自治体のRPA導入率67%、デジタル庁と連動してDX進む

「自治体RPA利用動向調査 2021」(2021年5月時点)

2021年06月17日

■ RPA導入は67%、税業務中心にバックオフィス業務のデジタル化を進める

■ ロボットは各自治体が個別開発、共通利用は進まずロボット管理に課題

■ LINEなどのSNS活用でフロントオフィス業務のデジタル化も進む

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、5万人以上の住民を擁する自治体510団体を対象に電話アンケート調査を実施し、2021年5月時点のRPA(Robotic Process Automation)の利用状況をまとめた。RPAは主にデスクワークなどで発生する定型作業を、パソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化する技術だ。RPAの導入状況、導入や運用における課題のほか、住民接点におけるデジタル化の状況などもあわせて分析している。

RPA導入率は67%、民間の導入率を大きく上回る

調査結果によると、人口5万人以上の自治体における導入率(※1)は67%であった。検討中の自治体も25%と多く、未検討・未導入は8%に留まっている(データ1)。民間企業におけるRPA導入率は4割弱(※2)であることから、自治体の方が普及している。導入が進んだ外的要因は、デジタル庁の前身である内閣官房IT総合戦略室や総務省が中心となり推進する「自治体DX推進計画」や、総務省によるRPA導入補助事業があり、自治体でもデジタル活用の機運が高まっているとみられる。また、内部要因では、エクセルなどを活用した定型業務が多いこと、慢性的な人員不足なうえに新型コロナウイルスなど新たな業務への対応に追われているなどの実情があると分析する。

導入済みの自治体(n=243)に、複数回答で適用業務を聞くと、税関連が61%と最も多く、次いで児童手当・子育て支援が34%、人事給与が27%と続いた。税関連業務は年度末など特定の時期に作業が集中しやすく、RPAを残業のピークカットに活用する事例が多い。

【データ1】自治体におけるRPAの導入率と導入促進の要因 

民間企業よりも2年遅れで普及期へ

自治体でのRPA導入が盛んになったのは2020年度。民間企業は2018年度であったことから、2年遅れで普及期を迎えている(データ2)。自治体は前年度に組んだ予算で、当該年度の事業を進める。そのため、RPAに限らず民間企業のブームから最低1年は遅れることが多い。2年遅れとなったのはベンダーが民間企業でのブーム対応とそのフォローアップに追われ、手一杯であったことも影響しているとみる。

自治体は導入率では民間企業を大きく上回ったが、習熟度ではまだ及ばない。例えば、導入した自治体の半数以上は昨年度に導入をしていることから、利用した期間は1年未満の団体が多い。また、大半の自治体がPCにツールをインストールして利用するデスクトップ型のRPAを導入しているにも関わらず、ライセンス数は平均3ライセンスと少なく、ライセンスや構築費用などを合わせたRPA関連予算額も300万円未満の自治体が半数以上であった。民間企業では本格活用が進む中、自治体はお試し段階にある。

民間企業と異なるのは、OCR/AI-OCRの導入状況だ。民間企業ではRPAを契機に自動化範囲を広げる目的で導入が進んでいる。一方、自治体では紙での業務の多さなどから、すでにOCR/AI-OCRの導入率が4割を超えている。さらなる自動化にはこうした既に導入されているツールとの連携も視野に入れていく必要がある。

【データ2】自治体と民間企業のRPA導入時期の違い

ロボット管理に課題、サーバー型選択率の低さが一因

RPA導入自治体は、運用していく上での主な課題として「ユーザーへの教育・研修」「ロボット開発人材の不足」といった人材面と、「ロボットの管理やメンテナンス(野良ロボット対策やエラー対応など)」というツール面をあげた。自治体はお試し段階にあるため、人材面はある程度の時間が必要だろう。一方、ツール面の課題は民間企業でのノウハウ展開や好事例の共有で未然に防げた可能性もある。また、デスクトップ型の選択率が90%と高いことも、こうした課題が多い一因だろう(データ3)。

デジタル庁が推進する自治体DX推進計画の中には、AI・RPA活用のほか、主要な業務システムの仕様を共通化していく方針が示されており、2023年度以降本格化していく。RPAについても特定のデータセンターなどに置き、共通利用するなどの構想もある。しかし、現状では各自治体が個別にロボット開発を進め、管理の負担に課題を抱えてしまっている。RPA調達にあたり、クラウド型を検討したという自治体は少なく、主要な業務や類似する業務のロボットを「共通利用」していくという考えはマイナーとなっている。

【データ3】RPAユーザーにおけるサーバー型・デスクトップ型の選択率の違い

※RPA導入企業・自治体のうち、採用したブランド数をベースにした構成比

 LINEなどのSNS活用で住民接点もデジタル化が進む

自治体はRPA導入などでバックオフィス業務のデジタル化を進めるだけでなく、窓口業務やWEBなど住民接点となるフロントオフィス業務にもデジタルの活用を進めている。デジタル化の実施有無については、72%の自治体が実施済みと回答した。実施内容として最も多いのは「インターネット経由での電子申請の整備」で、実施自治体の71%を占めた。このほか、「LINEなどのSNS導入」が41%、「自治体のWEBサイトなどにチャットボットを導入」が38%となった。RPA導入自治体では未導入自治体に比べ、チャットボット導入割合が2割ほど高いなど、住民接点にも積極的にデジタルを活用する傾向にある。

【データ4】住民接点におけるデジタル活用状況

本調査の詳細については、市場分析レポートとして近日中に発売予定です

※1 調査概要

  1.調査対象:人口5万人以上の自治体510団体
      2.回収件数:365団体(回収率72%、一部回答含む)
      3.調査方法:電話アンケート
      4.調査期間:2021年5月
      5.導入率の算出方法:導入率は団体数ベースで算出している。回答を得た365団体を母数とした。
       「導入」の判定についてはRPAを「本格的に活用している」「テストまたは部分的に活用している」
         と回答した団体をカウントしている。

※2 MM総研「RPA国内利用動向調査 2021」(2021年1月時点)より引用。年商50億円以上の企業に
        おけるRPA導入率は37%に達している。

■報道に際しての注意事項

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■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀近くにわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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