MM総研大賞2023 <スマートソリューション部門>スマートホーム分野 最優秀賞「HOMETACT」
三菱地所株式会社

2023年09月06日

総合デベロッパーの知見を活かした
総合スマートホームサービス

三菱地所が提供する「HOMETACT(ホームタクト)」はスマホアプリやスマートスピーカーを使い、住設機器・家電などをまとめて操作・管理できる総合スマートホームサービスだ。特定のブランドやメーカーに依存せず、日本の住環境に導入しやすい利便性の高さが評価された。

HOMETACT サービス全体図

きっかけは、デジタル顧客接点の構築

HOMETACTは「Home(家)」と「Tact(臨機応変・機転)」を合わせた造語だ。Tactはカナで「タクト」と読むが、家の中を指揮するサービスという意味も込められている。3年の歳月をかけて構想を練り、2021年11月にHOMETACTの提供を開始した。開発背景について「デジタルを活用して顧客接点を作りたい、という想いからHOMETACTの開発が始まった。スマートホームはエンドユーザーの生活に関わる体験価値を上げられるだけでなく、管理会社やオーナーなどの不動産事業者の管理業務効率化につなげられる」と住宅業務企画部HOMETACTプロジェクトリーダーの橘嘉宏氏は話す。不動産事業者である三菱地所がプラットフォームビジネスを立ち上げたことは、同業界で大きなインパクトを与えた。

家電メーカーに依存しない横断的な連携を実現

このサービスの最大の特徴は、幅広いIoT機器や住設機器を自由に連携できる点だ。スマートホームの導入が進む米国や中国に比べて日本が後れを取っているのは、メーカーごとに機能やアプリが細分化され統合的なサービスがない点が要因として挙げられる。「自社の機器を使ってほしい」とAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開しないメーカーもあるが、機器ごとにアプリを分けると使い勝手が悪く、エンドユーザーに敬遠されてしまう。三菱地所はそこに目をつけ、IoTプラットフォームを提供する米YonomiのAPI連携技術を導入し、各メーカーのデバイスを横断的に使えるようにした。

HOMETACTはオリジナルアプリと音声でスマートロック(※1)やエアコン、照明などの機器をまとめて操作、制御することができる。家電メーカーなど連携パートナーは2023年6月時点で20社を超えた。今後はAPIによる連携機器とECHONET Lite(※2)対応の連携機器を組み合わせた「ハイブリッド型」のプラットフォームを提供していく方針だ。このハイブリッド型により対応機器が大手メーカーのエアコンや給湯リモコンなどを中心に大幅に拡大。世界の最新機器はもとより日本の従来の住設機器にも柔軟に対応する。
※1スマートロックの操作はアプリのみ
※2 ECHONET Lite:異なるメーカーの家電機器を接続して遠隔制御するための通信規格

「ザ・パークハビオ」シリーズへの導入

グループの三菱地所レジデンスが提供する賃貸マンション「ザ・パークハビオ」にHOMETACTを導入している。現在導入している同シリーズの物件は、代々木初台、麻布十番、小石川、目黒桜邸の4棟。導入デバイスは物件や部屋によって異なるが、スマートホーム機器が充実した部屋の方が顕著に顧客評価が高い。2022年9月に竣工した「ザ・パークハビオ 目黒桜邸」は4棟の中で最も新しい物件で、106戸すべてにスマートロックや電動カーテン、照明スイッチ、給湯リモコンなどのスマートホーム機器を標準装備している。順次同シリーズに導入を拡大する予定で、こうした事例を積み上げてデベロッパーや賃貸管理会社などにHOMETACTの利便性の高さを強く訴求していく考えだ。

HOMETACTは単なるスマートホームデバイスの導入にとどまらない、手厚いサポートも特徴だ。サービス利用開始前の「設置・設定サービス」やユーザーや導入先企業専用の「コールセンター」によるバックアップ体制が充実している。導入からアフターケアまで一貫したサポートサービスを提供することで、どの世代でも簡単に安心してホームオートメーションのある新しい暮らしを始められるようにしている。