クラウド会計ソフトの利用状況調査(2017年12月末)

2018年01月24日

■ クラウド会計ソフトの利用率は2016年12月調査の9.7%から13.5%に拡大

■ クラウド会計ソフトの事業者シェアでは弥生が55.1%、マネーフォワードが23.1%

■ 起業や事業年数の若い個人事業主を中心にクラウド会計ソフトを積極的に導入

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施し、2017年12月末時点のクラウド会計ソフトの利用状況をまとめた。本調査では、平成29年(2017年)分の確定申告を予定している個人事業主(2万231事業者)を対象とした。調査結果から会計ソフトを利用している個人事業主は28.3%で、その内、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト(※1)の利用率は13.5%。今回調査と同様に確定申告予定者を対象とした2016年12月調査の9.7%から3.8ポイント増加した(図表1・2)。クラウド会計ソフトの事業者別シェアでは、「弥生」が55.1%、次いで「マネーフォワード」が23.1%、「freee」が16.1%となった(図表4)。
 クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(1万268事業者)に今後の利用意向を確認したところ、「今後利用したい」(6.7%)と「どちらかといえば今後利用したい」(30.0%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は36.7%(図表5)となった。この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が55.6%で最も多く、事業継続年数が若いほど利用意向が高い結果となった(図表6)。過去4回の調査と同様に、事業継続年数の若い個人事業主が引き続き、クラウド会計ソフト市場をけん引していくものと分析する。
 また、今回の調査では、政府が推進している「働き方改革」で注目されている副業における会計ソフトの利用実態についても追加調査を実施した(※本リリースP5以降を参照)。現在、副業を行っており、2017年分の確定申告を予定している会社員(6,809人)の内、会計ソフトの利用者は30.2%で、その内、クラウド会計ソフトの利用者は14.9%となった(図表7)。副業においても確定申告作業の効率化は重要であるため、今後の本格的な副業解禁は、クラウド会計ソフト市場の拡大にもつながるであろう。

  
※1. クラウド会計ソフトとは、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用できるソフトのこと。
パソコンに会計ソフトをインストールしたもの、会計データのみをインターネット上に保管するソフトは含まない。

クラウド利用率は増加傾向が続くも、更なる認知・利用拡大への取り組みが必要

 多くの個人事業主は1月~12月の1年間の「所得」を確定させ、翌年2月から3月にかけて税務署に「申告」する、いわゆる「確定申告」を行っている。1月、2月は会計ソフトやクラウド会計ソフトを導入・変更する1年で最大のタイミングとなる。MM総研ではその前後で、個人事業主を対象にした調査を実施しており、第5回目となる今回の調査(2017年12月調査)では、2018年2月から3月にかけて確定申告を予定している個人事業主 (2万231事業者)を対象とした。      
  上記の条件に当てはまる個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施したところ、「会計ソフトを利用している」との回答は28.3%(5,722事業者)となった(図表1)。この会計ソフト利用者に、利用している会計ソフトを確認したところ、パソコンにインストールして利用するPCインストール型の会計ソフト(※会計データのみをクラウド上で保管するものを含む)が75.5%を占めた。クラウド会計ソフトを利用している個人事業主は13.5%で、2015年12月調査時の8.1%、2016年12月調査時の9.7%から着実に増加している。


 クラウド会計ソフトの認知度を確認したところ、「知っている」との回答は全体(2万231事業者)の64.1%で2016年12月調査時とほぼ同じ比率となった(図表3)。一方で、PCインストール型利用者や会計ソフトを利用していない層では、クラウド会計ソフトを認知していないユーザーもいまだ数多く存在する。会計ソフト利用者でも、クラウド利用はまた1割程度であり、今後とも事業者による認知の拡大や利用促進に向けた継続的な取り組みが必要であろう。


 一方、「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は52.5%(10,622事業者)となった(図表1)。この非利用者に会計ソフトの代わりに利用しているものを確認したところ、「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が39.9%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が35.8%で多く、次いで「税理士や会計事務所への外部委託」が15.4%となった。

「弥生」が半数以上を占め、「マネーフォワード」、「freee」の順で続く

 クラウド会計ソフトを利用している個人事業主に、実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答してもらったところ、事業者別では「弥生」が55.1%で最も多く、「マネーフォワード」が23.1%、次いで「freee」が16.1%となった(図表4)。

 

 

 ※対象ソフト

 ・弥生          ・・・「やよいの青色申告 オンライン」、「やよいの白色申告 オンライン」  
 ・freee      ・・・「クラウド会計ソフト freee」
 ・マネーフォワード・・・「MFクラウド確定申告」
 ・全国商工会連合会・・・「ネットde記帳」

  トップシェアの55.1%を獲得した「弥生」は2016年12月調査時の52.8%からシェアを2.3ポイント上げている。2015年12月の調査開始以来、常にシェア50%を超えてはいるが、着実に個人事業主からの支持を伸ばしている。2位の「マネーフォワード」は、2016年12月調査時の17.7%から今回の2017年12月調査では23.1%とシェアを5.4ポイント伸ばし、2位となった。一方で「freee」は2016年12月調査時の22.3%から今回の2017年12月調査では6.2ポイント減となる16.1%と、上位3社の中で、唯一シェアを落としている。
 2016年12月調査時の上位3社の合計シェアは92.8%であったが、2017年12月調査では94.3%に拡大している。個人事業主におけるクラウド会計ソフト市場は半数以上を占める「弥生」が市場をけん引し、さらに「マネーフォワード」、「freee」などのベンチャー系事業者が加わった上位3社でほぼ独占状態になっている。

起業準備や起業をきっかけにクラウド会計ソフトを導入

 今後の個人事業主におけるクラウド会計ソフトの導入意向を分析するにあたり、クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(1万268事業者)に今後の利用意向を確認した。「今後利用したい」(6.7%)と「どちらかといえば今後利用したい」(30.0%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は36.7%となった(図表5・6)。

 この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が55.6%、2年以上5年未満が42.0%、5年以上20年未満が36.3%、20年以上が32.5%と、事業継続年数が若いほど利用意向が高い結果となり(図表6)、過去4回の調査と同様の傾向となった。事業継続年数の若い個人事業主が引き続き、クラウド会計ソフト市場をけん引していくものと見られる。

【追加調査】副業をしている会社員

会計ソフト利用者の内、クラウド会計ソフトの利用率は14.9%

 今回の調査では、政府が推進している「働き方改革」で注目されている副業における会計ソフトの利用実態についても、追加調査を実施した。調査対象は現在、副業を行っており、2017年分の確定申告を予定している会社員(6,809人)。本調査での副業の定義は、正社員としての会社勤務を本業とし、それ以外でも収入(事業所得、雑所得、不動産所得、譲渡所得、配当所得、利子所得など)を得ている会社員としている。調査の結果、副業をしている会社員(6,809人)の内、会計ソフトの利用者は30.2%で、その内、クラウド会計ソフトの利用者は14.9%となった(図表7)。

 副業をしている会社員で、クラウド会計ソフト利用者に実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答してもらったところ、弥生、マネーフォワード、freeeの順位は変わらないものの、弥生が74.5%と大きなシェアを占める結果となった(図表8)。弥生のクラウド会計ソフトの一つである「やよいの白色申告 オンライン」は完全無償であるため、その点が副業をしている会社員の中でも会計ソフトのコストをできるだけ抑えたいと意識している層の支持を集めたものと見られる。

 

 現在、副業をしている会社員で、クラウド会計ソフトを認知しながらも利用していない会社員(3,328人)に、今後の利用意向を聞くと、「今後利用したい」(12.2%)と「どちらかといえば今後利用したい」(37.5%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は49.7%と、ほぼ半数を占める結果となった(図表9)。クラウド会計ソフトの潜在ニーズは高く、今後さらなる普及が進むと見られる。

 政府は2017年3月に決定した働き方改革の実行計画に「副業・兼業の普及促進」を明記。これを受けて、厚生労働省では、企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から副業・兼業禁止規定をなくし、「原則禁止」から「原則容認」に変更する方針だ。今後も政府主導の「働き方改革」として、正社員の副業や兼業を後押しする動きが加速することで2018年は「副業元年」として多くの企業で副業解禁が進むと見られる。副業においても確定申告作業の効率化は重要であるため、今後の本格的な副業解禁が、クラウド会計ソフト市場の拡大にどのように影響するのか注目したい。

 

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■調査概要

1. 調査対象:①個人事業主      / 平成29年(2017年)分の確定申告予定者
       ②副業をしている会社員 /平成29年(2017年)分の確定申告予定者
       ※確定申告期間:2018年2月16日(金)から3月15日(木)

2.回答件数:①個人事業主       /2万231事業者
      ②副業をしている会社員 /6,809人

3.調査方法:Webアンケート

4.調査期間:2017年12月15日~25日

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