AI人材の獲得が利用拡大のカギ

「国内法人におけるAI導入実態調査」(2022年調査)

2022年12月13日

■「予測」用途でAIソリューションの導入が進む

■AI導入形態は「パッケージ型AI」と「カスタムAI」がそれぞれ4~5割

■導入課題は人材確保と運用ノウハウが上位を占める

ⅠCT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、国内企業にWebアンケートを実施し、AI(人工知能)の導入実態をまとめた。IT導入の決裁権者や選定に関与する担当者に対し、AIソリューションの活用用途や導入形態、導入における課題などを確認し、詳細な分析を行った。なお、AIソリューションとは、深層学習や機械学習を伴った画像認識、音声認識、データ予測等の法人向けシステム、ソフトウエア、クラウドサービスの全般を指している。

Webアンケートの回答を得た7,121社のうち、何らかのAIソリューションを導入している企業(以下、AI導入企業)は28.9%(2,059社)。検討企業は21.5%(1,534社)となり、両者を合わせると50.4%(3,593社)となった(データ1)

AIソリューションの活用用途を①予測、②検知・予知保全、③レコメンド(商品紹介、パーソナライズなど)、④バックオフィス業務支援(人事総務、経理・給与計算、労務管理など)、⑤問合せ対応の5つに分けて分析した。AI導入企業2,059社のうち、8割以上が複数の用途でAIを活用していることがわかった。活用用途として多かったものは、AIでデータから未来の物事の発生や未来を予測する「予測」と「バックオフィス業務支援」の2つ。その導入状況では「全社導入している」との回答がどちらも2割超となった(データ2)

【データ1】AIソリューションの導入状況(n=7,121)

 

【データ2】AI導入企業の活用用途(n=2,059)

第一次産業で予測AIの導入進む

最もAI活用が先行する「予測」を業種別に見たところ、第一次産業での導入率の高さが目立った。特に農業・林業(n=57)では約7割が予測AIを導入していると回答。他業種よりも突出した導入率となった。

具体的な活用事例として、収穫量や木材量の予測、病害や病害虫発生の予測を目的に本格導入されていることがわかった。長年の勘や経験に頼っていた予測を自動化しデータに基づいて意思決定をしており、実際に効果を上げた事例も出ている。次いで漁業(n=32)が37.5%、鉱業・採石業・砂利採取業(n=30)が36.7%と続いた。第一次産業では人材不足が深刻化する中で、こうした予測業務にAIを積極活用することで生産性を上げていこうとする動きが進んでいると考えられる。

自社開発1割程度に留まる

AIソリューションと一口に言っても、汎用性の高い「パッケージ型AI」、企業ごとにオーダーメイドでAIベンダーが開発する「カスタムAI」、自社開発など様々だ。複数の導入形態があるため、自社の課題や用途、体制に適したAIソリューションを選ぶ必要がある。AI導入済み企業の導入形態を分析すると、わからないという回答を除き「パッケージ型AI」と「カスタムAI」がそれぞれ4~5割で、予測用途(n=1,492)ではパッケージ型AIの導入率が50.1%と他の用途と比べてやや高い(データ3)。一方、自社開発は1割程度に留まる。

自社開発が低い理由は2つ考えられる。ひとつ目は汎用性の高いパッケージが増えているからだ。農作物の収穫量予測や飲食店の来客数予測というような特定の業種に特化したパッケージ型AIが出てきており、農業・林業、鉱業・採石業・砂利採取業、宿泊業・飲食サービス業の導入率が他業種に比べて高い。2つ目はAI人材の不足によるものと考えられる。AI人材とはアルゴリズムを開発できる人やAIを活用した製品・サービスを企画できる人、AIを活用したソフトウエアやシステムを実装できるエンジニアなど幅広い。少なくともAIの基礎的な知識を習得してその特性を理解し、自社の事業に活かせる人材が必要だ。

【データ3】AI導入企業の導入形態

課題山積み、人材確保と運用ノウハウが上位

AIソリューションの導入障壁を導入前後で比較したところ、①AI人材の不足、②構築・運用ノウハウの不足、③構築・運用費用の高さ、④既存システムとの連携の4項目が共通して上位となった(データ4)。検討企業も同様の傾向にある。先述の通り、多くの企業がAI人材の確保に頭を悩ませている。 

AI導入済み企業と検討企業の両者にAI人材の獲得方法を複数回答で聞いたところ、従業員規模が大きくなるにつれて社内の人材を育成して確保する傾向にある。従業員数1,000人以上では61%の企業が自社内での育成を図っている。10人未満企業を除く企業では、中途採用でAI人材を獲得している(獲得したい)との回答が5~6割を占めた。自社で人材を育成する余力やノウハウなどを持たない中で、お金を払ってでもAI人材を獲得したいという意向が強いものと思われる。

【データ4】AI導入企業が感じた導入障壁 上位10項目(n=2,059、複数回答)


■調査概要
1. 調査対象:自社ビジネスにおいてAIソリューションを導入または検討している企業
        ―ITソリューションの導入にあたり決裁や選定に関与する担当者
2. 回答件数:予備調査7,121社、本調査2,000社
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査期間:2022年5月28日~31日

 


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