MM総研大賞2023 <スマートソリューション部門>モビリティ革新分野 最優秀賞「配送車両のEV化の取り組み」
日本郵便株式会社/本田技研工業株式会社/三菱自動車工業株式会社

2023年09月06日

配送用車両の電動化で
CO2排出量を大幅に削減

日本郵便は2019年以降、配送用車両に電気自動車(EV)、電動二輪車を本格導入。配送作業用の軽四輪自動車は三菱自動車工業の「ミニキャブ・ミーブ バン」、電動二輪車は本田技研工業の「BENLY e:(ベンリィ イー)」を採用している。多くの配送用車両のEV化や、それに伴うプロモーション力、エネルギーマネジメントへの積極的な取り組みが評価され、スマートソリューション部門モビリティ革新分野で最優秀賞を受賞した。

三菱自動車工業「ミニキャブ・ミーブ バン」

本田技研工業「BENLY e:(ベンリィ イー)」

2013年から試験導入

日本郵便は2013年、配送用車両にEVのミニキャブ・ミーブ バンを10台、2014年に40台を試験的に導入。環境面にもたらす効果や業務上の実用性、効率性などを検証してきた。そして2019年3月、2020年度末までに、東京都を中心とした近距離エリアにおいて、郵便物や荷物の配送時に使用する軽四輪自動車1200台を、ガソリン車からEVのミニキャブ・ミーブ バンに切り替えていくと発表。2020年1月には、新宿・日本橋・渋谷・上野郵便局の4局から順次ベンリィ イーを導入していくと発表した。

日本郵政グループは、2021年に発表した中期経営計画「JP ビジョン2025 ~お客さまと地域を支える『共創プラットフォーム』を目指して~」において、2030年までに対2019年度比でCO2排出量を46%削減する目標を掲げている。日本郵便の中でCO2排出量の多くを占めるのが、空調や電気など各郵便局の建物から排出されるものと、配送用車両から排出されるものだ。こうした現状の下、ガソリン車からの転換を積極的に進めている。

2025年までに4割以上の配送用車両をEVに

2023年3月末時点での導入状況は、ミニキャブ・ミーブバンが約3400台、ベンリィ イーが約9300台で、いずれも全車両の約1割にあたる。街中を歩いていると、車体の側面に大きく「EV」と書かれた赤い車両をよく見かける人も多いだろう。EV用の普通充電器も、導入台数分を各郵便局に設置している。配送を終え、車庫の所定の場所に止めて充電するだけでよいため、給油のために都度ガソリンスタンドへ行く手間も省ける。2025年までにEVの軽四輪自動車を約1万5000台、電動二輪車を約3万台にしていく計画だ。この計画が達成されれば、軽四輪自動車は約5割、二輪車は約4割が置き換わることになる。

実際に運転する社員からは「加速性能が滑らかで良い」「音が静かで乗り心地が良い」などと好評だ。郵便局を利用する人が、EVやオリジナルキャラクター「ぽすくま」のラッピングデザインについて話すことも多く、社会に与えたインパクトは大きい。

エネルギーマネジメントでさらに環境に配慮

EVの導入だけでなく、エネルギーマネジメントシステムの構築にも力を入れている。2022年に、配送用EV車両の充電を遠隔で監視、コントロールすることで郵便局全体の電力ピークを抑制する実証実験を、東京の晴海郵便局で実施した。通常は充電器をつないだ時点で充電が始まるが、それを21時以降に充電するように設定。この実証では電力ピークをシフトすることで、年間の電気代削減見込みが約45万円という結果を得た。

今後もEVの積極的な導入、エネルギーマネジメントの取り組みで、持続可能な社会の実現に貢献していく。