ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2020年9月末時点)

2020年12月10日

■2020年9月末のFTTH契約数は3410.4万件で20年度上期純増数は103.6万件だった

■テレワーク等の需要がFTTH市場をけん引、上期純増100万件超えは2011年度上期以来

■2020年度のFTTH純増数は188万件を予測、前年度の134万件を大幅に上回る見込み

 ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2020年度上期(2020年4月~9月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2020年9月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は3410.4万件で、2020年3月末から103.6万件の純増(伸び率は3.1%)となった。2011年度上期以来の半期100万件を超える純増となった。新型コロナウイルスの影響でテレワークやWeb会議などが普及する中、自宅やオフィスでのFTTHの需要が大幅に増加している。モバイルユーザーをはじめとする光回線未利用者の取り込みや、光回線からモバイルへシフトするユーザーの食い止めが進んだことも純増拡大につながった。

引き続きテレワーク等による需要が市場をけん引することから、MM総研では、2021年3月末時点のFTTH契約数を3495万件と予測する。2020年度通期の純増数は188万件となり、2019年度の134万件を大幅に上回る見込みだ。

 

 

FTTH市場でNURO光がシェア5位に浮上

FTTH事業者の契約件数シェア(2020年9月末)では、NTTの光回線(フレッツ光およびコラボ光)契約数が東西合計で2214.4万件(シェア64.9%)となった。2020年度上期の純増は48.6万件で、市場全体と同様に2011年度以来の高水準となった。

コラボ光の2020年9月末の総契約数は1460.1万件でFTTH市場全体に占める割合は42.8%、NTTの光回線に占める割合は65.9%となった。コラボ光の契約数シェアでは、スマートフォンとのセット販売が引き続き好調なNTTドコモがトップ。ソフトバンクと合わせた携帯2キャリアのシェアは、引き続き7割超を占める。

NTT東西に次いで純増を伸ばしたのはソニーネットワークコミュニケーションズ。2020年9月末時点で、アルテリア・ネットワークスを抜き5位に浮上した。2Gbpsを中心に販売する「NURO光」がコストパフォーマンスの高さからユーザーの支持が集まり、販売が大幅に増加。2020年度上期は契約数が20%以上伸びた。

アルテリア・ネットワークスは、主力の「UCOM光 レジデンス」で集合住宅向け全戸一括型の導入が継続的に進み、2020年9月末に60.0万件(シェア1.8%)となった。小規模賃貸物件向けの新たなサービスも開始し、同市場の開拓が進む。

 

FTTHのISPシェアはNTTコムが首位

2020年9月末のISP事業者のFTTH契約数シェアでは、NTTコミュニケーションズ(OCN)が首位を維持したものの、ソフトバンクとの差が徐々に縮まってきている。「NURO光」が好調なソニーネットワークコミュニケーションズのほか、NTTぷらら、ビッグローブ、ニフティが堅調に顧客を増やした。

 

※NTT東西にはフレッツ光のほか、光コラボレーションモデルの件数が含まれる
※KDDIにはauひかりのほか、中部テレコミュニケーション(コミュファ光)および沖縄セルラー電話(auひかり ちゅら)などの契約数が含まれる

 

ソフトバンクが固定ブロードバンド市場でシェア首位を維持

固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATV、ワイヤレス*の合計)市場では、ソフトバンクが堅調に契約数を伸ばし、シェア首位を維持した。2位のNTTコミュニケーションズとの差は徐々に開いている。モバイルとのセット訴求を行う「SoftBank光」と、手軽に利用できる宅内据え置き型の無線インターネット「SoftBank Air」の両方で契約数が増加した。2位以下のシェア順位も、2020年3月末時点から変動はなかった。

※無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない

2020年度のFTTH市場は前年度を大幅に上回る純増を予測

固定ブロードバンド市場は、2023年以降にサービス終了予定のADSLや、光化が進むCATVで減少が続くものの、FTTHおよびワイヤレスの増加により継続的に拡大すると予測。2024年度には5000万件を超える見込み。

※2021年3月末以降は予測値
※ワイヤレスは、無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービスを指し、モバイルルーターを含まない

FTTH市場は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとした自宅でのテレワークや遠隔授業、動画視聴等の需要増加を背景に、通信インフラとして再評価の機運が高まっている。5Gbps以上の超高速光回線も東名阪地域を中心に需要が拡大している。2020年度のFTTH市場は、前年度の134万件を上回る188万件の純増となり、2021年3月末の契約数は3495万件と予測。2021年度以降はテレワーク等の需要一服で伸びがやや鈍化するものの、CATVインフラの光化や集合住宅全戸一括型市場の拡大等により純増基調が続く見込み。また、モバイルの5G開始・普及に伴うFTTHの解約は、中期的にはごく一部に限られ併存するとみられる。

ワイヤレス市場は2020年9月末時点で391万件となり、FTTHと同様にテレワーク等の需要を一定数取り込み、件数は増加した。2021年3月末は421万件、固定ブロードバンドに占める割合は9.0%まで拡大すると予測。開通工事が不要ですぐに利用できる手軽さや、5Gへの対応も徐々に進むとみられることから、従来のFTTH等の固定ブロードバンド回線を一部代替するサービスとして普及が進むと予測。2023年3月末に500万件を超え、固定ブロードバンドに占める割合は1割を超す見込み。2025年3月末にはCATVインターネットを超える規模まで拡大すると予測する。

 


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