第4のコンピュータを生み出そう ――レノボ、富士通のパソコン統合交渉から見えるもの

MM総研研究部長 中村成希

2016年10月07日

レノボ、富士通がパソコン事業の統合に向け交渉しているとの報道が10月6日流れました。筆者も同日夜放送のテレビ東京のニュース番組WBSに出演しコメントしました。時間の制約のなかで十分お伝えできなかったこともあり、コメントを追加させていただきます。

 報道の場をお借りしてのコメントですと、どうしても「国内」メーカーは、「中国」メーカーは、という出自の比較や、短期的にどんな手を打つべきか、という視点に陥りがちなのですが、筆者の実感として、これからの「パーソナルコンピュータ産業の在り方」を考えるときには、資本の括りだけでの比較はあまり意味をなさないように感じています。

  日本のメーカーである東芝、パナソニック、VAIOも、製品は日本以外の市場に展開しており活動の場は昔から「グローバル」です。レノボも中国を本国とするメーカーですが、世界各国でビジネスを展開しておりその視点で違いはありません。無論、富士通のパソコン事業も海外展開しています。

 「スマホ後」の課題突きつけられる 

 そのグローバルの視点で見たとき、パソコンはこれまで大きく3回の進化を遂げたと感じています。①デスクトップ型→②ノート型→③スマートフォン&タブレット型の3段階です。そのなかでノート黎明期では日本は独自の強みを発揮し、グローバルに存在感を示しましたが、ノート産業の成熟、スマホの登場といったその後の変化への対応が遅れた点が問題だったと感じています。 

 さらに、今、パーソナルコンピュータメーカーは大きな課題を突き付けられていると感じています。③のスマートフォン&タブレットの次のカテゴリーを生み出しきれていないことです。③の勝者であるアップルをはじめ多くのグローバルメーカーがチャレンジしていますがまだ道半ばです。スタートアップも次から次へと出ていますが、なかなか定着しません。これは日本メーカーだけでなくレノボを含むすべてのメーカーに突き付けられた大きな課題です。これが今回の報道の背景にあると感じています。 

 産業全体を見渡した時、スマートフォンやタブレット市場が世界的に成熟している今、第4のコンピュータを生み出すという非常に大きなイノベーションが必要なのです。

  第4のコンピュータは、家電製品に内蔵されるでしょうか? 自動車のなかに埋め込まれるでしょうか? ウエアラブルでしょうか? ヒアラブルでしょうか? 住宅と一体化するでしょうか? パーソナルロボットでしょうか? はたまた現実ではなく仮想空間のなかの「モノ」として存在するのでしょうか?

「共創」の視点が不可欠

答えを出すには、「共創」という過程が必要だと強く感じています。メーカーが多くの産業、国や社会との接点を増やし、課題解決のために試行錯誤を繰り返すことです。これは、企業にとって体力と時間が必要な作業です。よってメーカーは「グローバル」に規模の経済を利かせつつ次の成長機会を「グローカル」に探すことがとても重要な時代となっています。

 世界は無論のこと、日本社会も多くの課題を突き付けられており、その視点では、多くの成長機会が埋もれていると感じています。我々も次のイノベーションがどこから生まれていくのか、あらゆる分野、技術に目を向け、その機会を探索し続けています。とても大変な、しかし刺激的な活動です。これからも、あらゆる情報、知恵を総動員して「第4のコンピュータ」を生み出し、育てるお手伝いをしていきたい。改めて強く感じています。

 

 ※筆者による「ICT市場展望」(M&D Report最新号掲載)を参照ください

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