スマートフォン市場規模の推移・予測(2013年10月)

2013年10月09日

■ 2013年度のスマートフォン出荷台数は2,990万台(前年度比0.6%増)で前年度並み
■ 2013年9月末のスマートフォン契約数は5,015万件で携帯電話契約数の42.2%
■ 2013年9月末のOSシェア1位はAndroid 63.0%。ドコモiPhone登場で競争激化
■ 2017年度末スマートフォン契約数は8,924万件で携帯電話契約数の68.2%に拡大

 MM総研(本社:東京都港区、所長:中島 洋)は携帯電話利用者に対するアンケート調査及び出荷統計データなどの分析に基づく2017年度(2018年3月期)までの携帯電話の出荷台数と契約数の予測を行った。

※本リリースにおける携帯電話市場とはスマートフォン(SP)と従来型の携帯電話(以下、フィーチャーフォン:FP)の合計であり、PHS、タブレット端末、データ通信カード、通信モジュールを含まない

■2013年度スマートフォン出荷台数は2,990万台で前年度並みに留まる
 MM総研では2013年度通期のスマートフォン出荷台数は前年度比0.6%増の2,990万台(2012年度:2,972万台)と予測する。フィーチャーフォンを含めた携帯電話出荷台数は前年度比5.3%減の3,960万台となり、3期ぶりに4,000万台を下回ると予測。スマートフォン出荷台数比率は75.5%で前年度より4.4ポイント増となる。  
 2013年度上期のスマートフォン市場はキャリアによる端末絞り込み戦略により、特定の端末に台数が偏り全体ボリュームが伸び悩んだ。下期の携帯電話市場における一大トピックとしては、NTTドコモ(以下、ドコモ)からのiPhone発売が挙げられ、既に9月20日よりiPhone 5sとiPhone 5cが大手3キャリア揃って発売されている。下期は既存iPhoneユーザーが最も多いソフトバンクモバイルと、MNP純増件数が好調に推移するauを含めた、各キャリアのiPhone販売戦略に注目が集まるだろう。また、10月以降に順次発売される国内・海外メーカーのAndroidスマートフォンとの競争激化により、スマートフォン市場全体としての活性化が期待される。2013年度は下期偏重の市場となるが、上期の落ち込みをカバーしきれずに、結果としてスマートフォン出荷台数は前年度並みに留まると分析する(図1)。

 2014年度以降の携帯電話出荷台数は2014年度:4,090万台、2015年度:3,930万台、2016年度:4,100万台、2017年度:4,010万台となり、4,000万台前後で推移。
 2014年度以降のスマートフォン出荷台数(スマートフォン出荷台数比率)は、2014年度:3,200万台(78.2%)、2015年度:3,105万台(79.0%)、2016年度:3,340万台(81.5%)、2017年度:3,300万台(82.3%)と予測。

 これは、2013年3月時点の予測台数よりも、スマートフォンおよび全体の携帯電話出荷台数を年間約200万台下方修正した値となっている。下方修正の理由としては、フィーチャーフォン利用者によるスマートフォンシフトの鈍化とスマートフォン利用者の買い替えサイクルの長期化傾向が挙げられる(図1)。

■2013年9月末のスマートフォン契約数は5,000万件を突破。携帯電話端末市場の42.2%に
 2013年9月末のスマートフォン契約数は5,015万件となり、5,000万件を突破した。同じくフィーチャーフォンの契約数は6,862万件となり、携帯電話端末合計で1億1,877万件となった。携帯電話端末に占めるスマートフォン契約数比率は42.2%で、2013年3月末より4.9ポイント上昇した。

 2013年度末以降のスマートフォン契約数(スマートフォン契約比率)は2014年3月末:5,627万件(46.6%)、2015年3月末:6,636万件(53.6%)、2016年3月末:7,493万件(59.3%)、2017年3月末:8,246万件(64.1%)、2018年3月末:8,924万件(68.2%)となり、2014年度中にはスマートフォン契約数が過半数に達する見通しである(図2)。

■2013年9月末のスマートフォンOSシェア1位はAndroid 63.0%、シェアは微減
 2013年9月末のスマートフォン契約数5,015万件をOS別に見ると、Androidスマートフォン契約数が3,157万件(63.0%)で最も多い。次いでiOS(iPhone)が1,787万件(35.6%)、その他OS(Windows・BlackBerry)71万件(1.4%)となっている。2013年1月末と比較すると、Androidシェアは0.3ポイント減少、iOSは0.8ポイント増加で変動は僅かとなっている。
 今後のOS間競争はドコモiPhoneのインパクトや、Android・iOSに次ぐOSとして、Windowsの浮上やTizen(タイゼン)・Firefox OSといった新しいOSの動向にも注目される。

■端末・ネットワークの進化に留まらない、新しい製品・サービスの登場に期待
 2013年度以降の携帯電話市場は年間4,000万台(うちスマートフォン3,000~3,300万台)程度で推移すると予測される。スマートフォン契約数は2018年3月末には9,000万件規模へと拡大していくが、そのペースは鈍化傾向にある。端末価格に月額利用料を含めたトータルコストを考慮すると、スマートフォンを必ずしも必要としないフィーチャーフォン支持者も少なくない。法人市場においては、検討は進めているもののスマートフォン導入による費用対効果の面から導入に踏み切れない企業が多い。キャリアは個人・法人市場を問わずスマートフォンシフトを促進し続けるためには、パケット定額制の改訂や料金施策の判断に迫られる可能性もあるだろう。

 スマートフォンは急速に進化・普及してきたが故に、機能面での分かりやすい改善・差別化ポイントの訴求が困難になりつつある。現在のスマートフォン形状を維持したままでは大型化にも限界があり、スマートフォン単体の正常進化ではスマートフォン利用者の買い替え需要が低下することも懸念される。

 現在、特にキャリアが注力しているのは高速通信ネットワークのカバー率・通信速度・つながり易さの向上である。スマートフォンはいつでもどこでも通話とインターネットが快適に利用できることをユーザーは望んでいる。LTEやWiMAXといった通信サービスは、周波数帯の活用方法次第で更なる高速通信を実現するポテンシャルを持っており、スマートフォン利用者数の増加に応じて高速化が進んでいくだろう。更に中期的なネットワークの進化として、LTEよりも高速な通信規格となるLTE-Advancedが2015~2016年度に開始される見通し。本格的な高速通信サービスに対応した次世代のスマートフォン(もしくは新しいデバイス)及び外部機器との連携やサービスによる利便性とエンターテインメント性のメリットが、新たな付加価値市場を順調に創出できるかどうかが、今後成熟期を迎えるスマートフォン市場における再成長のポイントとなるだろう。

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【スマートフォンの定義】 以下条件をもとにMM総研による分類(2013年10月現在)
①以下OSを搭載 (Android、iOS、Windows、BlackBerry)
②音声通話が可能 (画面6インチ以上でヘッドセット通話を想定した端末は含まない)
③高機能かつアプリやソフトウェア等のカスタマイズが可能
④OS環境として(アプリ)開発仕様が公開されていること
⑤キャリア及びメーカーがスマートフォンと位置づけている製品
※今後発売される製品に応じて変更する可能性あり (新しいOSの登場、など)


■注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
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