施工管理支援アプリの利用率は35%、働き方改革でさらに導入が進む

「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査(2024年4月)」

2024年05月09日

■ 建設業の施工管理支援アプリの利用率は35%、ゼネコンに絞ると49%に達した

■ 検討中の企業も13%あり、4月の働き方改革関連法適用後もさらに導入が進む見通し

■ 事業者別シェアは建設業全体では建設システムの「デキスパート・SiteBox」が19%で1位、ゼネコンではMetaMoJiの「eYACHO」が26%で1位

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は年商10億円以上の建設業を対象にWebアンケート調査を実施し、施工管理支援アプリの利用動向をまとめた。本調査では建設業で同アプリを実際に利用する立場の施工管理・設計・施工従事者532人を対象とした。調査結果によると、施工管理支援アプリを利用しているエンドユーザーは35%だった。現場の施工よりも施工管理業務が多いゼネコン(総合建設会社)に絞ると49%に達した。また、「2024年問題」として4月からの働き方改革関連法の適用(時間外労働の上限規制など)で人手不足に拍車がかかるとされる建設業だが、施工管理支援アプリの導入を検討中の企業も13%あり、法適用後も効率化手段の1つとして同アプリの導入が進む見通しだ(データ1)

施工管理支援アプリは、建設現場で施工写真や設計図面、資料、報告書、日報の共有、さらには工程や品質の管理までするアプリで、スマートフォンやタブレットにダウンロードして利用する。施工管理業務が多いゼネコンのほか、専門分野ごとのサブコン(設備工事会社)、専門工事会社、住宅・工務店、その他建設業の施工管理担当者や現場監督が利用しており、利用者からは「データのやり取りが便利」「現場がスムーズに動く」「作業効率が良い」「残業が減った」といった声が聞かれた。

事業者別シェアは、専門工事会社を含む建設業全体では建設システム(静岡県富士市)の「デキスパート・SiteBox」(SiteBoxは工事写真アプリ)が19%で1位、ゼネコンではMetaMoJi(東京都港区)の「eYACHO」が26%で1位となった(データ2・3)

【データ1】施工管理支援アプリの導入利用有無・ニーズ

◆建設業の施工管理支援アプリの利用率は35%、ゼネコンに絞ると49%に

調査は建設業で施工管理支援アプリを実際に利用する立場の施工管理・設計・施工従事者532人を対象に実施した。回答者の建設業の業種内訳は、ゼネコンが193人で36%、サブコンが78人で15%、住宅・その他建設業が261人で49%だった。所属部門は、施工管理が65%ともっとも多く、次が設計で26%、施工が9%だった。調査時期は2024年4月からの働き方改革関連法の適用後で、4月16~18日とした。

調査結果によると、施工管理支援アプリを利用している建設業のエンドユーザーは35%だった。現場の施工よりも施工管理業務が多いゼネコンに絞ると49%に達した(データ1)。それ以外のサブコン・住宅・その他建設業の利用率は27%にとどまり、ゼネコンに比べ利用されていなかった。

一方、利用を「検討中」と回答した建設業のエンドユーザーも13%あり、今年4月の働き方改革関連法の適用後も効率化手段の1つとして施工管理支援アプリの導入が進むことが分かった(データ1)。導入が一番進んでいるゼネコンでは「検討中」は10%だが、それ以外のサブコン・住宅・その他建設業では15%と比較的高く、今後はゼネコン以外の建設業にも広く普及が進む見通しとなった。今後普及が進むにつれ、建設業全体として「まだ考えていない」と回答した14%の層にも同アプリの導入が広がる可能性があるほか、ゼネコンの中でも今後は大手から中堅中小ゼネコンや地場ゼネコンに広がっていくとみられる。

◆建設業全体では「デキスパート・SiteBox」、ゼネコンでは「eYACHO」が1位を獲得

事業者別シェアは、専門工事会社を含む建設業全体では1位が建設システム(KENTEM、静岡県富士市)の「デキスパート・SiteBox」(SiteBoxは工事写真アプリ)で19%、2位がスパイダープラスの「SPIDERPLUS」で18%、3位がMetaMoJiの「eYACHO」で16%と続いた。4位はアンドパッド(東京都千代田区)の「ANDPAD」と、ルクレ(東京都港区)の「蔵衛門」で同率10%となった(データ2)

【データ2】施工管理支援アプリの導入ユーザーが最も頻繁に利用する製品(建設業全体)

ゼネコンでは1位はMetaMoJiの「eYACHO」で26%、2位が建設システム(KENTEM)の「デキスパート・SiteBox」(SiteBoxは工事写真アプリ)で21%、3位がスパイダープラスの「SPIDERPLUS」で13%と続いた。4位はアンドパッドの「ANDPAD」と、ルクレの「蔵衛門」で同率10%となった(データ3)

 

【データ3】施工管理支援アプリの導入ユーザーが最も頻繁に利用する製品(ゼネコン)

建設業には多数の工程と専門分野があるため、一言で施工管理業務をITで効率化するといっても施工管理支援アプリでカバーすべき範囲は多岐にわたる。建設現場で施工写真や設計図面、資料、報告書、日報を共有することがベースとなるが、そのリアルタイム性、書き込み、共有のしやすさ、使いやすさ、自動化の追求、多数の工程や専門分野ごとの品質管理にも対応するなど、まだまだ発展の余地は大きい。そのため、施工管理支援アプリの市場には多数の事業者が参入しており、今後も新たな差別化機能を追加し切磋琢磨しながら建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていくこととなろう。

■調査概要
1.調査対象:建設業で施工管理支援アプリを実際に利用する立場の施工管理・設計・施工従事者
2.回答件数:532件
3.調査方法:Webアンケート
4.調査時期:2024年4月16~18日

■注意事項
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