0円プラン廃止による契約数減の巻き返しなるか(2023年7月号 No.325)

【特集1】楽天モバイルが「最強プラン」を発表― 0円プラン廃止による契約数減の巻き返しなるか

楽天モバイルは2023年5月12日、新たに「Rakuten 最強プラン」を6月1日から提供すると発表した。現行の「Rakuten UN-LIMIT VII」を利用しているユーザーは6月1日から自動的に「Rakuten 最強プラン」に移行する。最強プランは、料金こそRakuten UN-LIMIT VIIと変わらないものの、これまで98.4%にとどまっていた国内の人口カバー率が99.9%まで上昇する。楽天による自社回線エリアの拡大ではなく、これまで縮小傾向だったKDDI回線の活用を強化することで実現させる。

【データ1】2022年度通期 国内パソコン出荷台数調査― 台数減少するも出荷金額は2ケタの増加に

MM総研は2022年度(2022年4月~2023年3月)の国内パソコン出荷実績をまとめた。2022年度の国内パソコン出荷台数は1123.4万台(前年度比4.4%減)で2年連続の減少となった。メーカー別の出荷台数シェアはトップのNECレノボが24.4%で、前年度比0.3ポイント低下した。

【データ2】2022年度通期 タブレット端末出荷台数調査― 過去10年で最少となる608万台

MM総研は、2022年度通期(2022年4月~2023年3月)の国内タブレット端末の出荷台数をまとめた。2022年度通期の出荷台数は前年度比21.4%減の608万台で、2013年度以降の10年間で過去最少となった。2020年度はGIGAスクール構想による小中学校向けのタブレット配備の特需により1152万台と過去最多を記録したが、同施策による影響がなくなり2年間で半減した。加えて、携帯キャリアによるセルラータブレットの消極的な販売戦略、物価高騰による消費者ニーズの低下も影響したと分析する。伸び悩むタブレット市場おいてメーカー別・OS別出荷台数の1位はアップルが堅持。出荷統計開始から13年連続の1位、過半数シェアは4年連続という安定した人気を誇っている。タブレット市場は2年連続で減少したが、2023年度は632万台(前年度比3.9%増)と予測する。

【データ3】国内MVNO市場調査(2023年3月末時点)― 独自サービス型SIM市場は2度目の成長期へ

MM総研は国内仮想移動体通信事業者(MVNO)市場の2023年3月末時点での実績をまとめた。調査結果によると、独自サービス型SIMの回線契約数は1312.1万回線となり、前年同期比で4.2%増となった。楽天モバイルの0円プラン廃止、IoT用途の好調を背景に3半期連続のプラス成長を記録。2024年3月末は1450万回線(前年比10.5%増)と予測する。スマートフォン向けでは、大手通信事業者(MNO)によるサブブランド、オンライン専用プランの拡販強化などの影響が大きい一方、1円スマホ販売の規制強化、MNPワンストップ化などの追い風もあり、若干のプラスになる見込み。また、IoT用途においては今年度以降で顕著に市場が拡大すると予想する。

【データ4】ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2023年3月末時点)― 2022年度のFTTH純増数は大きな落ち込み

MM総研は、2022年度通期(2022年4月~2023年3月)のブロードバンド回線事業者の加入件数
調査結果をまとめた。2023年3月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は3800万件で、年間で109.8万件の純増(成長率は3.0%)となった。2020年度以降、コロナ下のテレワーク需要の急拡大を背景に好調な伸びを見せていたが、需要が一巡したことにより純増数は2018年度水準まで大きく落ち込んだ。無線を利用するワイヤレス市場は2023年3月末時点で500万件(年間成長率は12.3%)となり、固定ブロードバンド市場の10.1%と初めて1割を超えた。2023年度も同様の傾向が続き、FTTH市場の純増数は102.5万件と成長鈍化を予測。一方で、各社が純増数確保を目指し、FTTH間の乗り換えが一層増加するとみられる。高速大容量の10Gbpsサービスや宅内通信環境を最適化するメッシュWi-Fiの普及などによる高品質化もさらに進むと見込む。

【トレンド1】クラウド利用の増加で高速回線ニーズ上昇― ソフトバンク、IIJ、アルテリア

高速回線の利用がじわじわと広がりを見せている。コロナ禍を機にクラウド利用をはじめ、ゼロトラストと呼ばれる安全対策を施したネットワーク構成を検討するケースが飛躍的に増加した。これまで高速回線は、独自網を持つ通信事業者がけん引してきたが、NTTの10Gpbsの光回線サービス「フレッツ光クロス」が徐々にエリアを拡大してきたことで、今後数年での加速度的な普及が期待される。今回は、法人向けに高速回線を提供するソフトバンク、インターネットイニシアティブ(IIJ)、アルテリア・ネットワークスに、その取り組みと、今後の見通しについて話を聞いた。

【トレンド2】GIGAスクール本番に耐えるインターネット環境をつくれるか

GIGAスクール構想が始まって約3年半が経過した。しかし、MM総研が教育委員会に対して実施している継続調査では、回線に対して「課題がある」と回答する自治体が減らない。GIGAスクール構想は当初2020年度から5年かけて整備する計画だったが、新型コロナウイルスの流行によりわずか1年間に短縮された。端末や回線を急ピッチで整備し、なんとか使えるようになったのが2021年ごろだ。このころ、教育委員会のICT整備担当者、教育現場をよく知る指導主事ともに約4割がインターネット回線に課題を感じていた。その多くは「インターネットにつながらない」「遅すぎる」といった問題である。

【トレンド3】クラウド電話で外からでもオフィス同等の電話環境を実現― NTT コミュニケーションズ、ソフトバンク

従来のオフィス勤務とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが定着しつつある。コミュニケーションのあり方が見直される中、代表電話などの固定電話番号(0ABJ番号)の対応に悩む企業も多くみられた。オフィス以外の場所からの通話需要が高まっており、クラウド電話サービスが注目されている。本稿ではNTTコミュニケーションズとソフトバンクのコミュニケーションツールを活用したクラウド電話の提供状況についてレポートする。

【経営1】小さな水槽に海を再現する「環境移送技術」で環境保全と経済合理性を両立― イノカ

海洋生物の約25%が暮らすサンゴ礁は生物多様性の面で重要な役割を果たしているが、海洋面積全体のわずか0.2%に過ぎず、超高密度な大都会といえる。そんな海洋生物にとって重要なサンゴ礁だが、地球温暖化・海水温上昇によって2040年までに70~90%が死滅すると言われている。今回取材したのは、任意の生態系を水槽内に再現し、海の中で起きていることを見える化する「環境移送技術」で最先端を走るイノカ(東京都港区、高倉葉太CEO)。IoT・AI技術を使い、水質をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含む生物同士の関係性など多岐にわたるパラメーターを制御することで再現する。サンゴの人工産卵を成功させたイノカは、環境移送技術の活用領域をさらに広げようとしている。

【経営2】回線に加え、ユーザーに寄り添うサービスを提供― 中部テレコミュニケーション、沖縄セルラー電話

MM総研の「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」によると、2023年3月末時点のFTTH加入件数は前年から純増数を大きく減らし、コロナ禍でテレワークが増えたことによる特需の終わりが明確となった。各社とも厳しい獲得競争を強いられたものの、それぞれの強みを活かしたキャンペーン、割引特典に加え、サービスラインアップの充実、ホームページやブランドの刷新、ゲーム対戦競技「eスポーツ」の強化などに積極的に取り組む動きが目立った。光インターネットサービスの提供開始から20周年を迎えブランドを刷新した中部テレコミュニケーション(ctc、名古屋市、中島弘豊代表取締役社長)と、eスポーツへの参入・強化に取り組む沖縄セルラー電話を取材した。

【経営3】通信・端末ともに大手が高いシェアを握る― 米国モバイル通信市場動向

米国のモバイル通信市場はTモバイルUSとスプリントが2020年に合併して以来、ベライゾン・ワイヤレス、TモバイルUS、AT&Tモビリティの3社で契約数シェア7割以上を占めている。スマートフォンのメーカー別シェアの1位はアップルで6割を占めている。

【経営4】日本初、アップルのAAER認定企業を紹介― Too

米アップルは製品に関する高い技術力と実績で企業や教育機関にシステム構築・ソリューションを提供するパートナーを、「Apple VAR(Value Added Reseller)」として認定している。1985年から約38年間、Apple製品を販売してきたToo(東京都港区、石井剛太代表取締役社長)もそのひとつだったが、同社は2022年に日本初の「AAER(Apple Authorized Enterprise Reseller)」の契約をし、顧客企業に対して最も高度な付加価値を提供するパートナーとしてアップルに認定された。現在、日本でAAERと認定されている企業はTooだけだ。今回はTooの執行役員兼Apple事業開発部ゼネラルマネージャーの福田弘徳氏に取材した。

【経営5】「Visa のタッチ決済」対応カードが国内1億枚を突破― ビザ・ワールドワイド・ジャパン

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(東京都千代田区、シータン・キトニー代表取締役社長)は5月25日、日本におけるVisaのタッチ決済対応カードの発行枚数が、2023年3月末時点で1億枚を超えたことを明らかにした。2019年6月に1000万枚を突破してから僅か4年弱で10倍となるなど、発行枚数は近年急拡大。店舗に設置するVisaのタッチ決済に対応した端末台数は180万台を超え、さらに2021年以降は国内公共交通機関での導入も相次ぐなど、日本国内でVisaのタッチ決済を使うための環境は整いつつある。今後は消費者の利用をいかに促進していくかが課題となる。

【経営6】インターネット時代の歴史の継承― 国立国会図書館「インターネット資料収集保存事業(WARP)」

「インターネット資料収集保存事業(WARP)」は、国立国会図書館がWebページを収集し、長期保存・提供する事業。Web上の情報を永く保存し、将来の研究や調査、文化の継承に役立てることを目的とする。さらに、Web技術の進化や情報の急速な変化に対応するため、継続的な取り組みと改善を重ねている。関西館電子図書館課の志村努ネットワーク情報第一係長に国会図書館の取り組み状況や今後の利活用の展望を聞いた。

【デジタル深層流】25回を迎えた「世界デジタルサミット」― MM総研 代表取締役所長 関口和一

今回は手前味噌になるが、日本経済新聞社で25年間企画に携わってきた「世界デジタルサミット」のことを紹介したい。1998年に創設した「世界情報通信サミット」がその前身で、楽天が創業した翌年に始まった。アマゾン・ドット・コムが日本に進出したのはそれから2年後のことだ。生成AI「ChatGPT」が大きな話題だが、当時もインターネットの登場が人々の関心を集め、状況は今とよく似ている。

【ICT道標】国内携帯電話メーカーの没落― MM総研 研究部長 篠崎忠征

2023年5月に京セラが個人向け携帯電話事業の撤退、FCNTが民事再生法申請による事実上の撤退を発表した。なぜ両社は年間3000万台以上が維持されている携帯電話市場で苦戦を強いられ、今回の決断に至ったのであろうか。

MM Report購入のご案内

MM Reportは年間購読制となっており、書店ではお求めになれません。年間購読(年間購読料9万6000円(税別))を希望される方は、「購読申し込みフォーム」よりお申し込みいただくか、購読申し込み書に必要事項記載の上、FAXでお申し込みください。
お申し込みに際してのご質問などがありましたらお気軽にお問い合わせください。

Webでのお申し込み

Webからのお申し込みは以下の購読申し込みフォームにて受け付けております。

電話をかける購読申し込みフォーム

TEL 03-5777-0161

受付時間 9:00~18:00
(土・日・祝日定休、年末年始休業)

FAXでのお申し込み

購読申し込み書をプリントアウトし、必要事項をご記入の上、下記FAX番号宛にお送りください。

購読申し込み書の
ダウンロード(PDF)

FAX 03-5777-0163

お問い合わせに際し、電話・お問い合わせフォームでのご連絡及びFAXの 弊社への送信により、お客様よりお預かりいたします個人情報(お名前、電話番号、メール等の連絡先)に関しましては、お問い合わせいただいた当該案件に関するご連絡・ご説明に関してのみ利用させていただき、第三者への提供は行いません。

当社がお客様の個人情報を利用するにあたり第三者に委託する場合があります。委託先へは個人情報を厳重に管理することを義務付け、監督します。

個人情報を提供いただけない場合は、弊社からご連絡できない場合もございますことをご了承ください。

本サイト/フォームでは、Cookie等の本人が容易に知覚できない方法による個人情報の取得はしておりません。

お預かりした個人情報につきましては、ご本人からの求めにより、利用目的の通知・開示・内容の訂正・追加または削除・利用の停止・消去(以下、開示等)に応じます。開示等に関するお問い合わせは下記までお願い致します。

株式会社 MM総研 総務部長(個人情報保護責任者)

住所 : 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー
電話 :03-5777-0161(代表)
時間 :9~18時[土・日・祝日定休、年末年始休業]

電話をかけるお問い合わせフォーム