携帯電話のリサイクル・中古市場動向と展望

2010年02月04日

■直前に利用していた携帯電話のリサイクル率は12.2%。今後の意向は34.5%
■家に保管されている使用済み携帯電話は約2億台
■中古携帯電話の購入経験は3.5%
■中古携帯電話の市場規模は2013年度には184万台と予測
■下取り・買取り制度などを含めた、リサイクル率向上による資源の有効活用と市場の活性化が望まれる

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は2月4日、国内最大級のインターネットアンケートサービスを運営する「クロス・マーケティング※1」のモニターを活用して、携帯電話・PHS(以下携帯電話)ユーザー2,000人に対するWEBアンケート調査を実施。レアメタルの回収が期待される携帯電話のリサイクル状況と、販売方式の変更に伴う端末価格の高騰で注目が集まる中古携帯電話市場の展望についてまとめた。

■直前に利用していた携帯電話のリサイクル率は12.2%

 アンケートの結果、「現在利用している携帯電話が初めての携帯電話ではない」と回答した1,824人のうち、「直前に利用していた製品をリサイクルに出した」と回答した人は223人(12.2%)に留まった。

 リサイクル以外に直前に利用していた携帯電話をどうしているかについては、「現在も何らかの機能を利用している」が243人(13.3%)、「利用せずに家で保管している」が1,183人(64.9%)で、合わせて1,426人(78.2%)の回答者が利用の有無に関係なく、自身で保有していることが明らかとなった。その他、「家族・友人・知人に無償で譲渡した」が35人(1.9%)、「家族・友人・知人に売却した」が1人(0.1%)で合わせて36人(2.0%)が家族・友人・知人との取引となっている。「分別ゴミとして捨てた」「一般ゴミとして捨てた」「民間の不用品業者に処分を任せた」「紛失」「その他」5つの合計は121人(6.6%)となった。

 中古携帯電話市場への売却・下取りとして、「リサイクル(中古取り扱いショップ)で売却・下取りした」と「ネットオークションで売却した」がそれぞれ9人(0.5%)で合わせて18人(1.0%)となった。


■利用せずに家に保管している携帯電話の平均台数は1.92台

 現在利用している携帯電話が初めてでない回答者(1,824人)に対して「過去に利用していた携帯電話で、利用せずに家に保管している台数」を質問したところ、その平均台数は1.92台となった。これより、市場全体では約2億台の使用済み携帯電話が利用されずに保管されていると試算することができる。

 全ての回答者(2,000人)に携帯電話をリサイクルに出すきっかけとして必要だと思うことについて質問したところ、「リサイクルに出すと新しい携帯電話が安く買えるようにする」1,319人(66.0%)、「個人情報の漏えいをなくす」1,238人(61.9%)、「現金に相当する商品券やポイントなどがもらえるようにする」1,132人(56.6%)、「リサイクルに出すと毎月の基本料金が安くなるようにする」965人(48.3%)の順となった。


■携帯電話の買取り・下取り制度の利用意向は約7割と高い

 全ての回答者(2,000人)に携帯電話の買取り・下取り制度の利用意向を質問したところ、「利用したい」588人(29.4%)、「利用を検討したい」784人(39.2%)となり、合わせて1,372人(68.6%)が利用意向を示した(図1)。



■中古携帯電話の購入経験は3.5%、今後の購入意向も低い
 全ての回答者に中古携帯電話の購入経験について質問したところ、「ある」と回答した人は70人(3.5%)となった。全ての回答者に今後の中古携帯電話の購入意向について質問したところ、「購入したい」31人(1.6%)、「購入を検討したい」248人(12.4%)となり、中古携帯電話の購入意向を示した回答者は279人(14.0%)に留まった。反対に「購入したくない」638人(31.9%)、「あまり購入したくない」743人(37.2%)で合わせて1,381人(69.1%)が非購入意向を示した(図2)。



■中古携帯電話の市場規模は2013年度には184万台と予測

 MM総研では、以下のように中古携帯電話市場規模について現状と今後の予測をまとめた。2008年度:52万台、2009年度:62万台、2010年度:81万台、2011年度:113万台、2012年度:142万台、2013年度:184万台となり、2013年度には2008年度の3.5倍になると予測する。MM総研では2013年度の新品販売市場を3,448万台と予測しているが、中古市場が新品と中古を合わせた全体の5.1%を占める計算になる。

 中古市場が新品市場を脅かす存在になる可能性は非常に低いと分析する。一方で、スマートフォンの普及を含めて複数台目市場の拡大が、手軽に購入できる中古携帯電話の市場を押し上げる可能性も考えられる。また、キャリアが買取り・下取り制度などに対して積極的な戦略を採用することで、全ての携帯電話販売店舗で新品同様に中古製品が並ぶようになれば、総販売台数の2割程度まで上昇する可能性もあると分析する。
 
 ただし、この時には買取り・下取り制度による買い替えサイクルの長期化緩和効果が見込めるため、単純に新品市場が減少し中古市場が増加するということにはならないだろう。つまり、携帯電話のリサイクルや買取り・下取り制度の有効活用により、携帯電話市場が活性化することも期待できるということである。限られた資源の有効活用と市場の活性化、どちらも実現できる制度作りが望まれる。

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■ 調査概要
1.調査対象 : 携帯電話・PHS利用者 ※個人名義/15歳以上
2.調査方法 : Webアンケート (性年代による割付抽出) ※割付は下記参照
3.回答数   : 2,000件
4.調査期間 : 【WEBアンケート期間】:2009年12月15日~12月18日

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■株式会社クロス・マーケティングについて
株式会社クロス・マーケティング(東京都中央区、代表取締役社長:五十嵐 幹)は2008年10月に東証マザーズに上場。国内130万人超の大規模モニターを軸に、生活者の「生」の声を、主にインターネットを活用して収集するマーケティングリサーチ会社。その他モバイルリサーチ、グローバルリサーチ、ホームユーステスト、グループインタビュー、アイトラッキングなどのサービスを提供。


■注意事項
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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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