ポイント/決済サービスの携帯キャリア別利用状況

利用者囲い込みに成果あげる楽天

2019年11月21日

■ ポイントサービスのクロスユース率(※)トップは、「楽天モバイル」の「楽天スーパーポイント」で69.0%

■ クレジットカード決済のクロスユース率トップは、「楽天モバイル」の「楽天カード」で60.8%

■ QRコード決済のクロスユース率トップは、「ソフトバンク」の「PayPay」で15.9%

■ 3キャリアはポイントのメイン利用率の低さが課題

※クロスユース率:携帯電話利用者が契約先の携帯キャリアが提供するポイント、あるいは決済サービスをどの程度利用しているかの比率。これが高いほど「利用者の囲い込み」につながっていることになる。

 MM総研(東京都港区、所長・関口 和一)は11月21日、携帯キャリア4社がそれぞれ自社グループで提供するポイントおよび決済サービスの利用状況「クロスユース率」の調査結果を発表した。携帯利用者に契約先のキャリアが提供する自社の各種サービスを利用してもらうことで、グループ内の相乗効果を上げ、“利用者の囲い込み”につなげているかどうかがわかる。2019年9月10日~9月13日にかけて調査を実施し、15歳~79歳の男女53,427人を対象に携帯キャリアとポイント/決済/ECサービスの利用状況についてWEBアンケート方式で質問した。

ポイントサービスのクロスユース率トップは、「楽天モバイル」の「楽天スーパーポイント」で69.0%

 契約先のキャリアから付与されるポイントを「最も利用している」と回答した人の比率は、「楽天モバイル(楽天スーパーポイント)」が69.0%でトップ、次いで「ソフトバンク(Tポイント※)」で40.7%だった。
 ※Tポイントはソフトバンクと提携関係

 

 携帯キャリア別にポイントの利用状況をみると、「楽天モバイル」の利用者は1位が「楽天スーパーポイント(69.0%)」で2位の「Tポイント(10.9%)」を大きく引き離す結果となった。楽天は、楽天スーパーポイントを軸に事業の多角化を進めてきた背景があり、ポイントサービスによる囲い込みが他社よりも先行していることが伺える。
 「ソフトバンク」ユーザーは1位「Tポイント(40.7%)」2位「楽天スーパーポイント(27.5%)」であった。一方で、「ドコモ」および「au」は上位3サービスの利用率にあまり差がなく、他の共通ポイントに利用者が分散した結果、自社ポイントのメイン利用が低くなったと考えられる。

 クレジットカード決済のクロスユース率トップは、「楽天モバイル」の「楽天カード」で60.8%

 各携帯キャリア(グループ企業含む)が提供するクレジットカードを利用するか聞いたところ、「楽天モバイル」ユーザーの75.3%が「楽天カード」を所有し、60.8%が「最も利用している」と回答した。他キャリアのメイン利用率はそれぞれ、「ドコモ」ユーザーによる「dカード」利用が11.8%、「ソフトバンク」ユーザーによる「Yahoo!JAPANカード」の利用が10.5%、「au」ユーザーによる「au WALLET クレジットカード」の利用が6.0%であった。

 4キャリア利用者の間で最も利用されているクレジットカードは「楽天カード」だった。特に、ドコモ、ソフトバンク、auの中にも2割以上の「楽天カード」利用者がおり、顧客基盤の大きさがうかがえる結果となった。

QRコード決済のクロスユース率トップは、「ソフトバンク」の「PayPay」で15.9%

 各携帯キャリア(グループ企業含む)が提供するQRコード決済では、「ソフトバンク」ユーザーによる「PayPay」メイン利用率が最も高く15.9%、次に「楽天モバイル」ユーザーによる「楽天Pay」の利用だった。ソフトバンクは現在、期間固定Tポイントによる還元をPayPayボーナスに変更するなど、グループ基盤を生かした利用拡大に注力している。このような背景から、クロスユース率トップにつながったのだろう。
 一方で、電子マネーでは「楽天モバイル」ユーザーによる「楽天Edy」のメイン利用率が最も高く17.0%、次いでauの「au WALLET」の利用で10.0%だった。

 

 QRコード決済の利用率では、「ソフトバンク」「楽天モバイル」、「ドコモ」はそれぞれのグループ企業が提供するサービスがトップだった一方で、「au」の「au Pay」は4位であった。
 また、電子マネーの利用率では、「楽天モバイル」、「au」はそれぞれのグループ企業が提供する電子マネー決済がトップだった。

 

ECサイトのクロスユース率トップは「楽天モバイル」の「楽天市場」で61.3%

 各携帯キャリア(グループ企業含む)が提供するECサイトを「最も利用している」と回答した人は楽天モバイル利用者の「楽天市場」が61.3%でトップ、次いでソフトバンク「Yahoo!ショッピング」の25.1%、auの「au Wowma!」が2.3%、ドコモ「d ショッピング」は1.5%だった。ドコモ、auはECサイトの利用に課題が残る一方、楽天モバイル、ソフトバンクは高いクロスユース率を示した。

 

 4キャリアの利用者すべてにおいて最も利用されているECサイトは「楽天市場」だった。
 次いで、ソフトバンクでは「Yahoo!ショッピング」「Amazon」、ソフトバンク以外の3キャリアでは「Amazon」「Yahoo!ショッピング」の順でメイン利用率が高かった。

 

 携帯キャリア市場は現在、ドコモ・au・ソフトバンク3社の寡占状態にある。楽天が本格的にキャリアのサービスを開始すれば、通信以外のサービス面でも競争力が試される。楽天は1億人以上(公表値)の会員基盤を有しモバイルと自社サービスのクロスユース率も高い。会員基盤を生かしたモバイル会員の獲得が今後の成長のカギになるだろう。
 ポイントサービスが業界構造に与える影響は大きい。他事業者においても、JRがグループ企業のポイントを統一するなど、ポイントサービスによる囲い込み競争は激化している。ドコモ・au・ソフトバンクは、回線契約者を中心にいかに魅力的なインセンティブを用意し、長期的な関係を構築できるかが重要になってくる。

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■調査概要

1.調査方法  :53,427人を対象にしたWEBアンケート
 (現在個人利用している携帯キャリアのうち、メインで利用している携帯は、ドコモ36.0%(19,228人)、au 22.5%(12,046人)、ソフトバンク 15.2%(8,108人)、楽天モバイル 4.5%(2,385人))

2.調査期間  :2019年9月10日~9月13日

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