MM総研大賞2017 審査結果のお知らせ大賞は日立製作所のIoTプラットフォーム『Lumada』
2017年06月19日
■ 「大賞」は日立製作所のIoTプラットフォーム『Lumada』
■ 「スマートソリューション部門賞」は、京セラコミュニケーションシステムのIoT向けネットワーク
『SIGFOX』の他、NTTコミュニケーションズ、DataRobot、NEC、NTT東日本、NTTドコモ、
富士通、日立(※大賞と同時受賞)
■ 「話題賞」は、セブン・ドリーマーズの全自動衣類おりたたみ機『ランドロイド』をはじめ、
ビッグローブ、NTT西日本、Google、レノボ、宇宙システム開発利用推進機構が受賞
MM総研(所長 中島 洋)は「MM総研大賞2017」 (審査委員長:安田 浩 東京電機大学 学長)の最終審査を終え、「大賞」「スマートソリューション部門賞(分野別最優秀賞)」「話題賞」を決定致しました。「MM総研大賞」はICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2017年度の今回が14回目になります。優れたICT技術で積極的に新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰しております。
「MM総研大賞2017」では次世代スマート社会の核となるスマートソリューション部門で5分野を選定し、分野ごとに「最優秀賞」を選出。ICT産業で大きな話題になった製品・サービスを「話題賞」として選出しています。最終的にこれらの中から最もICT産業の発展に寄与した製品・サービスを「大賞」として表彰します。
■「大賞」は日立製作所のIoTプラットフォーム『Lumada』
最終選考では安田 浩 審査委員長をはじめとする審査委員会での厳正な審査の結果、「大賞」は、日立製作所のIoTプラットフォーム『Lumada』に決定致しました。『Lumada』は、鉄道・電力・産業など幅広い分野で培ってきた制御技術(OT)と、AIやビッグデータ分析などのITを結集したソリューション製品群です。オープンな設計と高い適用性で既存システムとの一体的な連携が可能です。また、企業や業種の壁を超えたバリューチェーンの中核としてトータルサポートが出来ることも特徴。次世代のスマート社会の発展に貢献し、今後のICT業界をけん引する事業であり、世界市場に展開されている点が高く評価されました。「スマートソリューション部門(IoT分野)」での受賞に加え、全14商品の中で最高の評価に値すると判断し、MM総研大賞2017の「大賞」に選出されました。
■「スマートソリューション部門賞」は8件
スマートソリューション部門では5分野(IoT、AI、セキュリティ、コンテンツ・プラットフォーム、ヘルスケアICT)で8件が最優秀賞に選ばれました。
センサー、無線通信、クラウドなど、大量のデータをリアルタイムに収集し、高速処理できるICT 環境の整備が進む中で、IoT(Internet of Things)の導入・利活用への動きが加速しつつあります。AI(人工知能)などを用いたデータ解析技術の導入機運も高まるなど、IoTを取り巻く環境は大きな変化の時を迎えています。こうしたIoT環境の構築・利用を支援する「IoT分野」では、日立製作所のIoTプラットフォーム『Lumada』と京セラコミュニケーションシステムのIoTネットワーク『SIGFOX』が最優秀賞を獲得しました。『SIGFOX』は、低消費電力で広域をカバーできるIoT向けの無線通信技術LPWA (Low Power Wide Area)の一つです。京セラコミュニケーションシステムはSIGFOXを利用した低価格なネットワークサービスを日本で唯一提供しています。全国主要都市を中心に通信エリアの拡大を進めると共に、様々な分野でIoT導入の支援を行っている点などが高い評価を集めました。
IoT等により収集された膨大な情報から新たな法則性や知見を見出し、我々の生活やビジネスに活用する技術として市場の成長が期待されているのがAIです。この「AI分野」で最優秀賞に輝いたのがNTTコミュニケーションズの『Communication Engine “COTOHA”』と、米DataRobot, inc.の機械学習プラットフォーム『DataRobot』です。
『Communication Engine “COTOHA”』は、NTT研究所の40年にわたるAI技術の研究成果を活用したコミュニケーションエンジンです。日本語を最高水準の精度で理解することができ、的確な応答や業務処理を行えるなど、その先進性や将来性などが高く評価されました。『DataRobot』は、機械学習の自動化・AIプラットフォームです。優れたデータサイエンティストのノウハウも実装しており、ビジネスに最も適した予測モデルを自動生成し実装できる点などが高く評価されました。
ICTをベースとしたスマート社会の根幹を支える「セキュリティ分野」では、NECの『AIを活用し、未知のサイバー攻撃を自動検知するセキュリティシステム』とNTT東日本の『トータルセキュリティ対策の推進』が最優秀賞に輝きました。NECが開発したセキュリティシステムは、未知のサイバー攻撃に対し自己学習型のAIを使ってシステムを守ります。平常時とのずれで異常を検知するなどの特徴を持っています。セキュリティはAIとの親和性が高く、将来的影響力で高評価を獲得しました。
NTT東日本は『トータルセキュリティ対策の推進』として、中小企業等の実態に合わせ、構築から保守・運用までトータルで情報セキュリティ対策を提供しています。特にセキュリティ対策強化が求められる中小企業に対して、今後も大きな役割を果たしていく点が高く評価されました。
デジタル技術を活用した新しいサービスが次々と生まれる中、注目を集めているのが動画コンテンツの配信サービスです。スマートフォンやタブレット等のスマートデバイスの普及により、いつでもどこでもコンテンツを楽しむことができ、コンテンツの量も質的・量的拡大を続けています。この「コンテンツ・プラットフォーム分野」で最優秀賞を獲得したのが、NTTドコモの『DAZN for docomo』(ダ・ゾーン フォー ドコモ)です。ドコモユーザーなら月額980円の特別価格で年間6,000以上のスポーツの試合映像を見放題で楽しめます。スポーツのライブストリーミングの本格普及に向けて起爆剤となるサービスとして高く評価されました。
ICTの利活用が様々な分野で進みつつあり、その中でも、医療・健康分野におけるICTの利活用は喫緊の課題となっています。超高齢化社会の到来による医療・介護需要の増大と、医療従事者の負担増など、我が国が直面する課題の解決にICTが貢献することが期待されています。この「ヘルスケアICT分野」では、富士通の「居住者の見守りソリューション」が最優秀賞に選出されました。音響や人感など、独自のセンシング技術で居住者を見守るソリューションです。画像解析に比べプライバシーを配慮できる点で優れており、将来的影響力で高評価を獲得しました。見守りサービス事業者や介護施設・住宅を中心に導入や検討が進んでいます。
■「話題賞」は6件
話題賞では、将来的な影響力が高いと期待される製品・サービス6件が受賞しました。
ビッグローブの『エンタメフリー・オプション』は、スマホでYouTubeなど動画や音楽をいくら視聴しても通信量がカウントされないサービスです。月末の通信速度制限を気にすることなく楽しめます。対象サービスも順次追加するなど、話題性・将来性が高く評価されました。
NTT西日本の『スマート光チャレンジ』は、ICT×アライアンスによるイベントです。「未来の技術をどんどんカタチに」をコンセプトに、吉本興業と協業した「スマート光お笑い劇場」などのイベントを継続的に実施し、ICTの新たな可能性を示したことが高く評価されました。
Googleの『Android One』は、Google がパートナーと協力して開発する端末のシリーズです。最新のAndroidバージョンへのアップデートの保証や、シンプルな UI が幅広いユーザー層から支持されており、国内では、Y!mobileから発売されています。
レノボの『YOGA BOOK』は、独自のヒンジにより360度回転する10.1型の液晶ディスプレイを搭載した2in1デバイスです。重量も690gと軽量で、フラットなキーボード部はペンタブレットとしても使用できるといった点が高く評価されました。
宇宙システム開発利用推進機構の『宇宙ビジネスコート』は、宇宙を利用したビジネスの創出をアイデア段階からスタートアップまで支援するプラットフォームです。政府が推進する地球観測データの利用促進と歩調を合わせ、ICTを活用した宇宙利用のイノベーション創出に取り組む点が高く評価されました。
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの全自動衣類おりたたみ機「ランドロイド」は、画像解析、ロボティックス、AI等を用いた、世界初の全自動衣類折りたたみ機です。衣類の情報の蓄積を通じ、利用者に最適なコーディネート提案機能(予定)など、従来の家電の枠を超え、新たな生活体験をもたらす点などが高く評価されました。
以上により、受賞製品・サービスは、大賞 兼 スマートソリューション部門賞1、スマートソリューション部門賞7、話題賞6の合計14件となりました。評価理由の詳細につきましては別紙をご参照下さい。
[参考] これまでの「大賞」受賞企業は、以下の通りです。
MM総研大賞2004 : 松下電器産業(Panasonic)『DIGA』 (DVDレコーダー)
MM総研大賞2005 :シャープ 『AQUOS』 (液晶テレビ)
MM総研大賞2006 :アップルコンピュータ 『iPod + iTunes Music Store』
MM総研大賞2007 : JR東日本『Suica』『モバイルSuica』とPASMO協議会「PASMO」の共同受賞
MM総研大賞2008 : ソニー 有機ELテレビ 『XEL-1』 (有機ELテレビ)
MM総研大賞2009 : トヨタ自動車 『Prius』
MM総研大賞2010 : 日本経済新聞社『日本経済新聞電子版』
MM総研大賞2011 : パナソニック 『エコナビ』
MM総研大賞2012 : サムスン電子ジャパン 『GALAXY』
MM総研大賞2013 : JR東日本『Suica』
MM総研大賞2014 : エネット『EnneSmart』
MM総研大賞2015 : ソフトバンクロボティクス『Pepper』
MM総研大賞2016 : NTTドコモ『+d』
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「MM総研大賞2017」概要
【参考1】 MM総研大賞2017の開催主旨
「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2017年度の今回が14回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。
【参考2】 表彰対象
1. スマートソリューション部門 (5分野)
①IoT分野
②AI分野
③セキュリティ分野
④コンテンツ・プラットフォーム分野
⑤ヘルスケアICT分野
2.話題賞
【参考3】 評価基準 /評価方法
◆スマートソリューション部門賞
スマート社会の核となるスマートソリューションが対象。その対象となる製品・サービス事業全般に対する「認知度」、「信頼性」、「使いやすさ」、「先進性/革新性」、「独創性」、「価格妥当性」、「市場性」に加え、将来性を図る評価軸として、「基盤製品・サービスとしての可能性」(※一つの製品・サービスの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などの項目を評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)、またノミネート企業に対するMM総研研究員による取材活動等による評価を材料として、最終的には外部有識者からなる審査委員会の協議により、受賞企業を決定する。
◆話題賞
「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とする。16年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定する。
◆大賞
スマートソリューション部門賞、話題賞に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「スマート社会への貢献度」「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に大賞を選定する。
【参考4】 審査委員
審査委員長 安田 浩 東京電機大学 学長 東京大学 名誉教授
審査委員 前川 徹 国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター所長
審査委員 藤沢 久美 シンクタンク・ソフィアバンク代表
審査委員 北村 森 商品ジャーナリスト、サイバー大学 IT総合学部教授
審査委員 加太 幹哉 MM総研 研究課長