楽天の優位が続くも、ドコモをはじめ各キャリアが追い上げ

ポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況調査(2023年8月時点)

2023年09月20日

  • ■ポイントのクロスユース率は楽天が73.1%でトップを維持、ドコモが40.4%と躍進
  • ■QRコード決済ではソフトバンクが55.3%と半数超えで引き続きトップ
  • ■クレジットカードは楽天が65.8%、ドコモは6.6ポイント増で追い上げ

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は15~79歳の男女50,259人を対象にWebアンケート調査を実施し、2023年8月時点のポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況をまとめた。携帯電話利用者が、契約先の携帯キャリアが提供する各種サービスを「最も利用している」と回答した比率(以下クロスユース率)を指標とした。本調査では、①ポイントサービス②QRコード決済③クレジットカード④ECサイトーーの4領域を分析した。なお、携帯電話はメインで利用しているものを対象とした。

調査結果によると、ポイントサービス/クレジットカード/ECサイトのクロスユース率は楽天モバイル※1が前回調査(2021年8月時点)に引き続きトップだった(データ1・2・4・5)。特に、エコシステムの要となるポイントサービスのクロスユース率は73.1%と、2位のドコモに30ポイント以上の差をつけている。ドコモはポイントサービスのクロスユース率を前回調査比で8.0ポイント増の40.4%まで伸ばし(データ2)、QRコード決済利用率も32.6%と約12ポイント伸長するなどドコモユーザーのクロスユース率の伸びが大きい結果となった(データ3)。QRコード決済のクロスユース率では、ソフトバンクが引き続き55.3%(8.8ポイント増)でトップを維持しているが、他の3キャリアも3割前後にまで伸び、QRコード決済の普及が進んでいる。(データ3)

※1. 2023年8月分の集計から楽天モバイルは楽天MNOサービス利用者のみ集計。

【データ1】サービスごとのキャリア別クロスユース状況(2023年8月時点)

 

◆ポイントのクロスユース率はdポイントが順調に利用率を伸ばす

携帯キャリア(グループ企業含む)が提供するポイントサービスのクロスユース率は、楽天モバイルユーザーによる「楽天スーパーポイント」が73.1%で最も高く、次いで「dポイント」の40.4%だった(データ2)

【データ2】携帯キャリアとポイントサービスのクロスユース状況

※2022年は調査未実施
※ソフトバンクは2021年まではTポイントで集計

2021年8月調査時と比較して最も高い伸びを示したのは、ドコモユーザーによる「dポイント」で8.0ポイント増の40.4%。ドコモユーザーによるクロスユース率は今回調査した4項目すべてで増加しており、複合的にクロスユース率を伸ばしたのではないかと考えられる。2023年4月に開始した各種映像配信サービスの月額料金に対してポイント還元を受けられる「爆アゲセレクション」は各サービス10~25%の還元を受けられるなど高い還元率を設定しており、ユーザーのdポイント利用率向上に寄与しているものとみられる。ソフトバンクは2022年3月31日をもって「Tポイント」との提携を終了したため、今回の調査では「PayPayポイント」で集計をしている。Tポイントに比べると、PayPayポイントのクロスユース率はTポイント提携時の割合に届かず、クロスユース率は31.7%にとどまった。楽天モバイルとauはそれぞれ前回調査時から0.8ポイント、1.8ポイント減とあまり変動がなかった。

◆QRコード決済のクロスユース率でソフトバンクがトップを維持

携帯キャリアが提供するQRコード決済のクロスユース率では、ソフトバンクユーザーによる「PayPay」が55.3%で最も高く、利用率が半数を超えた。次いでドコモユーザーによる「d払い」が32.6%だった(データ3)。2021年8月末調査時と比較して最も高い伸びを示したのは、d払いで11.9ポイント増。PayPayのユーザー数は5700万人(2023年4月時点)、d払いは5199万人(2023年3月末)とd払いユーザー数はPayPayユーザー数に迫る勢いだ。順調なユーザー数の増加がクロスユース率の増加につながったと考えられる。ソフトバンクは「超PayPay祭」や地方自治体と連携した「あなたのまちを応援プロジェクト」など、PayPay独自のキャンペーンを展開しユーザーを拡大させた。楽天モバイルユーザーによる「楽天Pay」は9.2ポイント増の31.2%だった。auユーザーによる「au Pay」は2.7ポイント増の28.1%となり、QRコード決済利用率が3割近くまで伸びた。

【データ3】携帯キャリアとQRコード決済のクロスユース状況

◆クレジットカードのクロスユース率は楽天が65.8%、伸び率はdカードがトップ

携帯キャリアが提供するクレジットカードのクロスユース率では、楽天モバイルユーザーによる「楽天カード」が65.8%で最も高く、次いでドコモユーザーによる「dカード」が24.9%だった(データ4)。2021年8月末調査時と比較して、楽天モバイルの2.8ポイント増に対し、ドコモは6.6ポイント増で、auの1.1ポイント増、ソフトバンクの1.9ポイント増と比べてもドコモのdカードのクロスユース率の伸びがトップとなり、追い上げが鮮明となっている。

【データ4】 携帯キャリアとクレジットカードのクロスユース状況

◆ECサイトのクロスユース率ではドコモのみ増加

携帯キャリアが提供するECサイトのクロスユース率では、楽天モバイルユーザーによる「楽天市場」が58.7%で最も高く、次いでソフトバンクユーザーによる「Yahoo!ショッピング」の23.6%だった。3位はauユーザーによる「au Payマーケット」で7.5%、ドコモユーザーによる「dショッピング」は2.4%だった(データ5)。アンケート対象者全体のECサイト利用率も1.2ポイント減少しているため、今回の調査ではややECサイトを利用しない層が回答した結果、全体的にクロスユース率も減少に転じた可能性があり、増加したのはdショッピングのみ(0.7ポイント増)であった。

【データ5】携帯キャリアとECサイトのクロスユース状況

◆決済事業を軸とした経済圏の拡大競争が続く

電気通信事業法改正で端末と通信回線セットの割引規制が強まる中、契約による縛りではなく周辺サービスの利用率を高めることで、キャリアサービス経済圏によるユーザーの囲い込みを各社は狙っている。楽天モバイルは引き続き高いクロスユース率を示しモバイルユーザーの囲い込みに成功しているが、「楽天経済圏」のユーザーをどの程度楽天モバイルに引き込めるかが今後の要となってくるだろう。

2021年8月末調査比で各社とも大きな伸びを見せたのはQRコード決済だ。4社のクロスユース率を平均すると、QRコード決済は平均8.2ポイント増と他の項目よりも伸び率が高かった。2021年10月には決済手数料有料化による加盟店の離脱が懸念されたが、ユーザーのQRコード決済利用率は確実に上昇している。今後も、各サービスのタッチポイントとなる決済事業で囲い込みを強化し、他サービスへ誘導できるかが重要となる。 

 

 関連プレスリリース:「ポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況調査(2021年8月末時点)」

https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=506

 

【調査結果1】携帯キャリアと各種サービスのクロスユース状況

 

【調査結果2】携帯キャリアと各種サービスのクロスユース状況(上位5サービス)

携帯キャリアとポイントサービスのクロスユース率

携帯キャリアとQRコード決済のクロスユース率

携帯キャリアとクレジットカードのクロスユース率

携帯キャリアとECサイトのクロスユース率

 


 ■調査概要

  1. 調査対象:15~79歳の男女
    回答件数:5万259人
    (うち、現在4キャリアを個人利用かつメインで利用している回答者を対象に分析。

ドコモ35.3%(1万7720人)、au 19.0%(9543人)、ソフトバンク 11.8%(5805人)、楽天モバイル 7.7%(3881人)

  1. 調査方法:Webアンケート
  2. 調査期間:2023年8月10~15日

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