コロナ後に見えるITの“風景”(2020年6月号 No.288)

【特集1】ポストコロナ促すデジタル変革

 新型コロナウイルスの感染が収束しつつある中、新たなキーワードに関心が集まっている。「新しい生活様式」や「アフターコロナ」といった言葉である。インターネットが世界の経済や社会を大きく変えた1990年代半ばにも、「ビフォーインターネット」「アフターインターネット」という言葉が使われた。恐らくコロナ禍が過ぎ去った2020年代には、今までとはまったく異なる景色が見えてくるに違いない。それを突き動かすのがコロナ禍の中で産声を上げた次世代通信規格の「5G」や人工知能(AI)などのデジタル技術だろう。今後急速に進むであろうデジタル変革の方向性とインパクトを大胆に展望してみたい。

【特集2】ネットワークのワイヤレス化を加速する「Wi-Fi 6」― ローカル5Gと比べた得意分野は

 5G(次世代通信技術)時代の花形サービスとして、無線アクセスネットワークのローカル5Gに続き、無線LANの最新規格Wi-Fi 6が登場した。いずれも企業や公共団体のネットワークを変革する技術として注目されている。両者のサービスそれぞれが得意とする応用例や、市場拡大に期待をかけるSI企業各社の取り組みをレポートする。

【特集3】楽天モバイルがモバイル業界にもたらす変革とは

 4月8日、いよいよ楽天モバイルの正式サービスが開始となり、日本の携帯電話キャリアはNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクを含めた4社体制へと突入した。最後発である楽天モバイルは、先着300万人を対象に1年間の利用料金を無料とするキャンペーンを展開し、目標とするユーザー数の獲得へ向けてスタートダッシュをかけている。月額2,980円の無制限プラン「Rakuten UN-LIMIT」、世界初となる完全仮想化ネットワーク、独自開発のコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」、楽天経済圏を構成する各種グループサービスを武器としてユーザー規模を拡大させる計画であるが、現時点で楽天モバイルが抱える課題を整理するとともに、モバイル業界にどのような変革をもたらす可能性があるか考察してみる。

【データ1】5G端末は2022年度にスマホ出荷過半超えの1,644万台と予想― 2019年度通期国内携帯電話出荷概況

 MM総研がまとめた2019年度通期(2019年4月~ 2020年3月)の国内携帯電話端末の総出荷台数は前年度比9.6%減の3,125.4万台。MM総研による2000年度以降の出荷統計では2009年度(3,444万台)を300万台以上下回り過去最少となった。内訳をみると、スマートフォン出荷台数が2,802.5万台(8.5%減)、フィーチャーフォンは18.3%減の322.9万台となった。スマートフォンは年間2,000万台以上となった2011年度(2,417万台)以降では、2011年度に次いで2番目に少ない台数となった。

【データ2】月間データ通信量は平均6.94GB― 携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態

 MM総研はNTT ドコモ・au ・ソフトバンク(以下、MNO3社)、ワイモバイル・UQ モバイル(以下、サブブランド)、及びMVNO各社(以下、MVNO)それぞれの音声通話サービス利用者に対するアンケート調査に基づき分析した、携帯電話の月額利用料金と音声通話・データ通信サービスの利用実態を発表した。調査時点は2020年2月。

【データ3】Web会議システム利用シェア1位は「Zoom」― テレワークを支援するコラボレーションツール利用状況調査

 MM総研は、テレワークを支援するコラボレーションツールの利用状況について調査結果を発表した。全国の企業・団体の役員・社員2,119名を対象にWebアンケート調査を実施。「グループウェア」、「Web会議システム」、「ビジネスチャット」、「オンラインストレージ」、「リモートアクセス」の利用率や導入時期、導入目的についてまとめた。

【トレンド1】クラウド移行進むも、連携・高度化に課題残る― 政府の情報システム活用に構造要因

 「デジタルガバメント」をキーワードに官公庁や各自治体がクラウド、RPA、AIといったITの活用を進めている中で、早稲田大学がまとめた調査「世界電子政府進捗度ランキング2018」では、日本は7位に後退した。ルールや組織の整備は評価されたが、技術実装やデータ標準化・連携などが進んでいないと指摘する。情報システムにおけるクラウド活用という観点から、政府の動向を取材した。

【トレンド2】情報システム部のデジタルトランスフォーメーションを実現― (株)ソフトクリエイト

 中小企業のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)の障害となっているのが、システム保守運用などの「ノンコア業務」だ。多くの情報システム担当者が保守運用に多くの時間を取られ、DXに取り組む時間がないというのが実情である。こうした“情シス業務”を全て請け負う「アウトソース事業」で注目されるのが、株式会社ソフトクリエイト(以下、ソフトクリエイト)だ。同事業を中心に急速に業容を拡大する同社を取材した。

【トレンド3】アフターコロナを見据えて国内市場攻略に動く― Web会議システム世界有力2社の皮算用

 新型コロナウイルスの影響で企業は内外との接触を制限されている。本誌5月号(通算287号)では「バーチャル株主総会」の開催に向けた大手の動きを特集したが、企業の大小にかかわらず最も採用が進んでいるのはWeb会議システムだろう。印刷資料を前に社員らが一同に会す社内会議のあり方も大きく変えかねない。Web会議システムの主要ベンダーであるマイクロソフト社(「Microsoft Teams」)とシスコシステムズ社(「Cisco Webex」)の事業戦略をリポートする。

【経営1】ドローン、空飛ぶクルマで先進国にキャッチアップ― 推進団体JUIDAが描く青写真

 民間企業がドローン(小型無人機)や、人が乗る“空飛ぶクルマ”を積極的に活用し、社会課題を解決する「空の産業革命」が日本でも着実に進行している。普及・発展を推進する一般社団法人日本UAS 産業振興協議会(JUIDA、Japan UAS Industrial Development Association、「UAS」はUnmanned Aircraft Systemsの略称)の鈴木真二理事長(東京大学未来ビジョン研究センター特任教授)に日本の最新動向を聞いた。

【経営2】IoTの実践的な取り組みを紹介― ソラコム、Webイベントで

 株式会社ソラコム(本社:東京都世田谷区、玉川憲代表取締役社長)は4月23日、IoT導入を検討する企業向けに同社の関連サービスを紹介するオンラインイベント「Hello SORACOM Online」を開催した。ビジネス編の「はじめてのSORACOM」では導入事例や主力サービスの紹介を交えて、IoT活用のハードルを下げるソラコムの取り組みを取り上げた。

【経営3】“第4のMNO”が仕掛けた料金引き下げ競争― フランスの携帯電話業界に禍根残す

 第4のMNOに名乗りを上げた楽天の動向に関心が集まる中、フランスでは2012年に「Free Mobile」が参入して以来、携帯電話料金が大幅に低下している。反面、既存キャリア3社との価格競争も激しく各社は収益悪化に直面。次世代通信規格5G向けの投資負担も重なり、「適正な料金水準で良質なサービスを提供できるか禍根残した」と指摘する声も聞かれる。

【経営4】AI、5G普及でデータ保護が課題に― デルテクノロジーズが世界調査

 デルとEMCの統合ブランド「デルテクノロジーズ」のEMCジャパン株式会社は4月23日、データ保護の現状について世界規模で調査した結果を発表した。登壇した同社のDPS事業本部シニアビジネスディベロップメントマネージャー、西頼大樹(にしより・ひろき)氏は調査結果を踏まえ、①複数のデータ保護ベンダーを採用した場合にトラブル復旧までの時間が遅くなる② AI、5Gなど最先端技術が普及する中でデータ保護が困難になる恐れ─といった、IT部門の担当者らが直面する課題を指摘した。

【デジタル深層流】ポストコロナ時代に早く備えよ

 政府の緊急事態宣言が延長され、日本経済は大きな痛みを伴った。外出禁止や営業自粛などにより、私たちの働き方やライフスタイルも大きく変わった。宣言が解除されれば普段の生活に戻っていくと考えられるが、「新しい生活様式」とか「ニューノーマル」とかいわれるように戻らないところもあろう。今こそ「ポストコロナ時代」にどう備えるか、我々の知恵と工夫が問われている。

【ICT道標】官民連携し、通信維持が喫緊の課題に― 外出自粛で急増するネット利用

 新型コロナウイルスの拡大後、世界のインターネットトラフィックが急増している。欧米の一部地域では通信トラブルも発生しており、ネットワーク帯域の逼迫に対する懸念が広がっている。米アカマイ・テクノロジーズが2020年3月23日に公表した内容によれば、世界全体の1~3月のピークトラフィックは前年同期の2倍以上となる160Tbps強を記録したという。企業の在宅テレワークや学校の一斉休校などで、ビデオ会議や動画視聴、ゲーム、SNSなどの利用が大幅に増えているためだ。ビデオ会議アプリ「Zoom」は1日の会議参加者が昨年12月から4カ月で30倍の3億人に拡大した。日本でも同様に、全国の小中高が一斉休校となった3月2日以降、継続してトラフィックが増加。特に平日昼間の時間帯で顕著な傾向となっている。

【編集後記】ICT の力でポストコロナ社会を切り拓こう

 「ポストコロナ」の世界はどうなるのか―。そのヒントを求めて、ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハサウェイの年次株主総会(米国時間5月2日開催)を観た。
 例年、本拠地ネブラスカ州オマハの巨大アリーナに世界中から約4万人もの株主が押し寄せる大イベント。筆者は記者時代、2008~2011年の4回連続で現地取材したことがあるがその迫力は凄まじい。ユニークなのは、総会としての決議は数十分でさっさと終えてしまい、たっぷり2~3時間を株主からバフェット氏への質疑応答に当てていることだ。リタイアした高齢者から未成年者まで、市場動向や投資のコツ、はたまた生き方相談に至るまでの対話が妙味だ。

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