ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2015年9月末時点)

 

2015年12月01日

■ 2015年9月末FTTH加入件数は2,728.9万件(15年度上期純増64.2万件)
■ NTT東西のFTTHシェアが7割を下回る
■ 光コラボレーション契約数は234.8万件、FTTH市場に占める割合は8.6%
■ 光コラボレーションではNTTドコモが首位
■ ソネットがISPのFTTH契約数シェアで3位に浮上

MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は12月1日、2015年9月末のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。2015年9月末時点のFTTH(光回線サービス)の加入件数は2,728.9万件で、2015年度上期(2015年4月~9月)では64.2万件増加した(伸び率は2.4%)。高速モバイル通信の普及拡大や固定ブロードバンドの世帯普及率の高止まりに伴い、FTTHの純増幅は縮小しており成長は鈍化傾向にある。2015年2月に開始されたNTT東西の光回線サービス卸(光コラボレーションモデル、以下光コラボ)による新規需要創出効果も限定的だった。光コラボ契約数は9月末234.8万件で、FTTH市場全体に占める割合は8.6%となった。

<FTTH(光回線サービス)事業者の動向>

NTT東西のシェアが7割を下回る、光コラボはドコモが首位


 NTTの光回線(フレッツ光および光コラボ)は、2015年9月末の東西合計の加入件数が1,903.6万件で、FTTH市場におけるシェアは合わせて69.8%。3月末から0.4ポイント減少し、7割を下回った。
 光コラボの9月末総契約数は234.8万件でNTT東西光回線契約数に占める割合は12.3%となった。光コラボ参入事業者は12月1日現在で200社を超えているが、累計では転用(フレッツ光からの乗り換え)が9割近くを占めており異業種等の参入による新規需要創出効果は今のところ限定的と言える。
 一方、携帯キャリアをはじめとする光コラボ事業者による顧客の囲い込みが始まり、これまで1%を超えることが多かったNTTの光回線の解約率は第2四半期(7~9月)に0.83%まで一気に低下した。NTTとKDDIなど従来の競争事業者間における乗り換えは今後も減少していくと分析する。
 光コラボにおける契約数のシェアでは、NTTドコモが31%で首位となった。携帯キャリアと大手ISPが光コラボでシェアを握る構図となっている。

 「auひかり」等を提供するKDDIグループは、引き続き携帯電話のセット割引「auスマートバリュー」による新規獲得と解約抑止を継続。3年間の継続利用を条件に段階的に月額料金を割り引く「ずっとギガ得プラン」も奏功し、堅調にシェアが拡大している。契約数は2015年9月末グループ合計で362.5万件(シェア13.3%)となった。

 関西地域を中心に「eo光」を展開するケイ・オプティコムは、2015年9月末156.0万件と緩やかに拡大。シェアは5.7%で横ばいを維持する。新規加入で最大1年間月額料金を2,000円割り引く「スーパースタート割」などで顧客の獲得を進める。電力小売事業へも参入し、「eo電気」の名称で電力販売に乗り出す。2016年4月以降、電気と通信を一体的に提供していく。

 マンション全戸一括加入型の光回線サービス最大手のアルテリア・ネットワークスは、2015年9月末で57.3万件(シェア2.1%)となった。上期は任意加入型ブランドの顧客減に伴って契約数が微減となったが、全戸一括加入型サービス「UCOM光 レジデンス」では契約数を伸ばした。マンションの各住戸への構内配線に光ファイバーを採用する「マンション全戸オールギガタイプ」の訴求や賃貸物件での獲得も進め、純増をめざす。

<ISP事業者の動向>

So-netが継続的なマルチキャリア販売で3位に浮上

 2015年9月末のISP事業者のFTTH契約数シェアでは、OCNが首位を維持する。契約数の微減傾向でシェアの低下が見られるものの、依然として2位以下に大きな差をつけている。
 2位のYahoo! BB(SoftBank光含む)は、ソフトバンクショップや家電量販店などにおけるスマートフォンと「SoftBank光」によるセット販売を中心とした顧客獲得を進め、シェアの拡大が続いている。
 So-netはマルチキャリアでの販売を軸に継続的な顧客獲得でシェアを伸ばした結果、BIGLOBEを抜き3位に浮上した。
 ISP各社は光コラボによる新規顧客の獲得や既存顧客の転用を進めている。光回線とモバイルサービスなどのセット提供により、顧客の囲い込みを一層進める。

<今後の動向> 

光コラボは2020年に1,700万件を超える

 固定ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATVの合計)市場は、FTTHの拡大がADSLの減少を補う形で緩やかに拡大し、2015年3月末から5年間は年平均1.0%で成長すると予測する。
 FTTH市場は2016年3月末に2,779万件と年間で4.3%の成長(純増数は114万件)を予測する。成長ペースは鈍化しており、前回2015年5月に発表した予測より1年間ずれて2019年度に3,000万件を超え、2020年3月末に3,034万件と予測する。2015年3月末から5年間は年平均2.6%で成長すると見込む。固定ブロードバンドに占めるFTTHの割合は2019年度中に8割を超え、2020年3月末に80.8%となる見通し。
 光コラボ市場は2016年3月末に483万件、FTTH市場に占める割合は17.4%になると予測。携帯キャリアや大手ISPによる転用を中心に2020年3月末に1,718万件まで拡大し、同割合は56.6%まで拡大すると予測する。



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