小規模モデルの生成AIで企業の生産性向上を狙う(2025年7月号 No.349)

【特集1】自治体の生成AI市場が普及期へ― 自治体向けの生成AIベンダー動向

自治体でも生成AI(人工知能)の利用が本格化しそうだ。総務省が2024年1月に実施した調査では導入率は11%にとどまったが、実証中・検討中が54%とニーズは高い。多様なベンダーが自治体向けの生成AIツールを開発し、参入している。今回はふるさと納税関連システムや行政コミュニケーションツールなどを提供するトラストバンクとシフトプラス、行政の基幹システムを提供するRKKCS、AI専業ベンダーのエクサウィザーズ、通信キャリアのNTT東日本の5社を取材した。

【特集2】自治体DXの次なる一手― NTT西日本の自治体データ利活用ビジネス

政府は自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、その先にはスマートシティの実現を見据えている。当面の目標は、2025年度までの国と自治体の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」への移行と標準化だ。これにより、スマートシティの基盤となるデータ利活用の下地が大きく整う。この商機を見据え、ベンダー各社は事業戦略を模索している。長年自治体ビジネスを手掛けてきたNTT西日本に話を聞いた。

【データ1】スマートウオッチ販売台数は2年連続で減少― 2024年度通期スマートウオッチ市場規模の推移・予測

MM総研は、スマートウオッチの国内販売台数の推移・予測に関する調査を実施し、結果をまとめた。2024年度通期(2024年4月~2025年3月)の国内販売台数は343.6万台(前年度比8.6%減)で、2023年度に続き減少した。2015年度の調査開始以来、2年連続の減少は初めて。主要メーカーは引き続き健康を重視する高齢者層や健康経営を目指す法人の取り込み、運動を習慣化している人たちに向けたトレーニング機能や個別のスポーツに特化した機能の強化を続けている。

【データ2】GIGA買い替え特需の開始で4年ぶりのプラス― 2024年度通期タブレット端末出荷台数調査

MM総研は、2024年度通期(2024年4月~2025年3月)の国内タブレット端末の出荷台数を調査し、その結果をまとめた。2024年度通期の出荷台数は前年度比12.9%増の665万台で、2020年度から4年ぶりの増加となった。2020年度は国の「GIGAスクール構想」による小中学校向けのタブレット配備の特需により1152万台と過去最多を記録したが、一巡後は減少傾向となり、2023年度には半減(589万台)した。携帯キャリアによるセルラータブレットの注力度は依然として低く、個人によるWi-Fiタブレット需要も低調に推移しているが、2024年度下期よりGIGAスクールの買い替え需要がスタート。2025年度の本格的な回復を期待させる結果となった。

【データ3】2024年度は4年ぶりに増加、2025年度は過去最高に― 2024年度通期国内パソコン出荷台数調査

MM総研は、2024年度(2024年4月~2025年3月)の国内パソコン出荷台数を調査し、その結果をまとめた。出荷台数は1353.9万台(前年度比25.4%増)で、2020年度以来4年ぶりの増加となった。うち、個人市場は351.8万台(前年度比3.7%増)、法人市場は1002.1万台(前年度比35.4%)と法人市場で大きく増加した。メーカー別ではトップのNECレノボが332.5万台、シェア24.6%で首位を維持。デルがシェア14.2%で3位に浮上した。出荷金額は前年度比32.9%増の1兆6512億円となった。平均出荷単価は12万1956円で、2023年度の11万5040円から6916円の大幅な上昇となった。2020年度以降、出荷単価は4年連続で上昇している。

【データ4】FTTH市場では10G利用者が100万件を突破― ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2025年3月末時点)

MM総研は、2024年度通期(2024年4月~2025年3月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2025年3月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は4104.8万件で、年間で68.8万件(前年度比16.5%減)の純増となった。コロナ下の在宅勤務の広がりなどで2020年度から2年程度で普及が加速したFTTH市場は、その後成長の鈍化が鮮明となったが、2024年度の純増数の落ち込みは緩やかになり、下げ止まりつつある。CATVアクセスのFTTH化や集合住宅向け(全戸一括型)の安定した需要に加え、NTT東西を中心に10Gbpsサービスの提供エリアの全国的な広がりが市場を下支えした。2025年度のFTTHの年間純増数は前年度比14.0%減の59.2万件を予測する。10Gbpsサービスの契約者数は2025年3月末に111.7万件となり、初めて100万件を超えた。また、ワイヤレスの契約者数は2025年3月末にCATVアクセスの規模を初めて上回った。

【トレンド1】通信を「体験させる」という挑戦― Beyond 5G ready ショーケースに見る政策広報の変容

総務省は2025年5月26日から6月3日まで、大阪・関西万博で次世代通信インフラ「Beyond 5G」が実現する未来の街・暮らしを疑似体験できる「Beyond 5G ready ショーケース」を開催した。一見すると未来技術のテーマパークのような展示だが、その実態は通信という社会インフラの将来像を可視化し、誰もが理解し納得できる形で提示するという、極めて戦略的な意味を持つ政策広報だ。見えない技術を体感として届けることで、公共認知への転換を図るこの取り組みには、2030年代の社会構想に向けた布石としての役割が込められている。総務省として初の一般消費者向け通信展示となる試みの意図と狙いについて、総務省新世代移動通信システム推進室長、影井敬義氏に話を聞いた。

【トレンド2】書類処理にAIを活用、現場のDX化で人材不足に貢献― 人とAIが共に働く未来へ

AI inside(東京都渋谷区)は、生成AI(人工知能)・大規模言語モデル(LLM)・自律型AIの研究開発と社会実装を進めるスタートアップ企業だ。日本語ドキュメントに特化したLLM「PolySphere」や、AIエージェント「DX Suite」を軸に、官公庁・自治体・企業など約3000社・6万人以上が導入している。人とAIの協働によって生産性を高め、単純作業を創造的業務に置き換える「VALUE SHIFT」を推進している。執行役員CTOの井上拓真氏に、同社の取り組みや今後の展開について聞いた。

【経営1】「天・地・人」のデータで全国の水道管管理を効率化― 天地人

日本各地で老朽化インフラ問題が深刻化している。中でも水道管の老朽化は喫緊の課題だ。2025年1月に起きた埼玉県八潮市の道路陥没事故は記憶に新しいが、その原因のひとつは付近の下水道管の老朽化だった。高度経済成長期に整備された管路が今、一気に更新時期を迎えている。こうした状況を受け、国土交通省は「上下水道DX 技術カタログ」を作成し、AI(人工知能)や衛星データなどデジタル技術の導入を後押ししている。この分野で注目を集めるのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)認定ベンチャーの天地人(東京都中央区、櫻庭康人代表取締役社長)が提供する水道管の漏水リスク診断サービス「天地人コンパス宇宙水道局」だ。サービスの特徴や今後の展望を事業開発自治体応援部の岡田和樹氏に話を聞いた。

【経営2】異業種参入が加速するMVNE市場で存在感を増すIIJ― B2B2Cモデル支援の先駆者が描く成長戦略

モバイル通信業界で近年注目されているのが、MVNE(仮想移動体通信事業支援者=Mobile Virtual Network Enabler)の存在だ。MVNO(仮想移動体通信事業者)を支える土台として、通信インフラ、SIM管理、課金・顧客管理、法令対応など多岐にわたる支援を展開する。異業種からのMVNO参入が増える中で、MVNEは重要な役割を担っている。MVNE大手のインターネットイニシアティブ(以下IIJ)はこれまでに200社以上のMVNO立ち上げを支援し、MVNEとしての提供回線数は、2025年3月末時点で約125万回線に達している。IT(情報技術)・通信、小売り、在留外国人向けサービスなど、多種多様な業種が同社の顧客に名を連ねる。なぜIIJがこの分野で突出した存在となっているのか―。取材から見えてきたのは、単なるプラットフォーム提供にとどまらない、徹底した「寄り添い型支援」の強みだった。

【経営3】新進気鋭の中国Akuvoxが日本に上陸― 存在感を増す中国製インターホン

インターホンは近年、セキュリティ意識の高まりやスマートホーム化の進展によりニーズが高まっている。中国メーカーの日本進出が目覚ましく、中でもスマートインターホンの先駆けであるAkuvox(Xiamen)Networks(厦門市、Michael Yuan CEO、アキュボックス)が注目されている。2024年に日本法人の睿雲聯日本(東京都中央区、楊波代表取締役)を立ち上げ、日本市場に本格的に進出した。日本市場における現状と今後の取り組みについて、営業本部の黄匯嘉部長代理を取材した。

【経営4】マンション防災、共助とICTの可能性― 災害に強いマンションとは

2025年は阪神・淡路大震災から30年目の節目となる。この震災を機にマンションの耐震基準は見直され、マンションは堅牢な建物として大地震が起きても比較的被害を受けにくいと考えられている。しかし具体的な災害対策はあまり進んでいない。マンション防災の現状と課題について、マンション防災協会(東京都千代田区)に現状と課題について話を聞き、その実態に迫った。

【経営5】タブレットPOSレジが変える店舗運営― リテールテックの最新動向① ユビレジ、万葉倶楽部

店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、POS(販売時点情報管理)レジのニーズが変化してきている。POSレジの中でもタブレットPOSレジは従来、中小規模事業者(Small to Medium Business)向けに導入が進んできたが、近年では大規模事業者(以下エンタープライズ)でのニーズも高まっている。特に、タブレットPOSレジを展開するユビレジ(東京都渋谷区、木戸啓太代表取締役)は複数社のエンタープライズへの導入を進めている。ユビレジの小谷敦子取締役に同社の戦略を聞くとともに、ユビレジの導入企業として万葉倶楽部(神奈川県小田原市)にユーザー企業からみた視点を聞いた。

【経営6】予約管理を起点に多岐にわたる機能を提供― 「予約」を核に店舗を強くするSTORES予約

STORES(東京都渋谷区、佐藤裕介代表取締役CEO)は、ネットショップ開設、POS(販売時点情報管理)システム、キャッシュレス決済、オンライン予約、モバイルアプリ作成などを通じて、中小規模事業者のデジタル化を支援する。今回は予約管理システム「STORES予約」についてカスタマーグロース部門事業推進本部の濵本藤吾氏に話を聞いた。

【デジタル深層流】生成AI技術で蘇ったIBM「ワトソン」― MM総研 代表取締役所長 関口和一

「AI(人工知能)は実験段階からビジネスに本格利用できる段階に移った」。米IBMが5月にボストンで大規模な自社イベント「Think」を開催し、アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)が基調講演でAI時代の到来を高らかに宣言した。2023年に発表した同社の新しいAI「watsonx(ワトソンエックス)」の利用拡大がその大きな狙いだ。

【ICT道標】自治体ネットワークがゼロトラストに移行― MM総研 執行役員 研究部長 渡辺克己

自治体ネットワークは、三層の対策(三層分離)により、高いセキュリティを確保してきたが、クラウドサービスの活用や国・自治体間のデータ連携、職員の柔軟な働き方への対応を進める上で様々な制約があり、ネットワークの再構築が求められている。政府は、2024年5月に「国・地方ネットワークの将来像及び実現シナリオに関する検討会」の報告書を公表し、三層分離からゼロトラストアーキテクチャーの考え方に基づくネットワークに移行する方針を打ち出した。

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