衛星観測データ活用のICTソリューション市場が急成長

2015年度は3000億円超ーーMM総研独自調査

2016年12月20日

■2015年度の衛星観測データを活用したICTソリューション市場は3,000億円超

■2020年度には6,000億円を超える市場規模に成長が見込まれる

■認知不足からくる利用コストや人材不足がユーザーの利用障壁に

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は12月20日、ユーザー調査(n=4,937)をもとに衛星観測データを活用したICTソリューションの市場規模を算出した。その結果、2015年度の衛星観測データ活用ICTソリューションの市場規模は3,640億円となった。宇宙基本計画の策定、衛星リモートセンシング法制定など利用環境が整備されるなかで、既存・新規ビジネスへの衛星観測データ利用ソリューションの活用が進む結果、2020年度までの年平均成長率は11.8%となり、2020年度には、2015年度比1.7倍の6,400億円を超える市場に成長すると予測する。
 衛星観測データは、衛星に搭載した様々なセンサーを活用して得られるデータを指しており、すでに気象予報、資源探査、防災など様々な用途に活用されているが、クラウド、スマートデバイスの拡大等、ICTの発展とともに、農業や自動運転などさらに多くの分野での活用が期待されている。

■衛星観測データ利用ソリューションの市場規模・予測

■業種区分別の市場規模・予測

 今回の調査では、市場規模を業種別に第一次産業系(農業・林業・水産業等)、第二次産業系(主に製造業)、第三次産業(サービス業)、に分類した上で分析した。その結果、衛星観測データは特に第三次産業で利用されていることがわかった。第三次産業が不動産価格の管理分析や政府系機関での利用が多いことが背景にある。
 第一次産業系ソリューションは2015年度40億円となった。現在、農業・林業・漁業等で利活用が進んでいることを背景に2020年度まで年率38.0%で成長し、2020年度には2015年度の5倍にあたる200億円に達すると予測する。ただ、第一次産業の市場規模は第二次、第三次と比較して小規模であり、ICT利活用自体が他の産業分野と比べ遅れていることも背景にある。今後IoT活用により農業分野へのICT適用が進むことが期待されており、今後予測を上回る可能性も秘めた産業となっている。
 第二次産業系サービスは、2015年度600億円となった。衛星観測データは屋外向けのソリューションが中心であり、例えば建設現場ではi-Construction というICTの積極的な利活用が進んでいることなどを背景に、2020年度まで14.9%で成長し、2015年度比2倍の1,200億年に達すると予測する。第三次産業系ソリューションは、2015年度3,000億円となった。2020年度まで10.8%で成長し、2015年度比1.7倍の5,000億年に達すると予測する。

 

■産業別衛星観測データ利用ソリューションの市場規模・予測

 ■地方行政関連・防災関連と官需での利用が最多


 次に具体的に、どのようなソリューションが活用されているのかを業種別に尋ねた。衛星観測データソリューションの導入状況・導入検討状況は、各ソリューションで異なるが、概ね10%前後が導入していることが分かる。また、導入検討状況は10%~20%で各ソリューションとも推移している。
 

■ 運用移行コストやシステム構築ノウハウが利用障壁に

 衛星観測データ利用ソリューション導入時の課題では、「運用コストが高くなってしまう」が最も多く、次に「利用・運用まで含めたトータルのコストが高くなってしまう」と続いた。上位2つはコストに関する課題であるが、3位、4位は「システムの構築・運用ノウハウがない」「システムの構築・運用する要因が不足」と人材に関する課題となっている。

 この調査では、衛星観測データ×ICTソリューションの2015年時点での市場規模を算出したうえで、今後5年間の市場規模を算出・予測した。事前調査として国内法人ユーザーを対象にWebアンケートを実施し、4,937法人にアンケート回答を求め、その中から衛星観測データ×ICTソリューションを導入済、あるいは検討している520法人を対象に調査を実施した。

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<調査概要>

1.調査対象  :国内法人ユーザー※
2.回答件数  :予備調査(n=4,937)、本調査(n=520)
 ※全業種を対象に情報システムやネットワークの管理・運用担当者または、決裁や選定に関与する立場
 ※本調査は衛星観測データ×ICTソリューションの利用・検討者を対象
3.調査方法 :Webアンケート
4.調査期間 :2016年10月20日~10月24日 

当調査は、宇宙ビジネスコート(https://www.bizcourt.space/#)を通した一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構との共同調査結果である。

<衛星観測データ×ICTソリューションの対象市場と市場分類の定義>

対象市場:国内法人ユーザーが利用する衛星観測データを利用したICTソリューションを対象としている。
市場分類:衛星観測データが利用されるICTソリューションを業種セグメントに分けて定義した。

また、定義作成は、既に衛星観測データの市場を定義しているERASC(European Association of Remote Sensing Companies)発刊の”A Taxonomy for the EO Services Market”を参考に上記定義を作成している。また主なサービス名称/提供ベンダーは、WEBサイトで「○○関連 衛星観測 ソリューション」と検索した結果の、上位3位表示までを記載した。

 

 <衛星観測データソリューションの市場規模算出の範囲>

当市場規模算出にあたり、市場規模算出の定義を下記に記載する。

市場規模として、日本国内で衛星観測データを利用したソリューションを利用しているユーザーが支払っている費用から市場規模を計測した。

 

※ソリューション費用に含まれている可能性があるものは下記の通りである。

ハードウェアに関する費用
ソフトウェア・クラウドサービス利用に関する費用
運用・保守に関する費用

※エンドユーザーが国内で衛星観測データソリューションを購入した費用であるため、エンドユーザーの利用形態までは調査していない。そのためエンドユーザーは日本国内だけでなく海外でも利用している可能性が含まれている。

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調査の詳細な分析を加えたレポート「国内衛星観測データ×ICTソリューション市場規模 (2016年版)」を2017年1月31日に発刊いたしました。


■注意事項
1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析から一部または全部を抜粋したものです。
2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
3. 報道機関以外が本プレスリリースの内容を引用・転載する場合は、MM総研による承諾が必要です。
4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値等と異なることがあります。また、データ・資料は、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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(株)MM総研

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