2012年度国内電子書籍端末・コンテンツ市場概況

2013年07月02日

■ 2012年度の電子書籍端末出荷台数は47万台
■ 出荷台数はAmazon、楽天、ソニーが拮抗するも、シェアはAmazon第1位(38.3%)
■ 新プラットフォームのコンテンツ市場規模は270億円
■ コンテンツ市場のジャンル別規模では「推理・ミステリー・ホラー・SF」(33億円)が最大
■ 2013年度の電子書籍端末の出荷台数は52万台と予測

 MM総研(東京都・港区、所長・中島 洋)は2012年度(12年4月~13年3月)の国内電子書籍端末の出荷台数と、新プラットフォームのコンテンツ市場規模の調査結果を発表した。調査方法は、各社へのインタビューとユーザー調査によって行われた。

 2012年度の電子書籍端末の総出荷台数は前年度比42%増の47万台となった。またスマートフォン・タブレットPC・電子書籍端末などで閲覧する、新プラットフォーム(※)のコンテンツ市場規模は270億円と算出された。コンテンツのジャンルとして最も大きい規模は「推理・ミステリー・ホラー・SF」で33億円となった。

◆2012年度通期、電子書籍端末の出荷台数は47万台

 2012年度通期における電子書籍端末の出荷台数47万台となり、前年度(33万台)に比べ42.4%増となった。メーカー別出荷台数・シェアをみると、トップはAmazonで18万台(シェア38.3%)、続いて楽天が15.5万台(同33.0%)、ソニーが12万台(同25.5%)となった。その他の電子書籍端末は推計1.5万台(同3.2%)となった。

 回線別で電子書籍端末の出荷台数シェアをみると、Wi-Fiモデルが40万台(シェア85.1%)、3G回線モデルは7万台(同14.9%)となり、Wi-Fiモデルが8割以上を占めることが分かった。

◆新プラットフォームのコンテンツ市場規模は270億円

 ユーザー調査を基に新プラットフォームによる電子書籍コンテンツの市場規模を算出した。その結果、市場全体では270億円となった。各ジャンル別でみると、「推理・ミステリー・ホラー・SF」33億円(シェア12.1%)、「学習系(ビジネス書、自己啓発、語学など)」32億円(同11.9%)、「文芸小説・エッセイ・論評・詩」28億円(10.4%)、「雑誌(ビジネス・ファッション・情報誌)」26億円(同9.6%)、「マンガ・コミック」23億円(8.4%)、「歴史・時代小説」22億円(8.3%)、「写真集(趣味・実用・生活、タレント・グラビア)」20億円(7.4%)、「ファンタジー・ライトノベル」19億円(7.1%)、「趣味・生活・実用・ガイド」16億円(5.9%)、「雑誌(エンタメ系・趣味・実用・生活)」13億円(4.8%)、「洋書」13億円(4.8%)の順となり、「その他」は25億円(9.3%)。

◆2013年度は出荷台数52万台と予測

 MM総研では2013年度の電子書籍端末出荷台数は52万台(前年度比10.6%増)と予測。電子書籍での読書がスマートフォンやタブレット端末といったマルチプラットフォーム化するなか、様々なハードウェア端末からの読書が普及しつつある。そのため新プラットフォームによる電子書籍コンテンツ市場は、今後も広がりを見せることが予想される。

 電子書籍端末の市場は今後も緩やかに伸びていくことが考えられる。一方でスマートフォンの大画面化やタブレット端末の浸透による影響を受け、専用機である電子書籍端末の普及が拡大し切れていない面もある。端末を含めた電子書籍市場の需要は、コンテンツの広がりや価格動向に大きく左右される。

 本調査では新プラットフォームを通したコンテンツの市場規模と、その詳細な内訳を算出した。なかでも電子書籍市場を牽引するコンテンツとして、「推理・ミステリー・ホラー・SF」・「文芸小説・エッセイ・論評・詩」や、電子書籍と親和性の高い「マンガ・コミック」・「写真集(趣味・実用・生活、タレント・グラビア)」・「雑誌(ビジネス・ファッション・情報誌)」・「学習系(ビジネス書、自己啓発、語学など)」が挙げられる。

 各社ともコンテンツの確保を図り、一部ではディスカウント競争の兆しも見えている。こうした動きが広がる中で、電子書籍端末を利用する機会も拡大すると考えられる。

【電子書籍専用端末の定義】 以下を条件としてMM総研による分類(2013年6月現在)
①画面サイズ5~7インチの電子ペーパーを搭載(タッチ操作も一部可能)
②電子書籍に特化した専用端末
③Wi-Fi接続や携帯電話回線(3G以上)による電子書籍ストアが利用可能(WEB閲覧は限定的)

※新プラットフォーム
従来の携帯電話やPC、PDA向けに限定配信されたサービスではなく、マルチデバイス対応の電子書籍サービス。スマートフォンやタブレットPCなど電子書籍関連のアプリケーションやビューワーアプリ経由での電子書籍や、スマートフォン・タブレットPC・電子書籍端末などマルチデバイスで閲覧できる電子書籍配信サービスなど。


調査の全文は7月末発行の「M&Dレポート8月号」(206号)に掲載します。


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