2015年度通期国内携帯電話端末出荷概況

2016年05月12日

■2015年度通期の総出荷台数は前年度比5.6%減の3,658.5万台で4年連続減少
■スマートフォン出荷台数は前年度比2.9%増の2,916.5万台
■SIMフリースマートフォン出荷台数は前年度比2倍の170.5万台
■フィーチャーフォン出荷台数は前年度比28.7%減の742万台
■2016年度の総出荷台数は3,420万台、スマートフォン出荷台数2,770万台と予測

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は2015年度通期(2015年4月~2016年3月)の国内携帯電話端末(※1)の出荷台数調査結果を発表した。大手キャリア向け出荷台数に加えて、端末メーカーによる直接販売やMVNO・家電量販店など、独自ルートで販売するSIMロックフリースマートフォン(以下、SIMフリースマートフォン)を含めたメーカー別出荷台数・シェアを今回初めて発表した。更にSIMフリースマートフォンに限定したメーカー別出荷台数・シェアについても初めて発表した。

※1:本リリースに含まれる携帯電話端末
① 従来型携帯電話(以下、フィーチャーフォン)
② スマートフォン(NTTドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイルの4キャリア向けおよびSIMフリー含む)
③ 総出荷台数(①+②)

フィーチャーフォンが前年度比約300万台の大幅減でスマートフォンシフトが顕著に

 2015年度通期の携帯電話端末総出荷台数は前年比5.6%減の3,658.5万台となり、4年連続で減少した。

 スマートフォン出荷台数は2,916.5万台(2.9%増)となり、2012年度の2,972万台をピークに2年連続で減少していたが3年振りに増加に転じた。総出荷台数に占めるスマートフォン出荷台数比率は79.7%(6.5ポイント増)となった。
 スマートフォン出荷台数に占めるSIMフリー出荷台数は170.5万台で2014年度の86.5万台から倍増した。スマートフォン出荷台数に占めるSIMフリー比率は5.8%(前年度比2.7ポイント増)に拡大した。
 フィーチャーフォン出荷台数は742万台(28.7%減)となった。2014年度は僅かながら2013年度を上回る台数を記録したが、300万台規模の減少に転じた。総出荷台数に占めるフィーチャーフォン出荷台数比率は20.3%(6.5ポイント減)となった。

 2015年度携帯電話出荷の総括としては①SIMフリースマートフォンの台頭 ②フィーチャーフォンの減少――の2点といえるだろう
 SIMフリースマートフォンはMVNOによるSIMカードとのセット販売注力や家電量販店の販売スペース拡大に比例して増加している。フィーチャーフォン減少の理由は買い替えサイクル長期化に加えて、MVNOサービスへの乗り換えも増加していることが影響したと分析する。なお、Android OSを搭載したフィーチャーフォン出荷台数は118万台でフィーチャーフォン出荷台数のうち15.9%を占めた。同端末はLINEやWEBサイト閲覧がスマートフォン同様に利用できるメリットがある。しかし、従来型フィーチャーフォンと比較して月額利用料金が高くなる傾向があることから、需要は限定的となった。

2015年度の総出荷台数・スマートフォン出荷台数1位はApple

 2015年度のメーカー別出荷台数シェア1位はAppleで2012年度以降4年連続1位を獲得。総出荷台数に占めるシェアは41.9%、スマートフォン出荷台数シェアは52.5%となった。Appleは日本でiPhoneを発売開始した2008年以降、6年連続で増加し続けてきたが、2015年度は僅かながら初のマイナス成長となった。Appleの出荷台数が伸び悩んだ要因は携帯料金タスクフォースの議論により、大手キャリアによる過剰なインセンティブ施策が制限された結果と分析する。携帯電話会社を乗り換えるMNPを中心に、一括ゼロ円販売やキャッシュバックの恩恵を最も受けていたiPhone需要が僅かながら減少した。

 総出荷台数シェア2位 ソニー、3位 シャープ、4位 京セラ 351.4万台、5位 富士通の順となった(データ1)。

 スマートフォン市場(SIMフリー含む)におけるシェア2位以下は、2位 ソニー、3位シャープ、4位 富士通、5位 京セラの順となった(データ2)。

SIMフリースマートフォン市場シェア1位はASUS

 SIMフリースマートフォン170.5万台に限定したメーカー別台数シェア1位はASUSとなった。ZenFoneシリーズとして多数モデルを発売。その中でも全モデル別出荷台数で1位の「ZenFone 2 Laser(5インチ)」が大きく貢献した。

 2位はFREETELブランドでSIMフリー端末およびMVNO SIMカードを販売しているプラスワン・マーケティングとなった。Androidに加えて、Windowsや二つ折り2画面スマートフォンも開発。低価格から高価格帯の幅広い製品を投入した。
 3位はHuawei/ファーウェイで海外でも好調なPシリーズ端末の「P8 lite」が人気となった。
 4位は富士通 で「arrows M02」が多くのMVNOに採用されるなど、SIMフリーとしては貴重な「おサイフケータイ」「防水防塵」「ドコモ・auの両回線」に対応した国内メーカー端末である点が評価された。
 上位4メーカーで70%以上のシェアを占めたが、全30メーカーの製品が出荷される競争の激しい市場となった(データ3)。

2016年度の総出荷台数は3,420万台、スマートフォンは2,770万台と予測

 MM総研では2016年度の総出荷台数を前年度比6.5%減の3,420万台と予測する。以降は、2017年度:3,370万台、2018年度:3,320万台2019年度:3,500万台、2020年度:3,590万台と予測。2016年度から2018年度は買い替えサイクル長期化により3年連続で再び減少傾向の見通しだが、2019年度には2020年度の次世代通信規格の5Gサービス本格導入に向けた一部導入による市場回復が期待される(データ4)。

今後はMVNO SIMカードを含めたMVNOサービス市場の伸長が最注目ポイント

 今後2,3年のスマートフォン市場は大手キャリア端末の減少傾向が続くことが懸念される。携帯料金タスクフォースの影響もあり、キャリアの販売戦略の変化やスマートフォンの性能・品質の向上により更なる買い替えサイクル長期化が懸念されるためだ。画面サイズの大型化も5.5インチ前後で一旦の収束傾向を見せており、ユーザーの購入意欲を刺激することが困難になりつつある。一方で期待できるのはSIMフリースマートフォンである。当初は海外メーカーやSIMフリー専業メーカーが中心で一部のハイエンド層の利用に限定されていたが、大手キャリア向け端末を展開する国内メーカーの本格参入により、幅広いユーザー層への広がりを見せ始めている。今後はMVNO SIMカードを含めてMVNOサービスの伸長が携帯電話市場における最注目ポイントといえるだろう。


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