新測定基準は「通信品質」(2018年4月号 No.262)

【特集1】「回線スピード」に代わる新測定基準を導入― MVNO ネットワーク品質調査結果

 MM総研は国内におけるMVNOの独自サービス型SIMの主要10事業者を対象にネットワーク品質に関する調査を実施し、結果を発表した。調査は2017年11月29日(水)の8時30分前後、12時30分前後、19時30分前後の計3回。なお、調査には富士通製SIMフリースマートフォン「arrows M04」をSIMと同数台使用し、ほぼ同時に調査を実施した。

【特集2】MAYA SYSTEM、FREETEL 買収の狙い― 激変MVNO 市場参入の皮算用

 MVNOの業界再編が始まっている。個人向けMVNOの草分け日本通信が個人向け通信サービスをU-NEXTに事業譲渡したのが2016年8月。話題になったのが、急拡大路線を取ってきたプラスワン・マーケティングの“退場”だ。プラスワンは2017年12月に月額課金タイプの通信サービスを楽天に売却したのに続き、残るスマートフォン部門も株式会社MAYA SYSTEMに譲った。一本調子の成長軌道を描けなくなったMVNO市場に、あえて参入したMAYA SYSTEMの狙いをリポートする。

【データ1】Windows10へのOS切り替えで出荷台数増加の見通し― 2017年国内パソコン出荷概要

 MM総研は、2017年暦年(1月~ 12月)の国内パソコン出荷実績をまとめた。それによると、国内パソコン市場の総出荷台数は前年比1.7%増の1025.3万台、出荷金額は前年比4.0%増の9,061億円となった。個人・法人別に市場動向を見ると、個人市場向けの出荷ルートである「個人系ルート」は、前年比2.0%減の392.6万台となった。企業・官公庁向けのメーカー直販と販売店販売を合計した「法人系ルート」は前年比4.1%増の632.7万台となった。個人系ルートでは出荷台数が減少したものの、法人系ルートでは出荷台数が増加し、全体ではプラス成長となった。メーカーシェアはNEC レノボがシェア25.9%で首位となった。2020年に来るWindows7のサポート終了を控えWindows10搭載機への入れ替え需要が徐々に顕在化し、出荷台数は拡大傾向をたどる見通し。

【データ2】セルラー比率58.9%で過去最高― 2017年国内タブレット端末出荷概況 

 MM総研は2017年暦年(2017年1月~12月)の国内タブレット端末出荷台数の調査結果をまとめた。総出荷台数は前年比1.4%増の863万台となり、2010年の出荷統計開始以来、初のマイナス成長となった前年から僅かながら回復した。携帯電話キャリアの3G/LTE ネットワークを利用する「セルラータブレット」が市場をけん引し、特に大手キャリアが販売するAndroidタブレットが引き続き好調に推移した。一方、無線LAN 通信のみを可能とする「Wi-Fiタブレット」は2013年をピークに4年連続で減少した。

【データ3】パソコンの総稼働台数は減少傾向、サーバは増加傾向― パソコン/サーバの総稼働台数

 MM総研は2017年9月末時点から2020年3月末時点までの国内のパソコンとサーバの総稼働台数について調査結果をまとめた。これによるとパソコンの稼働台数が個人市場、法人市場ともに減少していくことがわかった。2018年3月末時点のパソコンの総稼働台数は6,613.3万台と予測。サーバの稼働台数はクラウドシフトが鮮明になり、市場全体でみれば増加傾向にあることがわかった。2018年3月末時点の総稼働台数は572.5万台と予測。また、今回はWindows7の延長サポートが2020年1月に終了することを受け、Windows7のマイグレーションの進捗状況についても調査した。

【トレンド1】感情や個性を持った「声」をつくる― HOYA株式会社の音声合成事業

 ここ数年、コミュニケーションロボットやAIスピーカーなど「しゃべる機械」が数多く出てきはている。そこで使われているのはテキストを読み上げるTTS(text to speech)とも呼ばれる音声合成の技術だ。音声合成を手掛けている企業の中には、光学レンズ・ガラスメーカー大手のHOYAもいる。今回は、HOYAが手掛ける音声合成サービス「VoiceText」について、事業開始のきっかけと最近の取り組みについて取材した。

【トレンド2】クラウド時代のオンプレ環境はハイパーコンバージドインフラが担う― Nutanixはハイブリッド環境における一元管理・運用を実現

 「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)が急速に普及している。HCIの一般的な特徴は「導入が容易」や「導入期間が短い」、「システムが安定稼働する」などに加え、柔軟性・拡張性を備えており、スモールスタートも可能。規模の小さい企業や競争環境の変化が大きい業種・業態を中心に採用が進んでいる。ベンダー側の競争も激しくなる中、各社どのように差別化を図っているのか。代表的な米Nutanixの戦略について、日本法人のニュータニックス・ジャパン合同会社に取材した。

【トレンド3】Society5.0の実現に向けて― 経団連

 経団連はICTなど先端技術の活用を通じ社会課題の解決と産業競争力強化を両立させる「Society5.0」の推進を図っている。Society5.0の実現にかける経団連のICT戦略“司令塔”としての力量を取材した。

【トレンド4】「No.1戦略」を駆使して、自治体システムのシェア拡大を狙う― 和歌山県で実績積むサイバーリンクス

 自治体向けソリューション市場が活発化してきた。住民基本台帳や税務などの基幹系システムの標準化や共同利用、クラウド化による集約化が主なニーズである。全国の市区町村におけるシステムのクラウド導入数は2018年3月で1,000団体を超える見通し。クラウドを導入することで、自然災害で庁舎が被災した際の業務継続や情報セキュリティの向上、運用コストの削減などが期待され、政府も導入を推進している。和歌山県で自治体向けサービスを提供する株式会社サイバーリンクスを取材した。

【経営1】RPA、AI との親和性の高い業務プロセスの再構築サービスを提供― アクセンチュア株式会社

 RPA(ロボットによる業務プロセスの自動化)やAIの活用が日本企業にも浸透しつつある。一方、業務プロセス自体は従来と変わらず、各業務の効率化にはそれぞればらばらのソリューションが適用されているのが現状だ。欧州でいち早くこの問題に対応してきたアクセンチュアは、日本国内でもゼロベースで業務を再構築するソリューションの提供を始めた。デジタルテクノロジーを前提に業務プロセスを再構築し、企業のデジタルネイティブ化を推進する。アクセンチュアが考える企業のデジタル化とそのソリューションについて取材した

【経営2】3Dプリントが当たり前になる時代に― メーカーと代理店の取り組み

 3Dプリンターの普及にブレーキをかけている要因が、造形のノウハウ不足や機器の導入コスト、そして造形材料の購入コストだ。こうした壁を乗り越える取り組みを紹介する。株式会社日本HPとキヤノンマーケティングジャパン株式会社だ。

【経営3】“誰もが使える簡単な仕組み”で普及をめざす、電子地域通貨の試み― 株式会社アイリッジ

 Fintechの先駆けともいえるモバイル決済だが、日本ではいまひとつ普及してない。最大の障害は、商店主などの事業者が予め決済端末を導入する必要があり、その初期費用が高額であるためだ。地方都市の店舗にとっては死活問題になりかねない。株式会社アイリッジはその点に目をつけ、電子マネーに馴染みの少ない地方の商店主でも簡単に利用できる仕組みを開発した。同社Fintech事業推進チームのチームリーダー川田修平氏に取材した。

【経営4】トラフィック急増に打つ手はあるか― ケイ・オプティコム、J ストリームが対応急ぐ

 ネットワークのトラフィック増加が深刻な問題になっている。総務省の「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果」(2017年11月分)によると、国内のブロードバンド契約者の総ダウンロードトラフィックは2014 年11 月は3,560Gbps だったが、2017年11月には約3倍の10,830Gbpsにまで増加した。スマートフォンなどモバイル端末での動画コンテンツ視聴の拡大に加え、フルハイビジョンや4K・8Kなどの高画質化が拍車をかける。設備増強などの対応に追われるネットワーク業者だが、複雑な業界構造による経営面での課題も立ちはだかる。各事業者が面している課題と対応策を取材した。

【経営5】調剤薬局にもデジタル化の波― 薬局× ICT で患者サポート実現へ

 調剤薬局の役割が従来の処方薬中心の業務から、地域の患者ケア拠点として「かかりつけ薬局」や「健康サポート薬局」に変化を遂げつつある。この実現には患者の服薬情報の一元管理、問い合わせの24 時間対応や他の医療従事者との連携などが必要であり、そのためのデジタルソリューションの活用が不可欠になってきた。ICTを活用した健康増進やセルフメディケーションを推進する試み、従来業務の効率化の実証実験も始まった。薬局のデジタル化に挑戦する2社の現場を取材した。

【経営6】現場視点でサービス拡充が進むiPhone 修理サービス― グローバルソリューションサービス株式会社

 iPhone利用者の増加に伴い、新たな対応が求められているのがiPhoneの修理サービスだ。これまでApple Storeなどの正規店に限定されていた修理取次がキャリアショップに広がる動きもある。こうした市場環境の変化に対応し、サービス拡充を進めているのがApple社認定の正規サービスプロバイダだ。その代表的な存在ともなっているグローバルソリューションサービス株式会社の動向を追った。

【IT 業界の深層流】プライバシー取得のトラップ

 グーグルなどの米国系フリーメールを使うと、交信内容は他の情報と一緒に統合・処理されてプライバシーは守れない、と警告される。リコメンデーションやターゲッティング広告に使われるなら、少し過剰ではあるが、「親切な」サービスとその便利さに感謝してもよい。ただ、機密性のある場合には使わない。実際、一部の大手企業は社員のフリーメール使用を禁止、ないし、そこから来たメールを受け取り拒否する措置を講じている。

【IT道標】働き方改革とソリューション

 企業IT のソリューションテーマは、ここ数年、非常に移り変わりが早い。働き方改革もRPAもここ1年で急に大波が到来し、いまやどの企業も意識する重要テーマになった。また同時に、最近はITの枠を超えた会社全体に関わる大きなテーマに注目が集まる時代になった。