「MM総研大賞2019」審査結果のお知らせ

―大賞は富士通の「デジタルアニーラ」

2019年06月18日

■ 最高賞の大賞は富士通の次世代アーキテクチャー「デジタルアニーラ」

■ スマートソリューション部門賞はMaaS分野の「MONETコンソーシアム」、キャッシュレス

決済分野のPayPay、次世代モバイルサービス分野のNTTドコモ、RPA分野のNTTデータ、

生体認証分野のNECなどが受賞

■ コラボレーション部門賞はKDDIと楽天が組んだ通信ネットワーク分野などでの戦略的提携

■ 大きな話題になった商品・サービスを選ぶ話題賞ではコナミデジタルエンタテインメントの

「eスポーツへの取り組み」のほか、自動運転システムを追加した電動車椅子のWHILL、

空飛ぶクルマの実現目指す「空の移動革命に向けた官民協議会」などを選出

 MM総研(所長 中島 洋)は「MM総研大賞2019」 (審査委員長:安田 浩 東京電機大学 学長)の最終審査を終え、「大賞」「スマートソリューション部門賞(分野別最優秀賞)」「話題賞」「ものづくり優秀賞」「コラボレーション部門賞」を決定した。MM総研大賞はICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけになることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度。2019年度の今回が16回目になる。

 MM総研大賞2019ではスマート社会の核となるスマートソリューション部門で9分野を定め、それぞれの分野ごとに「最優秀賞」を選定。さらにICT産業で大きな話題になった製品・サービスを「話題賞」として、“ものづくり” の分野で代表的な商品を「ものづくり優秀賞」として、それぞれ選出した。最高賞となる大賞は、これらの中から最もICT産業の発展に寄与すると評価できる製品・サービスを選んだ。

「大賞」は富士通の次世代アーキテクチャー『デジタルアニーラ』

 最終選考では安田 浩 審査委員長をはじめとする審査委員会での厳正な審査が行われた。その結果、最高の賞である「大賞」は富士通の次世代アーキテクチャー『デジタルアニーラ』に決定。デジタルアニーラは量子コンピューティングに着想を得たデジタル回路で、現在の汎用コンピュータでは解くことが難しい「組合せ最適化問題」を高速で解く新しい技術。「1京×1京通り以上」の組合せ問題も数秒で解くことができ、すでに化学・製薬、物流、金融、製造など幅広い分野で活用されている。審査委員会では、今後のデジタル革命を支えるプラットフォームとして高く評価し、「ものづくり優秀賞」に加え、受賞した全16商品・サービスの中で最高の評価に値すると判断し、MM総研大賞2019の「大賞」に選出した。

「スマートソリューション部門賞」は10件

 スマートソリューション部門では9分野(MaaS、AI/IoT、キャッシュレス決済、次世代モバイルサービス、次世代固定ネットワーク、生体認証、RPA、地域創生クラウド、働き方改革支援ソリューション)で10件が最優秀賞に選ばれた。

 従来の移動手段の概念を超えた、新たな移動サービスとして注目されているのがMaaS(Mobility as a Service)。自動車メーカーなどを中心に世界中でサービス開発が進んでいるMaaS分野で最優秀賞に輝いたのがMONET Technologiesの『MONETコンソーシアム』の設立だ。ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社であるMONET Technologiesが同コンソーシアムを設立。今後の移動革命の実現に向け、業界・業種の垣根を越えた企業間連携を活性化させる取り組みに期待が集まる。

 大量のデータをリアルタイムに収集し、AIによる高速処理を実現するソリューションの利活用が進む動きを受け、「AI/IoT分野」では、NTT東日本のAI-OCRサービス『AIよみと~る』が最優秀賞を獲得した。AI技術を活用し、帳票類などの大量の手書き文字をデータ化、入力作業者の稼働を大幅に削減できるサービスで、正答率が96%を超えるなど、実用面やサービス品質の高さが特に際立つ。

 2019年に入り、QRコードによるスマホ決済サービスが次々と登場してきた。この「キャッシュレス決済分野」で最優秀賞に輝いたのが、『PayPay』。ソフトバンクとヤフーの共同出資で始まった決済サービスで、「100億円あげちゃうキャンペーン」などを積極的に展開。スマホ決済の裾野を広げる独自の取り組みなどに注目が集まっている。

 次世代通信規格5Gは2020年の本格運用の開始に向けサービス開発が加速しており、この「次世代モバイルサービス分野」では、NTTドコモの『ドコモ5Gオープンパートナープログラム』が最優秀賞に選定された。同プログラムでは、5G商用化に向けたパートナーを募り、無償での施設利用や技術・仕様に関する情報提供と多様なワークショップを実施。次世代モバイルネットワークを基盤とした、協創による付加価値サービスの創出が期待される。

 通信インフラの高速大容量化は固定ネットワークの分野でも進んでおり、下り最大10Gbpsのサービスが登場している。この「次世代固定ネットワーク分野」で最優秀賞を獲得したのが、アルテリア・ネットワークスの『ARTERIA光 インターネットアクセス』ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する『NURO 光 10Gs』。『ARTERIA光 インターネットアクセス』は、自社で構築・運用するネットワーク網とISPを一元的に提供し、上下最大10Gbpsのインターネット接続サービスを提供。冗長化されたバックボーン構成による安定・高品質な回線を提供する。『NURO 光 10Gs』は次世代ネットワーク規格XGS-PONを採用した、上下最大概ね10Gbpsの光回線サービス。FTTH需要の拡大に寄与し、基盤サービスとしての先進性や将来性の高さが評価された。

 本人認証の手段が進化・多様化する中で、パソコンやスマホといった個人用途の機器だけでなく、企業や公共施設などでも生体認証の導入が進んでいる。この「生体認証」の分野では、NECの『Bio-IDiom』が最優秀賞に選定された。『Bio-IDiom』は世界1位の精度を誇る顔認証技術を核に、虹彩、指紋・掌紋認証など6つの生体認証をまとめた製品群。ニーズに応じて最適な認証を選択または組合せるマルチモーダルの考え方が高い評価を集めた。

 人手不足や業務負担の軽減を支援するソリューションとしてRPAを導入する企業や自治体が増加している。この「RPA分野」で最優秀賞に選ばれたのが、NTTデータの『WinActor/WinDirectorエコシステム』。NTTグループが開発したRPAソリューションで、ソフトウェア型ロボットによりPC作業を自動化することができる。導入社数は国内No.1であり、RPAの普及拡大に寄与している。

 ICT活用による地域創生をめざすとした政府方針が打ち出される中で、地方自治体におけるクラウドサービスの導入・利活用が注目されているが、この「地域創生クラウド分野」では、NTT西日本と日本マイクロソフトよる『地域創生クラウド実現に向けた協業』が最優秀賞に選出された。両社は地域のパートナー企業と連携し、クラウドを活用した先進性の高いサービスの提供に取り組んでおり、その地域密着の構想、将来性が高く評価された。

 働き方改革の推進が多くの企業にとって喫緊の課題となっている。この課題解決を支援する「働き方改革支援ソリューション分野」で最優秀賞を獲得したのが、グーグル・クラウド・ジャパンの『G Suite』。Googleが提供するクラウド型グループウェア。高度な情報検索性により業務効率化を実現し、社員間の情報共有やコミュニケーションの透明性を高めることができる。企業文化の変革も含めた働き方改革を実践できることが評価された。

「コラボレーション部門賞」1件、「ものづくり優秀賞」1件

 業種業界の枠を超えた連携による新たなイノベーションやビジネス創出につながる取り組みを表彰する「コラボレーション部門賞」では、KDDIと楽天の『決済、物流、通信分野における事業協争の推進』が受賞。決済、物流、通信ネットワーク分野において、互いの保有するアセットを相互利用することで、各事業のサービス競争力の強化を図る取り組み。新たなビジネスの形を示したことが高く評価された。

「ものづくり優秀賞」では、富士通の次世代アーキテクチャー『デジタルアニーラ』が大賞との同時受賞となった。

「話題賞」は4件

 ICT産業で大きな話題になった商品・サービスを選ぶ話題賞では、将来的な影響力が高いと期待される以下の製品・サービス4件が受賞した。

 コナミデジタルエンタテインメントの『eスポーツへの取り組み』は、eスポーツへの早期参入と、リーディングプレイヤーとしてファン拡大に取り組んでいる点が高く評価された。同社では2001年から「ウイニングイレブン」シリーズによる世界選手権を開催するなど、eスポーツの普及に貢献。

 WHILLの次世代型電動車椅子における『WHILL自動運転システム』は空港、駅、商業施設などでのシェアリング利用を想定した車椅子の自動運転システム。将来に与える影響力の大きさから高く評価された。

 クロスエフェクトの『超軟質精密ウェットモデル』はX線CT画像を基に患者の心臓をリアルに再現した3D臓器モデル。精密インクジェットプリンタ技術を応用し、内部構造を精密に再現。手術の予行演習など医療分野への貢献に期待が高まる。

 『空の移動革命に向けた官民協議会』は「空飛ぶクルマ」の実現に向けた官民有識者の協議会。経済産業省と国土交通省の主導により設立された。人と物資の輸送に活用できる身近な空の移動手段の実現は、国民生活が向上し、機体・サービスなど新産業誕生の契機になると期待される。

 

以上、受賞製品・サービスは大賞 兼 ものづくり優秀賞1、スマートソリューション部門賞10、コラボレーション部門賞1、話題賞4の合計16件となった。評価理由の詳細は別紙を参照下さい。

 [参考] これまでの「大賞」受賞企業は、以下の通り。

MM総研大賞2004  : 松下電器産業(Panasonic)『DIGA』 (DVDレコーダー)

MM総研大賞2005 : シャープ 『AQUOS』 (液晶テレビ)

MM総研大賞2006 : アップルコンピュータ 『iPod + iTunes Music Store』

(携帯音楽プレイヤー+音楽配信サービス)

MM総研大賞2007 : JR東日本『Suica』『モバイルSuica』とPASMO協議会「PASMO」の

共同受賞 (ICカード)

MM総研大賞2008 : ソニー 有機ELテレビ 『XEL-1』 (有機ELテレビ)

MM総研大賞2009 : トヨタ自動車 『Prius』

MM総研大賞2010 : 日本経済新聞社『日本経済新聞電子版』

MM総研大賞2011 : パナソニック 『エコナビ』

MM総研大賞2012 : サムスン電子ジャパン 『GALAXY』

MM総研大賞2013 : JR東日本『Suica』

MM総研大賞2014 : エネット『EnneSmart』

MM総研大賞2015 :  ソフトバンクロボティクス『Pepper』

MM総研大賞2016 :  NTTドコモ『+d』

MM総研大賞2017 : 日立製作所 IoTプラットフォーム『Lumada』

MM総研大賞2018 :  NEC 次世代イノベーションプラットフォーム『SX-Aurora TSUBASA』

 

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「MM総研大賞2019」概要

【参考1】 MM総研大賞2019の開催主旨 

「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、MM総研が2004年に創設した表彰制度です。2019年度の今回が16回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。

【参考2】 表彰対象

1.スマートソリューション部門 (9分野)

①MaaS分野

②AI/IoT分野

③キャッシュレス決済分野

④次世代モバイルサービス分野

⑤次世代固定ネットワーク分野

⑥生体認証分野

⑦RPA分野

⑧地域創生クラウド分野

⑨働き方改革支援ソリューション分野 

2.コラボレーション部門賞

3.話題賞

4.ものづくり優秀賞

5. 大賞 

【参考3】 評価基準 /評価方法

◆スマートソリューション部門

 スマート社会の核となるスマートソリューションが対象。その対象となる製品・サービス事業全般に対する「認知度」、「信頼性」、「使いやすさ」、「先進性/革新性」、「独創性」、「価格妥当性」、「市場性」に加え、将来性を図る評価軸として、「基盤製品・サービスとしての可能性」(※一つの製品・サービスの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などの項目を評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)、またノミネート企業に対するMM総研研究員による取材活動等による評価を材料として、最終的には外部有識者からなる審査委員会の協議により、受賞企業を決定する。

◆コラボレーション部門賞

 「コラボレーション部門賞」は、業種業界の枠を超えた企業間連携・事業連携等によって新たなイノベーションやビジネス創出につながる取り組みを推進する企業・団体を評価対象とする。候補となる企業は外部有識者からなる審査委員から推挙され、審査委員会の協議により決定する。

◆話題賞

 「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とする。2018年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準とする。個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定する。

◆ものづくり優秀賞

 「ものづくり優秀賞」は、“ものづくり”の分野で、卓越した技術で「先進性」「革新性」などに優れ、市場からも高く評価されている商品を対象とする。

◆大賞

 スマートソリューション部門賞、コラボレーション部門賞、話題賞、ものづくり優秀賞に選出された製品・サービスの中から、外部有識者を含む審査委員会が、「スマート社会への貢献度」「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、大賞を選定する。

【参考4】 審査委員

審査委員長  安田 浩    東京電機大学学長 東京大学名誉教授 

審査委員    前川 徹   東京通信大学 情報マネジメント学部 学部長 教授

審査委員    藤沢 久美  シンクタンク・ソフィアバンク代表  

審査委員    北村 森   商品ジャーナリスト、サイバー大学 IT総合学部教授

審査委員    平澤 悠花   MM総研 研究主任

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本件に関するお問い合わせ先

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担 当 : 高野、上田、池澤

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