MM総研大賞2023 <スマートソリューション部門>5Gインフラ分野 最優秀賞「Open RAN推進の取り組み」楽天シンフォニー株式会社
2023年09月08日
Open RAN関連含む通信プラットフォーム事業をグローバルに展開
楽天シンフォニーは、様々なベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能とする標準化された無線アクセスネットワークである「Open RAN」を推進する。事業組織設立以来、Open RAN関連の売上高が2億ドルを超えるなど、Open RANの普及を世界的にけん引している点が評価され、スマートソリューション部門5Gインフラ分野で最優秀賞を受賞した。 |
世界初(※)の完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークを構築
楽天シンフォニーは楽天モバイルの完全子会社として2022年1月に設立。「Mobile as a Software」のコンセプトを掲げ、ソフトウエアベースのモバイルネットワーク構築・運用などを支えるプラットフォーム提供を主なサービスとしてグローバルに事業展開している。
実質的に楽天シンフォニーの最初の事業であり、その礎となっているのが楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク構築だ。世界で初めてエンドツーエンドで完全に仮想化された商用クラウドネイティブモバイルネットワークをOpen RANベースで構築してい る。MNO事業を一から立ち上げて得た知見を集約し、他社に提供するサービス群としてパッケージ化した。2021年8月にはモバイルネットワーク構築に向けたパートナーシップをドイツの通信事業者、1&1社と締結するなど、実績を重ねている。
※大規模商用ネットワークとして(2019年10月1日時点)/ステラアソシエ調べ
ニーズに合わせた柔軟なネットワーク構築が可能に
Open RANは、様々なベンダーの機器やシステムとの相互接続が可能な標準化された無線アクセスネットワークだ。従来のネットワーク構成は、ネットワーク装置がベンダーごとに専用のハードウエアとソフトウエアが一体の「ベンダーロックイン」となっていることにより競争原理が働きにくかった。Open RANを活用する場合、特定のベ ンダーに縛られない「マルチベンダー」なネットワーク構築が可能になるため、導入の要件や費用などをニーズに合わせて柔軟に調整できる。また、オープンな規格に準拠しているため、透明性や安全性も担保される。
構築した仮想化ネットワークの管理・運用にあたって、通信プラットフォーム「Symworld™」を提供している。Symworld™にはマーケットプレイス機能も備わっており、顧客企業はアプリケーションをワンクリックで自社ネットワークに導入できる。
また、5Gの次の世代の「Beyond 5G」を見据えて、Open RANの高度化に必要なAIなどを活用し効率よく制御する「RAN Intelligent Controller(RIC)」の開発にも取り組んでいる。Beyond 5Gではさまざまな分野でモバイルネットワークへのニーズの高まりが予想されており、多様なニーズに対してRANを効率よく制御し、周波数利用効率の向上、省電力化、セキュリティ強化を目指している。
研究開発や他社との協業に取り組む
Open RANの発展に向けて、業界団体やパートナーとの研究開発にも取り組んでいる。2020年5月には米国で設立された「Open RAN Policy Coalition」に創設メンバーの1社として参画。2020年8月には、Open RANの仕様策定を推進する「O-RAN ALLIANCE」に加盟。楽天シンフォニーを傘下に持つ楽天モバイルのCTO、シャラッド・スリオアストーア氏が同団体の理事に就任している。
研究開発では「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」を開設し、Open RANの技術検証環境を提供。仮想化ネットワークの構築を通じて、用途や要件に応じたさまざまなアーキテクチャー構築や検証が可能だ。2023年3月には英国に「楽天Open RAN カスタマーエクスペリエンスセンター」を開設し、総務省の予算事業の採択を受け日英の技術協力と欧州でのOpen RAN普及を目指し活動している。今後は新拠点として「楽天シンフォニーグローバルイノベーションラボ」(インド・ベンガルール)を設立する予定。
今後も「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」の規模・役割の拡大に取り組み、仮想化Open RANの研究開発の加速や、パートナーの仮想化Open RAN導入における総所有コスト削減や自動化、イノベーションの推進に取り組んでいく方針だ。