IoT導入状況調査(2016年11月時点)

ーー国内べンダー 「セキュリティ」で強み発揮

2017年01月24日

■ 前回調査よりIoT導入率は1.1ポイント、導入検討率は4.6ポイントの増加

■ サービス選定の重視ポイントは「総合力」

■ 「信頼性・セキュリティ」で強みを発揮する国内ベンダー

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は1月24日、「モノのインターネット」であるIoT(Internet of Things)の導入状況調査を実施し、結果を発表した。IoTの導入状況やIoTプラットフォームサービス(※)を提供する事業者についてのブランドイメージなどを聞いた。この調査は国内企業9,242社を対象に2016年11月に実施したアンケートをもとに取りまとめた。
 (※IoTプラットフォームサービスとは、主にIoT環境を構築するためにカスタマイズされた「IaaS/PaaS」を指す)

前回調査よりIoT導入率は1.1ポイント、導入検討率は4.6ポイントそれぞれ増加

 回答企業全体(n=9,242)のうち、2016年度にIoTを導入している企業は1,109社(12.0%)で、15年11月に実施した調査結果の10.9%と比較すると1.1ポイント増加した。また、導入を検討している企業は23.9%で同4.6ポイントの増加となっており、IoT市場は徐々に増加している。2017年は製造業を中心に様々な業種での導入が期待される。

 導入企業の業種割合は「製造業」が40.6%と最も多く、次いで「情報通信業」が13.1%、「サービス業」が9.3%だった。「製造業」における生産効率の向上や製品の品質向上などの製造現場で取り組んできた改善活動や「情報通信業」における情報通信機器のメンテナンス・保守業務などの取り組みは、IoTへの親和性が高く、これらの業種で導入が進む理由としてあげられる。今後は、生産プロセス全体の最適化やメンテナンス・保守業務の更なる効率化、人材配置の最適化、顧客行動の分析などでIoT利用が期待されている。

 

■IoT導入・導入検討率 昨年度比較

 

■IoT導入企業における業種割合(n=1,109)

サービス選定の重視ポイントは「総合力」

 IoTを導入または導入検討している企業(n=2,150)にIoTプラットフォームサービスを選定する際に重視するポイントを聞いた。最も多く回答を得たのは、運用コスト(31.6%)。次いで、信頼性・可用性・保守性・保全性/完全性・機密性(26.7%)、セキュリティ(26.6%)が続いた。上位10項目までがそれぞれ15%以上の回答を得ており、サービスを導入する際は、コスト面だけでなく、信頼性、セキュリティ、サポート力、システム開発力、システム性能や分析力など、顧客が求める様々なニーズに対応できる「総合力」が重視される。したがって、「重要なデータの流出や外部からのサイバー攻撃を防ぐセキュリティ対策」や「システムの信頼性・可用性を維持するサービス品質」、「構築・運用サポート体制の充実」、「収集したデータを利活用するためのコンサルティングやツール提供」など、多様なサービス機能およびソリューションを提供できる体制作りがサービス提供者にとって不可欠である。

 

■IoTプラットフォームサービスを選定する際に重視するポイント(n=2,150)

「信頼性・セキュリティ」で強みを発揮する国内ベンダー

 IoTを導入または導入検討している企業(n=2,150)に対して、「IoT」と聞いて思い浮かぶサービスのイメージ14項目(※)と、IoTプラットフォームサービスを提供している主な事業者10社(※)のブランドイメージの関係を聞いた。表にはIoTプラットフォームサービスを選定する際に重視される3つのポイント(表①)「コスト」「信頼性」「セキュリティ」に加え、MM総研が予測する今後重視されてくる2つのポイント(表②)「グローバルでの展開」「革新的・先進的なサービス」についてそれぞれ調査結果をランキング形式でまとめた。

 「費用が安い」では、Amazonが最も高く、三菱電機とSORACOMが続いた。「サービスの信頼性が高い」、「セキュリティ面で安心」では、NTTコミュニケーションズ、富士通、NECが上位にランクされた。「グローバルでの展開」、「革新的・先進的なサービス」ではGoogleが最も高かった。信頼性やセキュリティは、国内ベンダーが強みを発揮する結果となり、グローバルでの展開力やサービスの先進性ではGoogleをはじめとした海外ベンダーが高く評価された。

 

■IoTサービス提供事業者のブランドイメージランキング

 

 ※調査対象のIoTプラットフォームサービス提供事業者は以下の10社。
   富士通
   日立製作所

   NEC
   三菱電機
   NTTコミュニケーションズ
   Microsoft
   Google
   IBM
   Amazon
   SORACOM

 ※ブランドイメージ14項目は以下の通り
   「ブランド力がある」
   「サービスの信頼性が高い」

   「セキュリティ面で安心」
   「サポート体制が充実」
   「開発力が高い」
   「業界最大手」
   「パートナー企業が充実」
   「事例が多い」
   「サービスラインナップが豊富」
   「グローバルでの展開」
   「革新的・先進的なサービス」
   「手軽に利用を始められる」
   「デファクトスタンダード(事実上の標準)」
   「費用が安い」 

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<調査概要>
1.調査対象  :全業種を対象に国内企業 9,242社
2.調査方法 :Webアンケート
3.調査期間 :2016年11月29日~11月30日
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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