GIGAスクール構想で進む「学び」の革新(特別号――教育ICT特集 No.293)

【調査総括】ICTを日常に― 「学び」の革新に向けたヒントと課題

GIGAスクール構想は、当初、令和2年度からの4カ年計画であったが、新型コロナウイルスの流行を背景に、わずか1年での達成をめざすという超高速プロジェクトに変貌した。クラウドをフル活用するため、総務省がネットワークの整備を担当し、経済産業省がEdTechと呼ばれる最先端テクノロジーの開発と実証を行うなど、政府も一体となってプロジェクトを進めている。一大国家プロジェクトと呼んでも過言ではないだろう。

忘れてならないのは環境整備の次に来る「ICT活用」の推進と定着だ。教育委員会のICT整備担当と指導主事へのインタビューから、GIGAスクール構想でめざす姿をどうやって実現しようとしているのか、成功へのヒントと課題をまとめた。

【事例1】ICTの普及に向けた取り組みを加速― 大阪市教育委員会

大阪府大阪市は、2020年3月に大阪市学校教育ICTビジョンを策定し、ICT教育を推進している。行政の体制を拡充し、現場での普及をめざし大学と連携するなど、さまざまな取り組みを行っている。大阪市教育委員会ICT推進グループの中野下豪紀氏に、ICT教育の現状、普及に向けた取り組み、今後の目標について聞いた。

【事例2】ステップ・バイ・ステップで着実に利活用を進める― 川崎市教育委員会事務局

小中学校に配備するパソコンとしてChromebookの活用を決めた川崎市。新型コロナウイルスの影響で、加速度的に1人1台の環境整備が進む中で、端末、ID、ネットワークの安定運用、活用に向けた準備、研修など多くの課題を並行検討し、1歩ずつ歩みを進めている。同教育委員会事務局総合教育センターの栃木達也室長、関口大紀担当課長、新田瑞江指導主事、和田俊雄指導主事に話を聞いた。

【事例3】端末の早期配備と産学官連携による学習データの利活用を模索― 京都市教育委員会

京都市教育委員会は、小学校6年生と中学校3年生に加えて、オンライン授業に向けてICT環境が整わない家庭向けに合わせて35,000台の端末をいち早く調達し、2020年9月末までに端末を先行配備したことで全国から注目を集めた。整備後の課題に取り組みつつも、産学官の連携を通じ、学習データを「ラーニングアナリティクス」の観点から統合分析し、授業改善や学力向上につなげることも視野に入れている。京都市のICT教育整備の現状、今後のICTを活用した教育ビジョンを聞いた。

【事例4】LTEを活用、1人1台デバイス環境で主体性ある学びをめざす― 熊本市教育委員会

熊本市は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国一斉休校期間中にいち早くオンライン授業に切り替えたことで注目を集めている。LTEを活用し、スムースにタブレットからインターネット接続できる環境を準備。ICT教育の推進を担う熊本市教育センターの本田裕紀副所長に、端末の活用状況や児童・生徒1人1台構想で浮上する課題、今後の目標についてたずねた。

【事例5】GIGAスクールに対応した教育ICTの推進に着手― 久留米市教育委員会

福岡県久留米市は、2021年4月からのGIGAスクール本格稼働に向けた取り組みを進めている。2020年4月に教育委員会の体制を拡充し、教育ICT推進課を新設したほか、希望する現場の先生への端末の貸出や、ICTの活用方法を検討する実証研究を開始している。久留米市教育委員会教育ICT推進課の宮原知行氏に、久留米市の教育ICTの現状や普及に向けた取り組み、今後の方針について聞いた。

【事例6】情報基盤と一体になったICT環境整備を進める― 神戸市教育委員会

神戸市ではGIGAスクールでの端末調達と並行して、教育委員会が持つ情報基盤の再構築にも取り組む。1人1台化を前提にして、教育を取り巻くICT環境が大きく変わりそうだ。対応するのは神戸市教育委員会のプロジェクトチーム。教育ICT化をどのように進めていくのかを聞いた。

【事例7】先駆的なプログラミング教育の実施経験を1人1台環境にも活かす― 相模原市教育委員会

GIGAスクール構想より前から、プログラミング教育にチャレンジし、教育へのICT活用を進めてきた相模原市。児童・生徒の端末1人1台化により日常的になるICT環境をどのように活かす計画なのか。課題感とめざす姿を伺った。

【事例8】クラウドを基盤に「情報」の活用をめざす― 奈良県教育委員会

全国でもいち早くGIGAスクール構想導入端末の選定を終えた奈良県。端末選定プロセスや評価結果の公表など、情報開示にも積極的だ。約9万台のChromebookの調達決定に至る過程と今後の課題を、奈良県立教育研究所教育情報化推進部 小崎誠二主幹、陀安龍也係長、小岩智子指導主事に聞いた。

【事例9】ICT活用を学校の日常にする― 姫路市教育委員会

いち早くChromebookの活用を決めていた姫路市。GIGAスクール構想で1人1台の端末配備が加速している。子供たち、先生、学校の日常のなかにICT環境をどのように溶け込ませようとしているのか。姫路市教育委員会総合教育センター教育研修課の坂田怜輝指導主事、藪上憲二主任に聞いた。

【事例10】25万人超の子供たちに最先端のICT教育を届ける― 横浜市教育委員会

横浜市はGIGAスクール構想の前倒しで最も影響を受けた自治体だろう。市内には500弱の小中学校を抱え、そこに通う生徒・児童数も25万人を超える。この規模では、1人1台化に向けた調達、整備、管理などの環境整備だけでも相当な手間がかかる。他方で、今年に入って小学館や株式会社LoiLo(以下、ロイロ社)などとデジタルコンテンツ活用に関する協定を結ぶなど、使いこなしに積極的だ。教育ICT化をどう進めているのだろうか。横浜市教育委員会事務局の小中学校企画課情報教育担当を務める吉田圭一主任指導主事に話を聞いた。

【編集後記】― 教育ICTプロジェクト取材チーム

まず本冊子の編集にあたり、取材に協力いただいた教育委員会の皆様に厚く御礼を申し上げます。今回の取材は、1人1台端末が配備された後に、どのように利活用を推し進めるかを考えるヒントを集め、多くの方々と共有したいという目的で立ち上げました。取材を進める中で、ICT機器の調達やICT活用を検討するお立場から示唆に富む多くの助言をいただきましたが、最後に、これらを紹介したいと思います。

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