20年度通期5Gスマホ出荷は833万台と予測(5G比率28%)

2020年度上期 国内携帯電話端末の出荷台数調査

2020年11月16日

■20年度上期の携帯電話出荷台数は1457.8万台(前年度同期比0.3%減)で、そのうちスマートフォンは1347.1万台(4.7%増)

■楽天MNO開始でSIMフリースマートフォンは205.9万台(前年度同期比49.9%増)となり、半期別で最高の出荷台数を記録

■20年度通期スマートフォンは2915万台、うち5G対応は833万台(5G比率:28.6%)

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2020年度上期(2020年4月~9月)の国内携帯電話端末の出荷台数を調査し、その結果を発表した。

2020年度上期の総出荷台数は前年度上期並みの1457.8万台(前年度同期比0.3%減)となった。内訳をみると、スマートフォン出荷台数が1347.1万台(4.7%増)、フィーチャーフォンは110.7万台(36.9%減)となった。スマートフォン出荷台数は前年度実績を上回る結果となったが、特に、SIMフリースマートフォンの出荷台数は205.9万台(49.9%増)となり、スマートフォン出荷台数に占めるSIMフリー比率は15.3%(4.6ポイント増)に拡大した。4月にMNOサービスを開始した楽天モバイル向け出荷が伸び、SIMフリースマートフォンの半期別出荷台数としても過去最高を更新した。

2020年度通期の総出荷台数は前年度並みの3145万台(0.6%増)、その内、スマートフォン出荷台数は2915万台と前年度比4.0%増となる見込みだ。市場活性化への貢献が期待される5Gスマートフォンの出荷台数は2020年度通期で833万台、スマートフォン出荷に占める比率は28.6%と予測する。上期の5Gスマートフォン出荷は112.8万台(スマホ比率8.4%)に留まったが、下期は通信事業者各社による商品ラインアップの拡充と販売強化により、5Gスマートフォンの出荷が加速するだろう。

Appleが9期連続で1位を獲得

2019年度のメーカー別出荷台数シェア1位はAppleで、上期実績としては9期連続で1位を獲得した。以下、2位シャープ、3位Samsung、4位富士通コネクテッドテクノロジーズ、5位京セラとなった。

スマートフォン市場(SIMフリー含む)の出荷台数シェアは1位がAppleとなった。以下、2位シャープ、3位Samsung、4位富士通コネクテッドテクノロジーズ、5位ソニーモバイルコミュニケーションズとなった。

2021年度にはスマートフォン出荷台数の54.1%が5G対応に

2020年度通期のスマートフォン出荷台数は2915万台(4.0%増)と予測する。前回予測時(2020年5月)の2410万台(14%減)からの上方修正となる。新型コロナによる緊急事態宣言下でのキャリアショップの営業時間短縮、物流停滞による端末の供給不足、ユーザー需要の低下を想定したが、幸いにもキャリアショップは6月に通常営業に戻り、メーカーによる製造・物流面での停滞は一時的だった。コロナ禍の厳しい市場環境ではあったが、スマートフォンは生活必需品として底堅い買い替え需要があることが証明されたと言えるだろう。

2022年3月以降に順次3Gサービスが終了することに伴い、フィーチャーフォン利用者によるスマートフォンへの切り替え促進も継続している。加えて、iPhone12シリーズの4モデルが全て5G対応となったことも奏功して、20年度下期以降も安定した需要が見込めるだろう。

2020年度上期の5Gスマートフォンは112.8万台に留まったが、iPhone12の発売や5G対応のAndroidスマホのラインアップ拡充などキャリアの5G販売戦略が本格化している。そのため5Gスマートフォンの出荷台数・比率も前回予測を上回るペースで拡大すると予測した。

一方、5G普及の懸念点としては端末価格の上昇があげられる。昨年10月の電気通信事業法の一部改正を受けて、スマートフォン本体価格の値下げが2万円までと制限が設けられたため、発売価格が5万円を下回る中低価格帯端末が人気を集めている。iPhone市場でみるとiPhone12の全4モデル発売後も、iPhone SE(第二世代)の人気は一定期間継続するだろう。5Gスマートフォンの価格が安くなるためには、5G対応チップセット (CPU)等の部品の低廉化が必須であり、iPhoneであればiPhone SE(第二世代)の価格帯で5Gに対応したモデルの早期登場が必要ではないか。

携帯電話サービス料金の値下げに関する議論が注目を集めるなか、楽天モバイルのMNOサービス開始、KDDIのUQモバイル統合、NTTによるNTTドコモ完全子会社化など業界地図はめまぐるしく変化している。各社の料金施策に合わせてスマートフォン販売競争も更に激化していくことだろう。


 

■携帯電話出荷台数に含まれる端末
① 従来型携帯電話(以下、フィーチャーフォン。Android OSの二つ折り端末を含む)
② スマートフォン
 ・回線ブランド別(7分類):NTTドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイル(Y!mobile)、UQ、楽天、その他SIMフリー
 ・SIMロックフリー:UQ、楽天、その他SIMフリー(メーカー直販やMVNO・量販店・代理店等を経由して販売)が含まれる。以下、SIMフリーと記載
③ 総出荷台数(①+②) 

■スマートフォンの定義】以下を条件としてMM総研による分類
①以下OSを搭載 (Android、iOS、Windows)
②音声通話が可能 (画面7インチ以上でヘッドセット利用を想定した端末は含まない)
③アプリやソフトウェア等のカスタマイズが可能
④OS環境として(アプリ)開発仕様が公開されていること
⑤キャリア及びメーカーがスマートフォンと位置づけている製品
※調査時点のため、今後の端末発売状況等に応じて予告なしに変更する可能性があります


■注意事項
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