GIGAスクール端末更新でOSシェアに大きな変化

「小中GIGAスクール第2期におけるICT整備動向調査」(2025年7月時点)

2025年07月31日

  • 第2期のOSシェアはGoogleが60%で1位を維持、第1期から18ポイント増
  • OSを切り替える自治体は28%、主な理由は「周辺自治体が利用」「運用しやすい」
  • 端末単価は平均5万円、自治体・OSごとに差がみられる
  • GIGA第2期の端末調達は2025年度に72%と集中、2026年度は22%

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、文部科学省の「GIGAスクール構想」で配備された1人1台端末の更新(GIGA第2期)について、市区町村の方針を調査し結果をまとめた。調査は2025年6月から7月にかけて実施し、採用予定OS(基本ソフト)と採用理由、調達時期や台数などを尋ねた。全国にある1741すべての市区町村へ電話調査を実施し、1249の市区町村から回答を得た(一部回答を含む。詳細は調査概要を参照)。

◆OSシェアはGoogleが60%で1位を維持、前回から18ポイント増

GIGA第2期ではOSシェアに大きな変化が見られた。端末のOS及び台数に回答した1174団体の621万台をベースに分析すると、GoogleのChromeOSはシェア60%(第1期から18ポイント増)と大きく伸ばし、過半数を超える結果となった(データ1)。中小規模の自治体から、政令市や中核市など大規模自治体まで幅広く採用された。次いでAppleのiPadOSが31%(同2ポイント増)と第1期は僅差で3位だったところから2位に浮上した。一方、MicrosoftのWindowsは10%(同19ポイント減)とシェアを大きく落とした。全体でみるとGoogleが大きくシェアを伸ばし、Microsoftは大きく減らす格好となった。また、回答者の所感として第1期の端末の評価点と理由について聞くと、Windowsは「OSアップデートなど、運用しにくい」「動作が遅い」などの理由から最も低い点数となった。 

【データ1】児童生徒用端末のOSシェア推移

◆OSを切り替える自治体は28%、主な理由は「周辺自治体が利用」「運用しやすい」

GIGA第2期において、第1期から継続して同じOSを利用する自治体が67%と多数派であり、OSを切り替えた自治体※1は全体の28%であった(データ2-1)。第1期での採用OS別にみると、ChromeOSは9割以上、iPadOSは約8割の自治体が継続利用している。他方、複数OS採用やWindowsの自治体では6割以上の自治体がOSを切り替えている。

※1)「切り替え」は第1期と第2期の採用OSが完全一致しない場合を指す。第1期で複数OS採用、第2期は特定OSに統一する事も切り替えとした 

GIGA第2期でのOSの選定理由を聞くと、同じOSを利用する自治体は「現在利用しているOSのため」が94%で大多数を占め、次いで「運用しやすい」が31%となった(データ2-2)。これまで利用してきたOSに慣れており、継続したいという声が大きい。OSを切り替える自治体では、「周辺自治体が多く利用している」が38%と最も多く、「運用しやすい」が33%、「現場の教員からの意見・アンケート結果で選ばれた」が23%と続いた。切り替えにあたっては、整備運用側の意見だけでなく、現場の意見や周辺自治体の状況などが反映されているものとみられる。 

【データ2-1】GIGA第2期でのOS切り替え有無

【データ2-2】GIGA第2期のOS選定理由

◆端末単価は平均5.5万円、自治体・OSごとに差がみられる

MM総研が2024年8月に実施した調査※2では、GIGA第2期で共同調達するうえでの一番の課題は「端末価格の高騰」であった。今回の調査でGIGA第2期での端末単価を聞き取ると、全体平均は5.5万円となった(データ3)。細かくみると自治体ごとにかなりばらつきはあるものの、全体では政府補助の5.5万円前後の価格帯となった。OS別にみると、ChromeOSは平均5.4万円、Windowsが5.5万円、iPadOSが5.7万円となった。iPadOSは他のOSと比べ若干高く、また購入する自治体によってブレ幅が大きかった。

※2)MM総研「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査(2024年8月時点)」

【データ3】GIGA第2期の端末単価

◆GIGA第2期の端末は2025年度に72%、2026年度に22%が調達される

各市区町村が想定する調達予定時期ごとに台数を集計すると、2025年度に更新が集中することが分かった。調達台数と時期の双方に回答を得た1227市区町村の661万台を対象に分析すると、2025年度は調達台数の72%(661万台のうち475万台)、2026年度は22%(同144万台)となることが分かった(データ4)。政府は調達の平準化をアナウンスしているが、現行の端末が古くなってきていることなど、自治体ごとの事情があり、調達時期の後ろ倒しは難しいものとみられる。

【データ4】調達時期別の端末台数(台数合計は661万台

■調査概要
 1.調査対象:全国の市区町村1,741の教育委員会(1,738委員会)
 2.回答件数:1,249件 ※一部回答含む
 3.調査方法:電話による聞き取り、一部e-mailやFAXによる調査票の送付・回収を併用
 4.調査時期:2025年6 ~7月 

レポート発刊のお知らせ
 本調査結果を掲載したレポートを発刊いたします。詳細については担当(高橋)までお問合せください。

■報道に際しての注意事項

 1.本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析について、報道機関限定で詳細データ
  を提供するものです。
 2.出典を「MM総研」と明記して下さい(MMは全角)。
 3.数値などは表ではなくグラフ化して掲載して下さい。
 4.MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値などと異なることがあります。また、
  作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
 5.本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
  -プロモーション(広告・販売促進資料・ホームページ掲載・チラシ等外部に発信する資料・データ)
  -セミナー・講演会
  -その他、営業目的・営利目的での使用
 6.調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。 

■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

本件に関するお問い合わせ先

(株)MM総研

担 当 : 中村、高橋、正置

所在地 : 105-0011 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー

連絡先 : 03-5777-0161

電話をかけるお問い合わせ

おすすめのプレスリリース