2022年をゲームチェンジ元年に(2022年1月号 No.307)

【特集1】ケーブルテレビが続々参入― 本格始動するローカル5G

2019年12月にローカル5Gが制度化されて以降、通信事業者のみならず様々な業態のプレイヤーの参入が相次ぎ、活用が急速に進んでいる。その中でも注目されるのが、地域の情報インフラを担うケーブルテレビ(CATV)事業者だ。ローカル5Gは業務の自動化などをはじめとするデジタル・トランスフォーメーション(DX)への活用が見込まれ、地域の課題解決や活性化を実現する切り札として期待が高まっている。2021年に本格的に始動したCATV各社の多様な取り組み例を紹介する。

【データ1】ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2021年9月末時点)― FTTHが上期100万件超の純増維持、テレワーク需要続く

MM総研は、2021年度上期(2021年4月~9月)のブロードバンド回線事業者の加入件数を調査し、その結果をまとめた。2021年9月末時点のFTTH(光回線サービス)の契約数は3601.4万件で、2021年3月末から100.1万件の純増(伸び率は2.9%)となった。新型コロナウイルスの影響でテレワークやWeb会議などが普及する中、自宅やオフィスでのFTTHの需要が大幅に増加。ADSL終了に伴う光回線未利用者の取り込みや、光回線からモバイルへシフトするユーザーの食い止めが進んだことも100万件超の純増維持につながった。引き続きテレワークなどによる需要が市場をけん引することから、MM総研では、2022年3月末時点のFTTH契約数を3693万件と予測する。2021年度通期の純増数は192万件となり、2020年度の194.5万件と同数程度になる見込みだ。

【データ2】国内MVNO市場調査(2021年9月末時点)― 独自サービス型SIMは二半期連続のマイナス成長

MM総研は国内MVNO市場の2021年9月末時点での実績を調査し、その結果をまとめた。独自サービス型SIMの回線契約数は1239.5万回線となり、前年同期比で19.3%減となった。2021年3月末調査に続き二半期連続で前年同期を下回った。携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、2020年9月末から1.9ポイント減の6.3%になった。

【データ3】2021年度上期国内パソコン出荷台数調査― GIGAスクールと在宅特需の反動で出荷台数は大幅減

MM総研がまとめた2021年度上期の国内パソコン出荷台数は591.4万台(前年度同期比25.6%減)と大幅な減少となった。2020年度の「GIGAスクール」(国公立の小中学生1人に1台のPC端末を配布する政府プロジェクト)特需、コロナ禍による在宅勤務用パソコン特需の反動が出た。2021年度下期の市場も反動減が続く見込みであり、減少幅は上期を上回る40.3%の減少を見込む。半導体を中心とする部品不足の影響もあり法人市場で需要と供給が一致せず、需要減退が見られる。買い替え需要が回復するのは2022年度下期以降と予測する。

【データ4】2021年度上期タブレット端末出荷台数調査― 教育特需のピーク終了で出荷台数は減少

MM総研がまとめた2021年度上期(2021年4月~9月)の国内タブレット端末の出荷台数は前年度同期比12.8%減の403万台となった。2020年度はGIGAスクール構想による小中学校向けのタブレット配備の特需があったが、2021年度に入りその特需も落ちつきを見せ始めたことで上期の出荷台数は減少した。下期にかけても前年度並みの特需が見込めないことや、半導体不足の影響で出荷台数は減少し、2021年度通期出荷台数は910万台(前年度比21%減)と予測する。メーカー別やOS別出荷台数の1位はAppleが217万台でシェア53.8%となった。上期出荷台数として3年連続で50%超と好調を維持した。

【データ5】小中学校のGIGAスクール端末利活用動向調査(2021年10月時点)― GIGAスクール端末を毎日利用する生徒は2割に留まる

MM総研は、2021年10月末時点の「小中学校のGIGAスクール端末利活用動向調査」と題する調査結果をまとめた。市区町村が設置する教育委員会1,740団体に電話アンケートを実施し、2020年度に小中学生に1人1台整備したGIGAスクール端末の活用状況について尋ね、1,136団体(65%)から回答を得た。今回は各自治体の教育委員会で、学校の教員などに対して利活用を推進する「指導主事」を主要なヒアリング対象者とした。

【対談1】シンプルなオンライン特化プランで若年層の獲得目指す― 株式会社NTTドコモ
井伊基之代表取締役社長

NTTドコモは2020年12月にデータ容量20GB、5分無料通話付きのオンライン特化プラン「ahamo」を発表した。これまで後手に回っていた若年層の獲得に力を入れると同時に、手続き業務のデジタル化によるコスト削減を目指す。メインブランドでの値下げを実現し、携帯業界全体の料金体系にインパクトを与えた点が高く評価され、「MM総研大賞2021」の大賞を受賞した。NTTドコモの井伊基之社長に新料金プランの狙いやその効果を聞いた(対談には岡慎太郎ahamo 推進室長が同席)。

【対談2】楽天経済圏との相乗効果を高めた新料金プラン― 楽天モバイル株式会社
山田善久代表取締役社長

2020年4月に携帯電話事業者(MNO)として市場参入した楽天モバイルは「プラン料金1年間無料キャンペーン」などを積極的に展開し、利用者を獲得してきた。新たな料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は、月間のデータ利用量が1GB以下の場合は0円(1回線目に限る)で、国内通話も専用アプリの「Rakuten Link」を使えば無料となる。利用状況に応じて料金が段階式に変わるシンプルな料金プランが高く評価され、スマートソリューション部門モバイル通信サービス分野で「最優秀賞」を受賞した。これまでの取り組みや今後の戦略などについて山田善久代表取締役社長に話を聞いた。

【対談3】複雑なICTリソースを効果的につなぎ企業のDXを実現する― NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部データプラットフォームサービス部 サービスクリエーション部門
森信拓部門長

複雑なネットワーク機能を手軽にセキュアに利用できるNTTComの「Flexible InterConnect(FIC)」は、企業のDXを成功に導く次世代インターコネクトの理想形として市場の評価も高い。社会と企業のDXを支えるサービスとして、「MM総研大賞2021」スマートソリューション部門の次世代インターコネクトサービス分野で最優秀賞を受賞した。開発部門の責任者である森信拓部門長にFICのサービス開発の狙いを聞いた。

【経営1】ローコード開発は本番を迎えるのか― ベンダーの市場参入相次ぐ

ローコード開発ツール市場が活況を呈している。特に2020年以降、様々なツールベンダーによるローコード開発ツールや機能のリリースが続く。直近では2021年12月にAmazon Web Services(AWS)が、年次イベント「AWS re:Invent 2021」の中で、フロントエンドのローコード開発ツール「AWS Amplify Studio」を発表した。同年11月にSAPも対応するツールの提供を開始している。背景にあるのは、「DXに向けスピード感をもってデジタル活用を進めたい」「現場主導で業務効率化を図りたい」といった企業のニーズだ。こうしたツールは企業に馴染み、本格的な活用が進むのだろうか。今回はツール群を整理し、市場の概況を紹介する。

【経営2】回復基調にある対面販売での獲得強化が課題― 西日本の通信事業者動向

コロナ禍で対面販売が制限される中、西日本の通信事業者各社は引き続きWebチャネルでの顧客獲得を強化している。一方で対面チャネルでの獲得も徐々に回復しつつあり、今後オンライン/オフライン両方の特性を活かした顧客獲得の強化、サービス提案に注力していく構えだ。今回は、オプテージ、エネルギア・コミュニケーションズ、QTnetの3社の動向を取り上げる。(次号はSTNet、沖縄セルラーの2社)

【経営3】トータルソリューション「S.T.E.P」で業務のデジタル化を推進― 北海道の企業・公共団体のDX を支援するHOTnet

北海道電力グループの北海道総合通信網(本社:札幌市、古郡宏章取締役社長、HOTnet)は、北海道全域に総延長約20,000kmの光ファイバーネットワークを張り巡らせてICTソリューション事業を展開する。ネットワークやクラウド、セキュリティ、ITシステム運用などのトータルソリューション「S.T.E.P」を提供する。道内外の企業や公共団体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する同社の取り組みをレポートする。

【経営4】クラウドカメラのAIソリューションを独自開発、 全国展開を狙う― オプテージ

コロナ禍でリモートワークや遠隔操作などのニーズが拡大、多様なソリューションが市場に登場している。中でも注目されているサービスが「クラウド型監視カメラ」だ。職場や店舗の様子を離れた場所から確認でき、過去の映像もパソコンやスマートフォンでいつでも自由に見ることができる。最近では、設置工事を必要としない持ち運びできるモバイル型カメラが主流になりつつある。今回は関西圏の固定回線サービスに高いシェアをもつオプテージが提供する「mineo監視カメラサービス」を取り上げる。

【経営5】人事制度改革で人材確保に急ぐ― 国内大手SIベンダーがジョブ型を本格採用へ

大手SIベンダーがジョブ型人事制度の導入を本格化させている。狙いはデータ解析、AI、セキュリティなどの高いITスキルを持つ人材の確保だ。こうした人材はGAFAをはじめグローバル全体で取り合いになっているが、大手SIは報酬や待遇面で後れを取っていた。求められる職務やスキルを明確にし、それらに応じた報酬を払うジョブ型で差を縮めたい考えだ。一方、入社後の処遇や育成制度の変革も伴わないと人材はすぐに離反しかねない。こうした課題に各社はどう対応していくのか。今号では日立、富士通、NECの対応状況を概説する。

【デジタル深層流】「IOWN」で挑むゲームチェンジ― MM総研 代表取締役所長 関口和一

2022年の始まりにふさわしい情報通信業界のニュースといえば1月からスタートする「新ドコモグループ」の誕生だろう。NTTドコモ、コミュニケーションズ、コムウェアのNTTグループ3社を統合した売上高約6兆円の「ドコモ・コム・コム連合」の出現だ。法人市場でKDDIやソフトバンクの先行を許していたドコモのテコ入れが狙いだが、その先にはNTTの復権に向けた遠大な構想がある。

【ICT道標】IOWN構想のロードマップ― MM総研 執行役員 研究部長 渡辺克己

NTTが2019年5月に発表した次世代情報通信基盤構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」。11月に開催された「NTT R&D フォーラム2021」で商用化に向けたスケジュールが明らかになった。このイベントは、NTTが研究所の取り組みを発表するために毎年開催しているが、今回は「Road to IOWN 2021」をコンセプトにオンラインで実施された。

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