日本のiPhone販売価格は世界38の国・地域の中で最安

世界のiPhone販売価格調査(2023年9月)

2023年09月21日

■日本のiPhone 15シリーズ販売価格は世界38の国・地域で最安(iPhone15除く)

■日本のiPhone指数は2.76%で22番目と下位にランクされる

■電気通信事業法改正による端末値引き上限4万円がiPhoneシェアに影響するか

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、世界38の国・地域(以下、国と記載)を対象にiPhoneの販売価格を調査し、その結果を発表した。本調査では2023 年9月12日(現地時間)に米国で発表、9月22日に発売開始されるiPhone 15シリーズを中心に各国のアップルオンラインストア(以下、アップルストア)の価格を比較分析した。対象モデルはiPhone 15シリーズからiPhone 15 128GB(以下iPhone 15)、iPhone 15 Plus 256GB(以下iPhone 15 Plus)、iPhone 15 Pro 512GB(以下iPhone 15 Pro)、iPhone 15 Pro Max 1TB(以下iPhone 15 Pro Max)の4モデル、加えて2022年9月発売のiPhone 14 128GB(以下iPhone 14)及び2022年3月発売のiPhone SE第3世代 64GB(以下iPhone SE3)の計6モデルを対象とした。比較分析はアップルストアによる直販価格に各国通貨と円の為替レートを用いた円換算ベースの金額とした。

調査の結果、iPhone 15シリーズの日本販売価格は、iPhone 15(124,800円)、iPhone 15 Plus(154,800円)、iPhone 15 Pro(204,800円)、iPhone 15 Pro Max(249,800円)で、iPhone 15を除く3モデルは38の国・地域の中で最安、iPhone 15は中国に次いで2番目に安い国となった(データ1)。iPhone 14(112,800円)は同じく中国に次いで2番目、iPhone SE3(62,800円)は最安であった(データ2)

【データ1】世界のiPhone 15シリーズ販売価格(2023年9月時点)

iPhone 15シリーズは3モデルで日本が最安

2023年9月発売のiPhone 15の販売価格は124,800円で日本は2番目に安い国であった。最安は中国(122,429円)、3番目は香港(130,170円)、4番目はアップルが本社を構える米国(132,731円)、5番目は台湾(135,909円)となった。日本以外の平均は153,518円で日本よりも約28,700円高く、最高値のトルコ(277,772円)は日本の2.2倍となっている。

画面サイズが6.7インチと大型のiPhone 15 Plusは日本が154,800円で最安、2番目は香港(160,358円)、3番目は中国(163,245円)、4番目は米国(164,753円)、5番目は台湾(165,455円)の順となった。日本以外の平均は193,113円で日本よりも約38,300円高く、最高値のトルコ(338,883円)は日本よりも約184,000円高くなっている。

iPhone 15 Proは日本が204,800円で最安、2番目は米国(207,983円)、3番目は香港(209,415円)、4番目は台湾(215,455円)、5番目はオーストラリア(218,091円)の順となった。日本以外の平均は252,257円で日本よりも約47,500円高く、最高値のトルコ(427,772円)は日本よりも約223,000円高くなっている。

iPhone 15 Pro Maxは日本が249,800円で最安、2番目は米国(256,016円)、3番目は香港(256,585円)、4番目はオーストラリア(263,545円)、5番目はマレーシア(265,594円)の順となった。日本以外の平均は310,002円で日本よりも約60,200円高く、最高値のトルコ(516,661円)は日本よりも約267,000円高くなっている。

iPhone 15シリーズの発売時価格とPhone 14シリーズの発売時価格を比較して値上(値下)率を算出した。日本では、iPhone 15/iPhone 15 Plusが5,000円、iPhone Pro/iPhone Pro Maxでは10,000円、それぞれiPhone 14シリーズより高くなった。値上率はともに4.2%となる。なお、米国における現地販売価格はiPhone 15では829ドルでiPhone 14から据え置きとなった。最も高いiPhone 15 Pro Maxも1599ドルで同様に据え置きとなった。iPhone 15の現地通貨による価格比較の結果では、昨年調査対象外のベトナムを除く37カ国中8カ国が値上げとなり、その中に日本も含まれる。19カ国が値下げとなった。特に欧州のユーロ圏では5%の値引きとなった。iPhone 14とiPhone 15の発売価格の設定については、為替レートが影響していると推察される。

為替相場の影響に伴い順位が変動、iPhone 14/SE3は日本が再び最安水準に

iPhone 15シリーズが発売されたことで、型落ちモデルとなったiPhone 14は世界各国で値下げが行われた。日本は112,800円でiPhone 15発売前(119,800円)から7,000円の値下げで、日本の価格は2番目の安さとなった。最安は中国(110,184円)であった。3番目は香港(113,189円)、4番目は米国(116,720円)、5番目は台湾(117,727円)。日本以外の平均は135,258円、最高値はiPhone 15シリーズ同様にトルコ(244,439円)であった(データ2-1)

2022年3月発売のiPhone SE3の日本における販売価格は、iPhone 15の発売による変化はみられず62,800円で最安となった。2番目はオーストラリア(65,364円)、3番目は台湾(67,727円)、4番目は米国(68,687円)、5番目は香港(69,792円)となった。日本以外の平均は82,949円、最高値は同様にトルコ(138,883円)となった。(データ2-2)

【データ2-1】世界のiPhone 14の販売価格

【データ2-2】世界のiPhone SE3の販売価格 

iPhone 14が発売された2022年9月から2023年9月までの13カ月間のiPhone 14及びiPhone SE3の日本販売価格の順位(安い順)は以下のように推移した。2022年9月から2022年11月は両モデルともに最安であったが、2022年12月から2023年2月にかけては円ドル為替が円高基調となった影響により、本調査手法の特性で日本価格は相対的に上昇して順位は下降した。再び円安基調となり、2023年5月以降の日本価格は相対的に減少して順位が上昇。上述の通り2023年9月順位はiPhone 14が2位、iPhone SE3は1位となった(データ3)。

【データ3】日本のiPhone 14・iPhone SE3の販売価格順位の推移(安い順) 

日本のiPhone指数(iPhone 15価格÷平均賃金)は2.76%

国や地域で異なる通貨や価格設定となるが、iPhoneの購入のしやすさを比較するため、iPhone 15の価格が年間の平均賃金に占める比率をiPhone指数として算出した(データ4)。なお、平均賃金はOECD(経済協力開発機構)によるデータを参照した(出典1)。OECD加盟国以外はIMF(国際通貨基金)による一人当たりGDPを代替データとして活用した(出典2)。同指数は値が小さいほどiPhoneが購入しやすいといえる。

日本のiPhone指数は2.76%で38の国・地域の中で22番目と下位にランクされた。最も小さいのはスイスで0.91%、2番目はシンガポール(1.16%)、3番目は米国(1.17%)、4番目はルクセンブルク(1.23%)、5番目はカナダ(1.61%)の順となった。最も高いのはインドで40.70%となった。2番目に高いのはフィリピン(28.09%)、3番目に高いのはベトナム(23.34%)となった。

【データ4】iPhone指数(平均賃金に占めるiPhone 15価格) 

電気通信事業法の再改正による端末値引き上限4万円でiPhone割引が再加熱か

日本のiPhone価格は世界38の国・地域の中で最安水準であるが、平均賃金を加味したiPhone指数は22番目と下位にランクされる。日本のiPhoneシェアは約50%と高い。本調査対象の38カ国の中で、iPhoneシェア40%以上は10カ国と分析しているが、日本はiPhone購入の金銭的負担が高いにもかかわらずiPhone人気が高い国といえるだろう。今回、日本のiPhone 15価格はiPhone 14よりも値上がりしたが、ドル円相場の円安が進行した場合は、iPhone価格が更に上昇することも危惧される。

実際、2022年度下期からiPhone単体一括1円販売が終了されるなど、極端な値引き販売が少なくなった影響で、販売市場におけるiPhoneシェアは減少していると分析する。そうした市場環境の中で、今後のiPhone販売シェアを押し上げる要因としては、2023年末の施行が想定される電気通信事業法の一部改正があげられる。改正後には販売価格8万円を超えるiPhone 15シリーズは4万円値引きが適用できる。更に大手携帯キャリアによる購入から一定期間利用後の下取りを前提とした販売プログラムを活用した場合、実質負担額を大幅に抑えることが可能となる。その結果、新規・MNP獲得を目的としたiPhone値引き販売が再び過熱することも考えられる。日本市場で高いシェアを誇るiPhoneに対抗すべく、Androidメーカーとしても台頭してきたグーグルがPixelスマートフォンのプロモーションにも注力しており、台数・シェアが上昇している。iPhone 15シリーズの登場による競争激化と市場活性化が注目される。


 

■調査手法

「販売価格」:アップルストアでの直販価格(消費税などの税金を含む。米国はニューヨーク州、カナダはオンタリオ州として計算)
「為替」:各iPhoneの発売(発表)時点、2022年10月以降の月初調査時点
「対象国・地域(全38)」2023年9月のiPhone 15販売価格が安い順(”/”は同額の意)
中国、日本、香港、米国、台湾、アラブ首長国連邦、オーストラリア、タイ、マレーシア、カナダ、韓国、スイス、ベトナム、シンガポール、インド、ルクセンブルク、イギリス、ニュージーランド、フィリピン、ドイツ/オーストリア、スペイン、フランス/オランダ/ベルギー、イタリア/アイルランド、ポルトガル/フィンランド、スウェーデン、チェコ、ポーランド、メキシコ、ノルウェー、ハンガリー、デンマーク、ブラジル、トルコ。

出典1:OECD(経済協力開発機構)「平均賃金」
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/average-wages-japanese-version.htm
現地通貨による平均賃金を採用 

出典2:IMF(国際通貨基金)「一人当たりGDP」
https://www.imf.org/external/datamapper/PPPPC@WEO/OEMDC/ADVEC/WEOWORLD
一人当たりGDPの購買力平価(PPP)換算の米国ドル金額に2023年9月13日時点の為替をかけて算出

 参考1:MM総研「2022年度通期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=576

 


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