クラウド会計ソフトの利用状況調査(2016年3月末)

 

2016年05月16日

■ 個人事業主の会計ソフト利用率は31.8%、その内、クラウド会計ソフトは9.2%
■ クラウド会計ソフトの認知度は61.3%に上昇、クラウド機能、負担軽減への認知拡大
■ クラウド会計ソフトの事業者シェアでは弥生が53.1%、Freeeが22.9%

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は、個人事業主(2万113事業者)を対象にWebアンケート調査を実施し、2016年3月末時点のクラウド会計ソフトの利用状況をまとめた。本調査では、直近の平成27年分の確定申告を行った個人事業主を対象とした。調査結果から、会計ソフトを利用している個人事業主は31.8%で、そのうち、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト(※1)の利用率は9.2%となった(図表1)。利用しているクラウド会計ソフトの事業者別シェアでは、「弥生」が53.1%、次いで「freee」が22.9%、「マネーフォワード」が16.1%となり、3社で92.1%を占めた(図表3)。

 クラウド会計ソフトは、パソコンにインストールして利用する従来型のパッケージソフトに比べ、クラウドならではの利便性の高さが評価され、着実に認知が広がっている。本調査結果では、個人事業主の認知度は61.3%となり、前回調査(15年12月)時点の57.4%から3.9ポイント上昇(図表2)、今後もさらに認知度を高めていくことが予想される。

 クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主に今後の利用意向を確認したところ、「今後利用したい」(6.4%)と「どちらかといえば今後利用したい」(29.1%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用意向率は35.5%(図表4)となった。この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が50.0%で最も多く、事業継続年数が若いほど利用意向率が高い結果となった(図表4)。導入のタイミングとしては、売上や事業拡大をきっかけに導入したいとする声が多く、今後も起業や独立、事業拡大をめざす個人事業主を中心にクラウド会計ソフトの導入が進んでいくものと予想する。

※1. クラウド会計ソフトとは、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用できるソフトのこと。
パソコンに会計ソフトをインストールしたもの、会計データのみをインターネット上に保管するソフトは含まない。

◆クラウド会計ソフトの認知度は61.3%に上昇

 多くの個人事業主は1月~12月の1年間の「所得」を確定させ、翌年2月から3月にかけて税務署に「申告」する、いわゆる「確定申告」を行っている。1月、2月は会計ソフトやクラウド会計ソフトを導入・変更する1年で最大のタイミング。その前と後で利用ソフトやクラウド会計ソフトの認知度などを調査し比較した。そのため、昨年12月に実施した前回調査では、2016年2月から3月にかけて確定申告を行う予定の個人事業主を対象としたが、今回は実際に申告を行った個人事業主(2万113事業者)を対象とした。

 上記の条件に当てはまる個人事業主を対象にWebアンケート調査を実施したところ、「会計ソフトを利用している」との回答は31.8%(6,404事業者)となった。この会計ソフト利用者に、利用している会計ソフトを確認したところ、パソコンにインストールして利用する従来型の会計ソフト(※会計データのみをクラウド上で保管するものを含む)が84.0%を占めた。クラウド会計ソフトを利用している個人事業主は9.2%となり、前回調査時よりも1.1ポイント上昇した(図表1)。

 今回の調査でも、クラウド会計ソフトの認知度を確認したところ、「知っている」との回答は全体(2万113事業者)の61.3%に達し、前回調査時よりも3.9ポイント上昇した(図表2)。クラウド上にデータを保管し、ネット環境さえあれば、どこでも利用でき、複雑な勘定科目を自動で判別、仕訳してくれる機能などへの認知が進んでいる。着実にクラウド会計ソフトの浸透は進んでいるものの、依然、会計ソフト利用者の1割程度に止まっている現状からは、まだまだ市場の開拓余地は残っているともいえるだろう。

 一方、「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は55.5%(1万1,172事業者)となった(図表1)。この非利用者に会計ソフトの代わりに利用しているものを確認したところ、「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が41.2%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が39.3%で多く、次いで「税理士や会計事務所への外部委託」が11.9%となった。

◆「弥生」、「マネーフォワード」のシェアが増加

 クラウド会計ソフト利用者に、実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答してもらったところ、事業者別では「弥生」が53.1%で最も多く、次いで「freee」が22.9%、「マネーフォワード」が16.1%、「全国商工会連合会」が3.9%となった(図表3)。

※対象ソフト
 ・弥生 ・・・「やよいの青色申告 オンライン」、「やよいの白色申告 オンライン」
 ・freee      ・・・「freee」
 ・マネーフォワード・・・「MFクラウド確定申告」
 ・全国商工会連合会・・・「ネットde記帳」

 トップシェアとなった弥生は前回調査時の50.5%からシェアを2.6ポイント上げている。弥生は、2014年1月から「やよいの白色申告 オンライン」を、2014年10月から「やよいの青色申告 オンライン」を提供。PCインストール型の会計ソフトにおける提供で積み重ねた実績と知名度の高さに加え、簡単に操作できる点や継続利用意向の高さも強みとなっている。

 2位のfreeeはシェア22.9%で、前回調査時の24.9%から2.0ポイント減となった。2013年3月から他社に先駆け「freee」の提供を開始、クラウド会計ソフトの市場立ち上げに貢献。freeeの利用者からの声では操作性の高さに加え、クラウド上にデータを保管できること、ソフトをインストールしなくともよいなど、万遍なくクラウドならではの機能を評価する声が多く聞かれた。

 3位のマネーフォワードは前回調査時の9.8%から6.3ポイント増となる16.1%と最もシェアをアップさせた。同社は2014年1月より「MFクラウド確定申告」の提供を開始。最大の強みは、3,600サイト以上という対応金融機関の多さで、銀行やクレジットカードなどのデータの自動取込、自動仕訳できる点を評価する声が多い。

◆事業拡大を図る中でクラウド会計ソフトの導入をめざす

 今後の個人事業主におけるクラウド会計ソフトの導入意向を分析するにあたり、クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(1万974事業者)に今後の利用意向を確認した。「今後利用したい」(6.4%)と「どちらかといえば今後利用したい」(29.1%)を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は35.5%となった。(図表4)。

 この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が50.0%で最も多く、2年以上5年未満が39.3%、5年以上20年未満が34.0%、20年以上が33.4%と、事業継続年数が若いほど利用意向が高い結果となった(図表4)。利用意向と合わせて、利用するきっかけについても確認しているが、会社の売上が拡大するタイミングとの声が最も多く、起業や独立に加え、事業の拡大をめざす比較的事業継続年数の若い個人事業主を中心に、今後もクラウド会計ソフトの導入が進んでいくものと見られる。

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■調査概要

1. 調査対象:平成27年分の確定申告を実施した個人事業主
※申告期間:2016年2月16日(火)から3月15日(火)
2. 回答件数:2万113事業者
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査期間:2016年3月29日~31日

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