2024年度のAIスマホ出荷台数は前年度比3倍の1149万台へ
AIスマートフォン市場規模の推移・予測(2024年8月時点)
2024年08月29日
■2024年度のAIスマホ出荷台数は1149万台でスマートフォン市場全体の44.2%を占める見通し
■2025年度は1913万台(AIスマホ比率71.5%)、2028年度には2317万台(同88%)に拡大へ
■AIスマホの購入意思額上限は76,798円で現利用端末よりも20%高い
ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称 MMRI、東京都港区、関口和一所長)は8月29日、AI(人工知能)スマートフォンの出荷台数推移・予測についてまとめるとともに、一般消費者(1468人)にWebアンケート調査を実施し、AIスマートフォンの購入意向を明らかにした。AIスマートフォンに関する明確な定義はないが、MM総研では①端末に搭載される生成AIにより通信を介さずとも音声/画像/映像などのコンテンツを効率的に生成・変換・編集できる②AI機能を実現するSoC(システム・オン・チップ)を搭載③メーカーがAI機能を訴求もしくはAIスマートフォンと位置付けている――の3つを兼ね備えたスマートフォンと定義する。
※発売時点ではAIスマートフォンとしての機能を有していなくても発売後のソフトウエアアップデートにより、AIスマートフォン化する製品を含む(今後のアップデートを含む)
AIスマホ出荷台数は2028年度に2317万台(AIスマホ比率88%)に拡大
MM総研調べでは2023年度のAIスマートフォン(以下AIスマホ)出荷台数は385.3万台で、スマートフォン出荷台数に占める比率は15.1%であった。2024年度は1149万台(前年度比198.2%増)、AIスマホ比率は44.2%(同29.1ポイント増)が見込まれる。その後も台数・比率は上昇し続け、2028年度には2317万台(スマホ比率88.0%)に拡大すると予測する。
AIスマートフォンの出荷台数推移・予測(2023年度~2028年度)
AIスマホのモデル数はサムスン電子(Galaxy)、グーグル(Pixel)の順で多い
2023年度に出荷されたAIスマホのうち、発売時点でAIスマホ機能を利用できた端末はグーグルのPixel 8/Pixel 8 Pro、サムスン電子のGalaxy S24/Galaxy S24 Ultraの4モデルのみである。2024年7月発売のGalaxy Z Fold6/Galaxy Z Flip6に加えて、発売済みのGalaxy S23シリーズやGalaxy Z Fold5/Galaxy Z Flip5など9モデルが2024年4月以降のソフトウエアアップデートでGalaxy AIに対応した。同社のAIスマホは2024年8月現在では13モデルと最多である。グーグルからはPixel 8a(2024年5月発売)、2024年8月に発表したPixel 9シリーズ4モデルが順次発売を予定している。これらモデルをあわせるとグーグルは該当モデルが7モデルとなる。その他、シャープのAQUOS R9、モトローラのmotorola edge 50 pro/edge 50s proもAIスマホに位置づけられる。
2024年秋以降に発売されるすべてのiPhoneはAIスマホと予測
日本のスマートフォン市場ではではアップル(iPhone)のシェアが50%超と人気だが、本リリースの発表時点でAIスマホとして利用できるモデルはない。しかし、2024年秋以降で発売されるすべてのiPhoneにはアップルの生成AIサービス「Apple Intelligence」が搭載されると予測する。また、発売中のiPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro Maxの2モデルは今秋以降のアップデートによりAIスマホ化すると想定し、2023年度のAIスマホ出荷台数に含めている。
SoCは米クアルコム製品の採用が目立ち、グーグル・アップルは自社製を採用
AIスマホとしての機能を実現する際に重要なSoCをみると、サムスン電子・シャープ・モトローラは米クアルコムのSnapdragonシリーズを搭載。グーグルとアップルは自社製で、それぞれTensor(テンサー)シリーズ、A17 Pro(iPhone 15 Pro/iPhone 15 Proの場合)を搭載している。今後は台湾メディアテック製のSoCを搭載したモデルが登場することも予測される。
AIスマホの購入意向(検討含む)は61.2%と高い
アンケートでAIスマホの購入意向を質問した結果、「購入したい」が13.8%、「検討したい」が47.4%であわせて61.2%と高い購入意向を示した。年代別でみると若年層ほど高い購入意向を示す傾向が明らかとなった。また、購入意向者が現在利用するスマートフォンの(割引適用後)購入価格を加重平均により算出すると64,114円、AIスマホを購入する場合に支払ってもよい上限額は76,798円となった。AIスマホの普及により購入単価は12,684円、比率にして最大20%上昇する可能性もあるだろう。
AIスマートフォンの出荷台数推移・予測(2023年度~2028年度)
Webページの閲覧時や検索時での利用意向が1位・2位を独占
AIスマホの購入意向者に、AIスマホで利用したい機能について複数回答で質問した結果、「Webページの要約や翻訳」(37.2%)、「Web検索のサポート機能」(36.9%)、「リアルタイムでの対面の音声通訳や通話時の通訳、チャット翻訳」(34.9%)、「迷惑電話対策機能」(32.7%)、「写真・動画撮影時のシーンを自動分析」(30.9%)が上位5つとなった。上位2つはWebページの閲覧や検索時に活躍する機能であり、3~5位は翻訳、迷惑電話対策、写真・動画といった多様な用途で活躍する機能が幅広くランクインしている。以下は画像・動画関連および文章関連の機能が目立っている。画像・動画に関する機能はSNS投稿との親和性が高いことから若年層ほど利用意向が高くなった。一方、Webや音声の翻訳機能や迷惑電話対策の機能については高齢層で高く支持される傾向がみられた。
AIスマートフォンで利用したい機能(n=899/複数回答)
AIスマホによる買い替え需要に期待
MM総研の出荷統計データでは、2023年度のスマートフォン出荷台数は2547.2万台で、ピークとなった2021年度(3385.1万台)から2年で25%減少した。今後も3000万台規模へのV字回復は見込めず、2600万台前後の推移と予測している。しかし個人による生成AIの活用も進んでいることから(※1)、AIスマホは今後の買い替え需要を底堅いものとし、新ジャンルのスマートフォンとして幅広いユーザーに支持されていくだろう。AIスマホの登場によって人々の生活がどのように便利になっていくのか、非常に楽しみである。
※1:生成AIの個人利用状況調査(2024年8月時点)
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=639
■調査概要
- 調査対象:15~69歳の男女
- 回答件数:1,468人
- 調査方法:Webアンケート
- 調査時期:2024年8月
■報道に際しての注意事項
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。
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