8割が新規システム構築時にクラウドを検討、 国内クラウド市場は2015年度に1兆円へ成長

 

2014年11月04日

■ 2013年度の国内クラウド市場は6,257億円、2015年度に1兆円を超える
■ 8割の企業が新規システムの構築時にクラウドを検討、クラウドファーストの浸透が顕著に
■ セキュリティに対する不安やクラウドの移行・運用コストが利用障壁に
■ パブリッククラウドではAmazon、プライベートクラウドではNTTコムが利用・検討1位

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は11月4日、国内クラウドサービスの市場規模・予測と需要動向に関して、クラウドサービスの導入済および検討中の法人計1,259社を対象に調査を実施した結果を発表した。急成長を続けるクラウド市場は前年度比22.6%増加し2013年度6,257億円へ成長した。企業の新規システム構築におけるクラウドの検討が8割へと進み、「クラウドファースト」の浸透が明らかになった。クラウド市場は2015年度には1兆円を超える見込みで、2018年度は2013年度比2.9倍の1兆8,000億円規模まで拡大すると予測する。


 一方、ユーザーにとっては、セキュリティに対する不安やクラウドにかかるコスト、運用面での難しさがクラウドの利用障壁になっていることも明らかになり、クラウド提供事業者やシステム構築事業者は、クラウドへの移行や運用業務を効率化するための支援サービスなどの充実が求められている。

 また、クラウドサービス提供事業者間の競争は激しさを増し、著しい速度で低価格化と機能の進化が同時に起こっている。データセンターへの投資を含め、スケールメリットを活かしたグローバルベンダーの存在感が増してきており、追随する国内ベンダーは価格や機能、利便性などの面で一層の差別化が必至となっている。


■ 国内クラウド市場は2015年度に1兆円を超える

 2013年度におけるクラウド市場全体は前年度比22.6%増の6,257億円となった。2018年度までの年平均成長率は23.6%で、2015年度には1兆円を超え、2018年度には2013年度比2.9倍の1兆8,081億円に達すると予測する。

 パブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)は2013年度1,869億円で前年度比34.2%増となった。IaaS/PaaSの急成長を背景に、パブリッククラウドは2018年度まで年平均21.2%で成長し、2013年度比2.6倍の4,882億円に達すると予測する。

 プライベートクラウド(ホステッド、オンプレミスおよびコミュニティ)は2013年度4,388億円で前年度比18.3%増となった。2013年度~2018年度までの年平均成長率は24.6%で推移し、コミュニティクラウドやホステッド・プライベートクラウドの拡大により2017年度に1兆円を超え、2018年度には2013年度比3.0倍の1兆3,199億円になると予測する。クラウド市場におけるプライベートクラウドの比率は2013年度70.1%を占めるが、2018年度には73.0%と緩やかにシェアを高め、引き続きクラウド市場を牽引する傾向が見られる。


■ 8割の企業が新規システムの構築時にクラウドを検討、クラウドファーストの浸透が顕著に

 クラウドサービスの急成長の背景には、国内の法人ユーザーの意識の変化がある。新規システム構築時にクラウドの活用検討する法人ユーザーは、2013年調査時の69.1%から78.1%へ9ポイント増加し、「クラウドファースト」が浸透してきていることが鮮明になった。


 原則的にプライベートクラウドやパブリッククラウドを利用する割合は40.5%(2013年調査時35.0%)、クラウドを検討に入れる割合は37.6%(同34.1%)となった。今後は、非クラウド環境のオンプレミス型についてもクラウドのメリットを積極的に勘案してクラウド側へシステムを移行していく企業が増加すると推測される。


■ セキュリティに対する不安や運用コストなどがクラウドの利用障壁に

 パブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)を利用しない企業の理由は「情報漏えいなどのセキュリティが心配」が最も多く3割を超え、セキュリティへの不安が利用障壁となっていることが分かった。次いで「運用コストが高くなってしまう」、「既存システムとの一体的な運用が難しい」と続き、運用面の不安が上位を占めた。既存システムとの連携など、情報システム基盤として本格的な活用を検討するユーザーが増える中、クラウドの運用効率化が課題になっている。



■ IaaS/PaaSでは3社に1社がAmazonを利用・検討、プライベートクラウドはNTTコムが最多

 パブリッククラウドのIaaS/PaaSを利用・検討している法人ユーザー(n=701)が選ぶサービスは「Amazon Web Services」が33.7%と最も多く、概ね3社に1社に上ることが明らかになった。ホステッド・プライベートクラウド(n=695)では「Bizホスティング Enterprise Cloud」(NTTコミュニケーションズ)が19.0%と最も多く、Amazon、NTTコミュニケーションズともに2013年調査時の利用・検討率を大きく上回る結果となった。また、オンプレミス・プライベートクラウドの構築サービスを利用・検討している法人ユーザー(n=659)では、ベンダーとして「IBM」(18.7%)が最も多く挙げられた。

 AmazonがIaaS/PaaSで圧倒的なシェアを獲得する一方、NTTコミュニケーションズやIBM、2位以下で名前が挙がる富士通などは安価なパブリッククラウドから高品質なプライベートクラウドの構築サービスまで幅広いラインアップを持つ強みを活かし、顧客からクラウドの各分野で支持を得ている。



 この調査では、クラウド市場をパブリッククラウド(SaaSおよびIaaS/PaaS)とプライベートクラウド(ホステッド、オンプレミスおよびコミュニティ)に分類した。事前調査として、国内法人ユーザーを対象にWebアンケートを実施し、3,099法人にアンケート回答を求め、その中から実際にクラウドサービスを導入済、あるいは検討している1,259法人を対象に調査を実施した。
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<調査概要>
1.調査対象  :国内法人ユーザー※
2.回答件数  :予備調査(n=3,099)、本調査(n=1,259)
※情報システムやネットワークの管理・運用担当者または、決裁や選定に関与する立場
※本調査はクラウドサービスの利用・検討者を対象
3.調査方法 :Webアンケート
4. 調査期間 :2014年8月21日~8月29日
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