ポイントを軸としたエコシステムで楽天の優位が続く

「ポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況調査」(2021年8月末時点)

2021年09月08日

■ポイントのクロスユース率では楽天が73.9%でトップを維持
■ポイントのクロスユース率でドコモ・auが3割近くまで追い上げ
■QRコード決済のクロスユースではソフトバンクが46.5%でトップを維持
■クレジットカードのクロスユース率は楽天が63.0%、3大キャリアは微増にとどまる

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は15歳~79歳の男女5万1206人を対象にWebアンケート調査を実施し、2021年8月末時点のポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況をまとめた。携帯電話利用者が、契約先の携帯キャリア会社が提供する各種サービスを「最も利用している」と回答した比率(以下、クロスユース率)を指標とした。本調査では、①ポイントサービス、②QRコード決済、③クレジットカード、④ECサイトの4領域を分析した。なお、携帯電話はメインで利用しているものを対象とした。

調査結果によると、ポイントサービス/クレジットカード/ECサイトのクロスユース率は楽天モバイル※1が前回に引き続きトップだった(データ1・2・4・5)。特に、エコシステムの要となるポイントサービスのクロスユース率は73.9%と、2位のソフトバンクに39.4ポイントの差をつけている。これに対抗する3大キャリアも着実に実績を伸ばしており、2020年6月末調査比で ドコモが4.4ポイント増の32.4%、auが8.2ポイント増の26.4%と伸長(データ2)。QRコード決済のクロスユース率では、ソフトバンクが46.5%(5.7ポイント増)でトップを維持し、既存ユーザーを中心に利用率を伸ばした(データ3)

※1 楽天モバイルには楽天MNOサービスと楽天MVNOサービス利用者の両者を含む。

【データ1】サービスごとのキャリア別クロスユース状況

ポイントのクロスユース率でドコモ・auが3割近くまで追い上げ

各携帯キャリア(グループ企業含む)が提供するポイントサービスのクロスユース率は、楽天モバイルユーザーによる「楽天スーパーポイント」が73.9%で最も高く、次いでソフトバンクユーザーによる「Tポイント※2」の34.5%だった(データ2)

※2.「Tポイント」はソフトバンクと提携関係にある。

【データ2】携帯キャリアとポイントサービスのクロスユース状況


2020年6月末調査時と比較して最も高い伸びを示したのは、auユーザーによる「Pontaポイント」で8.2ポイント増の26.4%。au ポイントとPontaポイントの統合後、モバイルを始めとしたau各種サービスでポイント還元施策を積極的に実施したことが利用率の向上につながったとみられる。次いで高かったのは、ドコモユーザーによる「dポイント」で4.4ポイント増の32.4%だった。両社ともに本調査開始時点でのクロスユース率は低かったものの、3割近くまで伸ばしている。一方、ソフトバンクは2.6ポイント減と前回に引き続き減少した。PayPayを軸とした会員戦略にシフトしたため、Tポイントの利用率が減少したと考えられる。楽天モバイルは、前回調査時から0.6ポイント減とあまり変動はなかった。

QRコード決済のクロスユース率でソフトバンクがトップを維持

各携帯キャリアが提供するQRコード決済のクロスユース率では、ソフトバンクユーザーによる「PayPay」が46.5%で最も高く、次いでauユーザーによる「au Pay」が25.4%だった(データ3)。2020年6月末調査時と比較して最も高い伸びを示したのは、auで9.5ポイント増。今年2月に70億円規模のキャンペーンを展開するなどし、利用者拡大につなげた。その他、楽天モバイルユーザーによる「楽天Pay」は2.9ポイント増の22.0%、ドコモユーザーによる「d払い」は5.0ポイント増の20.7%だった。

【データ3】携帯キャリアとQRコード決済のクロスユース状況



クレジットカードのクロスユース率は楽天が63.0%、3大キャリアは微増にとどまる

各携帯キャリアが提供するクレジットカードのクロスユース率では、楽天モバイルユーザーによる「楽天カード」が63.0%で最も高く、次いでドコモユーザーによる「dカード」が18.3%だった(データ4)。2020年6月末調査時と比較して、楽天モバイルが1.7ポイント減に対し、3大キャリアはドコモが3.6ポイント増、auが3.0ポイント増、ソフトバンクが0.6ポイント増と僅かな伸びにとどまり、楽天との差を大きく詰めることはできなかった。

【データ4】携帯キャリアとクレジットカードのクロスユース状況


ECサイトのクロスユース率ではauが追い上げの兆しを見せる

各携帯キャリアが提供するECサイトのクロスユース率では、楽天モバイルユーザーによる「楽天市場」が59.8%で最も高く、次いでソフトバンクユーザーによる「Yahoo!ショッピング」の27.5%だった。3位はauユーザーによる「au Payマーケット」で8.1%、ドコモユーザーによる「dショッピング」は1.7%と低かった(データ5)。auが前回調査時より2.6ポイント増と追い上げの兆しを見せた。

【データ5】携帯キャリアとECサイトのクロスユース状況


モバイル回線事業単体での収益低下が懸念されるなか、各社は周辺サービスでしのぎを削っている。楽天モバイルは、ポイントサービス/クレジットカード/ECサイトで前回同様高いクロスユース率を示した。「楽天経済圏」の新たな柱として、楽天モバイルが一定の役割を果たしていることが伺える。今後は、シェア拡大余地の大きいQRコード決済事業が争点となるだろう。QRコード決済では、ソフトバンクの「PayPay」が依然高いシェアを誇るものの、2021年10月からの中小規模店舗向け決済手数料有料化による加盟店の離脱が懸念されている。一方、ドコモ、au、楽天は、手数料無料施策の1年間延長※3を発表しており、この機に乗じシェアを拡大したい考えだ。今後、各サービスのタッチポイントとなる決済事業で囲い込みを強化し、他サービスへの送客を進めていけるかが重要となる。

※3. 延長条件は各社により異なる。

【調査結果1】携帯キャリアと各種サービスのクロスユース状況



【調査結果2】携帯キャリアと各種サービスのクロスユース状況 (上位5サービス)










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