国内法人のAI-OCR導入実態調査(2019年6月実施)

導入企業の8割が改善効果に満足

2019年07月30日

■ AI-OCRサービスを導入している国内法人は全体の9.6%

■ 国内法人の約半数がAI-OCRの「利用に関心あり」

■ 導入企業の8割以上が「データ作成時間」「ミス発生率」の改善効果に満足

■ 複数の有力サービスについて手書き文字の認識能力を比較した結果、NTT東日本「AIよみと~る」がトップの成績

MM総研は(東京都港区、所長・関口 和一)は7月30日、AIを活用した手書き文字認識のAI-OCRサービスに関する利用実態調査を実施、その結果を発表した。AI-OCRサービスは大量の帳票類に書かれた手書き文字をAIで高速かつ高精度に識別するソリューション。調査はホワイトカラーの業務生産性の向上を推進する1,000社を抽出し、AI-OCRサービスの利用実態を聞いた。さらに有力なAI-OCRサービスを実際に操作検証する調査を実施、データ入力作業の生産性向上効果を比較したところ、NTT東日本「AIよみと~る」がトップの成績となった。

■AI-OCRサービスを導入している国内法人は全体の9.6%

AI-OCRはロボットを使った業務プロセスの自動化RPA(Robotic Process Automation)と連動することで、オフィスのデータ入力作業の生産性向上につながるとして注目されている。オフィス業務の生産性向上に取り組む1,000社へのWebアンケートでは、AI-OCRサービスを導入していると回答した国内法人は全体の9.6%だった。
AI-OCRサービスの未導入企業に対し、サービス利用への関心を聞くと51.9%が「利用に関心がある」と回答。企業規模別では、大企業を中心に関心が高い。また、業種別では、卸売業・小売業や製造業、官公庁など大量の手書き帳票が発生する業種でより強い導入意向がみられた。

一方、導入企業のうち85.7%が「データ作成に要する時間を削減できた」と回答。82.1%は「ミスの発生率」を、78.6%は「当該業務に必要な人員数」を改善できたと回答した。普及率はまだ低いものの、導入した企業には高い満足度を得ている。

■NTT東日本の「AIよみと~る」が手書き文字の認識率などでトップの成績

AI-OCRは、文字認識にAIを使うことで読取能力を高めており、データ入力作業の生産性向上につながるとして注目されている。今回、個人差が大きく識別が困難とされる手書き文字に
対応したAI-OCRサービスを実際に使用し、現在のサービスが実用水準に達しているか否かを確認した。検証実験は、日本市場で広く流通し、利用者の評価が高いサービスとしてNTT東日本の「AIよみと~る」、Cogent Labsの「tegaki」、ユニメディアの「LAQOOT」 3サービスを対象に実施した。また比較対象にAIを使わないOCRとして、Google「Googleドライブ」、Adobe「Acrobat DC」、富士ゼロックス「DocuWorks9」の3サービスを使用した。

検証の結果、使用した3つのAI-OCRサービスは手書き文字をほぼ正しく読み取り、十分な実用水準に達していることが証明された。また、手書き文字入力に必要な作業時間を大幅に縮めることもできた。検証に使用した3つのサービスの中では、「手書き文字認識率」「作業時間」の計測結果ともに、NTT東日本「AIよみと~る」が最も高い成績をおさめた。

【検証方法】
手書きで必要事項を記入した3種類の帳票を100枚ずつ用意し、PDFのデータを作成した。また、100枚中、任意の30枚に対し、意図的に歪みや汚れを与えたデータを作成し、それぞれをAI-OCRサービスに読み取らせた。
評価基準には、「手書き文字識字率」と「作業時間」の定量基準、および操作性や視認性などを定性基準に採用した。正しく読取った文字数の割合を「手書き文字識字率」と定義し測定。AIによる文字認識に要した時間と、結果の修正作業に要した時間の合計を「作業時間」の基準として計測した。

 

■ホワイトカラーの生産性を高めるAI-OCR

ホワイトカラーの業務生産性の向上するにあたり、最も非効率な業務として課題に感じている業務として、全体の51.5%が「データ入力・登録」と回答した。特に、紙帳票やPDFから文字を識別してデータ化する業務は非効率なだけではなく、具体的な解決策にも乏しいという結果が出た。
既存技術のOCR(Optical Character Recognition)は全体の85.8%が「活用できていない」と回答。手書き文字やフォントの文字認識能力の低さがその理由としてあげられている。調査では、「手書き文字の識字率が低い」という回答が全体の41.6%、「フォントの識字率が低い」が31.8%であった。
オフィス内の非効率業務を解消し、生産性を高める効果が期待できる。AI-OCRサービスは今後職場での利活用が進み、導入率が高まると判断できる。

AI-OCRの読取実施例(「AIよみと~る」の例)

 

(検証実験の結果は「PDFによる詳しいご案内」よりご覧になれます。)
https://www.m2ri.jp/report/market/detail.html?id=51

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<調査概要>
1.調査対象  :国内法人ユーザー※
2.回答件数  :予備調査(n=2,987)、本調査(n=1,000)
 ※全業種を対象に「働き方改革」・「オフィス業務改革」に関心の強いホワイトワーカー
 ※本調査は「働き方改革」・「オフィス業務改革」を推進する立場、および特に関心の強い者を対象
3.調査方法  :Webアンケート
4.調査期間 :2019年6月21日~6月24日
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