を記録した。3位は「au 4G LTE」で8.22Mbps、4位は「au +WiMAX」で7.38Mbps、5位は「docomo LTE Xi」で6.17Mbpsの順となった(データ2)。エリア別の下り通信速度は全てのエリアにおいて「SoftBank 4G」が1位となり、2位は甲信越と東北を除く8エリアにおいて「SoftBank 4G LTE」が2位となった。



 上り通信速度の日本全国300地点平均速度は4.84Mbpsで「SoftBank 4G LTE」が最速となった。2位は「au 4G LTE」で4.18Mbps、3位は「SoftBank 4G」で2.83Mbps、4位は「au +WiMAX」で1.70Mbps、5位は「docomo LTE Xi」で1.13Mbpsの順となった。

 エリア別でみても、上り通信速度は「SoftBank 4G LTE」が関東、北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄の6エリアで1位を獲得した。

■下り通信速度は日本全国300地点のうち199地点でソフトバンクが最速

日本全国300地点の各地における下り通信速度を比較した結果、「SoftBank 4G」が130地点(43.3%)で最速となった。次いで「SoftBank 4G LTE」が69地点(23.0%)で最速となり、全300地点中199地点と3分の2の地点でソフトバンクが最速となった(データ3)。



■上り通信速度は「SoftBank 4G LTE」が145地点と約半数、次いで「au 4G LTE」97地点

日本全国300地点の各地における上り通信速度を比較した結果、「SoftBank 4G LTE」が全体の145地点(48.3%)で最速となった。次いで「au 4G LTE」が97地点(32.3%)で最速となった。「docomo LTE Xi」が最速となったのは5地点で全体の1.7%に留まった(データ3)。

■iPhone 5直接対決はソフトバンクが優勢

iPhone 5発売と同時にLTEサービスを開始した、auとソフトバンクそれぞれのiPhone 5を利用して通信速度を比較した。日本全国300地点の各地における下り通信速度では、ソフトバンクが186地点(62.0%)で勝利、auは114地点(38.0%)という結果となった。上り通信速度についてもソフトバンクが178地点(59.3%)で勝利、auは122地点(40.7%)という結果となった。下り・上りともに約6割の地点でソフトバンクiPhone 5の通信速度がau iPhone 5の通信速度を上回った(データ4)。



 全体的にソフトバンクの4Gカバー率や通信速度の優勢が目立つ結果となった。一方ドコモは4Gカバー率が高いが、通信速度では苦戦する結果となった。ドコモは2010年12月より「docomo LTE Xi」を開始、対応スマートフォンも2012年12月現在では30機種以上発売している。2012年11月末のLTE契約数は約740万件と公表しており、1つの基地局あたりのLTEユーザー数がLTEサービス開始3ヶ月未満のauやソフトバンクに比べて多いことが影響したとMM総研では分析する。

 今後は4G対応スマートフォンの普及が進むことは明らかである。よって、1つの基地局あたりの4Gユーザー数増加による通信速度の低下が懸念される。各キャリアは競うように、下り通信速度100Mbps以上の更なる高速化やエリア拡大の基地局整備を進めている。今後の通信速度の変化は未知数であるが、ソフトバンクが現在のアドバンテージを維持できるかどうかが注目される。国内メーカー・海外メーカーを問わず、人気のスマートフォンがキャリアを問わず購入できる状況へと変化してきている中で、快適な通信環境を提供する4Gサービスのカバー率と高速通信の安定性がキャリア選びの最重要項目の1つとして、更に注目を集めることは明らかだ。

■調査概要
【調査拠点】 日本全国10エリア
関東/甲信越/北海道/東北/北陸/東海/近畿/中国/四国/九州・沖縄
※不動産・住宅情報サイト『HOME'S(ホームズ)』を運営する株式会社ネクストが発表した
「2012年上半期 全国人気の街ランキング」より各エリアの上位10拠点を対象
※各拠点につき、「①駅前1地点」+「②駅周辺の居住スポット(郵便局・銀行・役所/公園/
スーパー/大学/商業施設など)2地点」の3地点で計測
【調査方法】:「RBB TODAY SPEED TEST」を利用
※iOS・・・App Storeよりダウンロード/Android・・・Google Playストアよりダウンロード
※計測結果は「最高速度」ではなく「平均速度」を採用
※計測地点ごとに3回計測
※1端末につき900回計測(日本10エリア×10拠点×3地点×3回)
【調査端末】:全5端末
【調査期間】:2012年11月9日~12月5日

【注意】
※ 通信速度は各種条件(地点、時間、端末、周囲の状況など)により変動する可能性があります
※ 通信速度は計測時点の結果となります

※各キャリア4Gサービス/調査スマートフォンの通信速度(理論値)
<docomo LTE Xi>(Optimus G L-01E)
4Gエリア  下り 75Mbps  上り 14.4Mbps
4Gエリア外 下り 14.4Mbps 上り 5.76Mbps
<au 4G LTE>(iPhone 5)
4Gエリア  下り 75Mbps  上り 25Mbps
4Gエリア外 下り 9.2Mbps  上り 5.5Mbps
<au + Wimax>(ARROWS Z ISW13F)
4Gエリア  下り 40Mbps   上り 15.4Mbps
4Gエリア外 下り 9.2Mbps  上り 5.5Mbps
<Softbank 4G LTE>(iPhone 5)
4Gエリア  下り 76Mbps  上り 42Mbps
4Gエリア外 下り 42Mbps  上り 5.76Mbps
<Softbank 4G>(STREAM 201HW)
4Gエリア  下り 76Mbps  上り 42Mbps
4Gエリア外 下り 42Mbps  上り 5.76Mbps


■注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
3. 報道機関以外が本プレスリリースの内容を引用・転載する場合は、MM総研による承諾が必要です。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。また、データ・資料は、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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