2017年度の国内AIビジネス市場規模は2,568億円

企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)

2018年09月26日

■ 2017年度の国内AIビジネス市場規模は2,568億円、今後も増加傾向
■ 導入率は4%に拡大、導入企業は金融と情報通信が先行
■ 導入企業の6割が「導入の効果あり」と回答

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は9月26日、人工知能(AI)技術のビジネス活用状況について調査し、結果を発表した。人工知能の導入状況や、導入/検討している業種・サービスの種類、導入しているサービスの効果などを聞いた。国内企業20,936社を対象に2018年9月に実施したアンケートなどをもとに取りまとめた調査の結果、2017年度(2017年4月―2018年3月)の国内AIビジネス市場規模は2,568億円となった。

 

2017年度の国内市場規模は2,568億円、今後も増加傾向

 国内AIビジネス市場は2017年度に2,568億円の規模となり、2018年度には2,736億円と前年比6.5%増加する見通しだ。その後も年平均成長率7.6%で拡大を続け、2022年度には3,437億円に達すると予測する。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、2020年度までのIT設備投資は順調に拡大していくものの、2019年秋に実施が予定される消費税増税の影響で2021年度から成長は鈍化する見込みだ。

 

導入率は4.4%に拡大 ― 引き続き、金融業と情報通信業の導入が先行

 予備調査も含めた回答企業全体(n=20,936)のうち、2018年9月時点でAI技術をビジネスに導入している企業は921社(4.4%)で、17年6月時点に実施した調査結果の1.8%と比べ2.6ポイント増加した。また、導入を検討している企業は20.1%で同2.2ポイントの増加となっており、人工知能ビジネス市場は着実に増加している。
 業種別導入率を見ると、金融12.2%、情報通信10.0%と、この二業種が先行して導入していることが分かった。次いで、エネルギーインフラ企業が6.0%、製造業5.8%、サービス業5.0%と続く。

 

自社サービスにて最も活用している人工知能ソリューションは「データ分析」

 AIソリューションを自社が提供しているサービスなどに活用または活用検討している企業(n=513)に、「最も利用している」または「最も利用したい」AIソリューションを聞いた。最も多く回答を得たのは、「需要予測や予兆分析などのデータ分析サービス」(13.8%)。次いで、「大量の文書データからセンテンスを抽出してくれるサービス」(8.6%)、「機械や部品の故障予測サービス」(8.4%)が続いた。「需要予測や予兆分析などのデータ分析サービス」が首位を獲得したのは、データ分析という人工知能の利用方法としては最もスタンダードなニーズが色濃く出た結果である。3位の「機械や部品の故障予測サービス」と回答した企業を各業種の割合で比較すると、最も活用/活用検討している業種は製造業であった。また、4位の「行動データからリスクを算出して個人に最適な料率やプランを推薦するサービス」では、電気やガスなどのエネルギーインフラの活用/活用検討が最も高かった。

 

6割以上のAI導入企業が「効果あり」と回答

 AI技術をビジネスに導入している企業(n=323)に、最も利用頻度の高いAIシステムの導入効果について評価を聞いた。「導入効果があった」と回答した企業は、「想定以上の効果があった」(20.1%)と「想定通りの効果があった」(44.6%)を合わせて6割以上であった。導入が成功した理由としては、「AI導入時の目的が明確だったため」や「データサイエンティストなどの適切な人材、もしくはパートナーがいたため」と回答した企業が多かった。
 一方で、導入効果がなかったと回答した企業は、「想定したほどの効果はなかった」(19.8%)と「効果は全くなかった」(2.2%)を合わせて2割程度であった。理由としては、「保守・運用コストが想定以上に膨らんでいるため」や「導入する現場の担当者とデータサイエンティストの連携が上手くできていなかったため」と回答した企業が多かった。

 

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■調査概要
1.調査対象:ビジネスに人工知能技術を導入済または検討している国内企業
2.回答件数:予備調査:20,936サンプル、本調査:1,680サンプル
3.調査方法:Webアンケート
4. 調査期間:2018年9月12日(水)~9月14日(金)
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【人工知能の定義】
 推論や学習、認知、判断など、人間の一知能の働きを人工的に作成したプログラムまたはコンピュータ。MM総研ではこれらを「技術」と捉え、機械学習、自然言語処理、推論などの技術を「(特化型)人工知能」と総称する。いわゆる人工知能学会が分類する「弱い人工知能」をさす。

 


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