法人ユーザーにおける携帯電話/スマートフォンの導入配布状況・ニーズに関する調査(2013年度版)

2013年11月14日

■今後導入するスマートフォンのOSは、Android 68.8%、iOS(iPhone) 40.8%
■選定理由はiOSが「セキュリティ」、Androidは「端末の安さ」が1位
■スマートフォン導入企業の割合は、本格導入が増えるも、微増にとどまる
■スマートフォンの従業員配布率は現在4.7%から3年後12.5%へ拡大の見通し
■一方で、スマートフォン導入を全く考えない消極派企業も半分強、二極化が進む

 MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は11月14日、インターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」の会員モニターを使い、従業員数100人以上の大手・中堅企業及び学校・医療福祉法人の総務部門508社(1社1回答)を対象とした「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートフォンの導入配布状況・ニーズに関する調査 (2013年度版)」を実施、結果をまとめた。

  Webアンケートの結果によると、今後、法人名義のスマートフォンを導入する場合のOSを複数回答で尋ねたところ、Androidが68.8%に対して、iOS(iPhone)が40.8%となった。法人向けのスマートフォンでも、iPhoneがコンシューマー向けと同様に一定の存在感を示していることが分かった。iPhone導入を希望する理由として、セキュリティ面で優れている点を挙げる回答が最も多かった。NTTドコモがiPhoneの取り扱いを始めたこともあり、今後、法人分野でもiPhoneに対する注目度が高まることが予想される。

  法人名義の携帯電話・PHS、スマートフォンのいずれかを現在、従業員や役員などに「配布している」企業は76.0%、「配布していない」企業は24.0%だった。
 スマートフォンに限って尋ねたところ、配布している企業は「本格的に導入利用済み」(19.9%)と「テストまたは部分導入利用済み」(10.2%)を合わせると30.1%だった。一方、配布していない企業のうち、導入を「準備中」(1.4%)と「検討中」(15.7%)を合わせた導入予備軍が17.1%で、「まだ考えていない」が24.4%、「必要なし」が28.3%だった。
 2012年9月に実施した前回調査では、スマートフォンを「配布している」と回答した企業は27.2%だった。スマートフォン市場全体が急拡大する中で、導入利用している企業の割合自体は前回調査に比べ2.9ポイント増と微増にとどまったことになる。「準備中」「検討中」の企業まで含めると47.2%で、前回から0.8ポイント増とほぼ横ばいの結果となっている。スマートフォン導入が増える一方で、逆に導入を全く考えない消極派企業が半分強を占めるのも事実であり、二極化が進んでいることが分かった(図表1)。

 従業員配布率(総従業員数に占める携帯電話・PHS、スマートフォン配布台数の割合)の推移を現在・1年後・3年後で比較すると、現在が平均24.3%で、1年後には26.8%、3年後には28.9%まで拡大する見通し。
 スマートフォンのみの配布率を見ると現在は平均4.7%、1年後に8.2%、3年後に12.5%と増加する見通しとなった(図表2)。スマートフォンの配布率は前回調査では「現在」4.2%、「1年後」7.3%(今回調査の「現在」に相当)、「3年後」11.4%だったことから、予測に比べ実績が伸び悩んでいることが分かる。
 また、携帯電話・PHSを含めた端末全体におけるスマートフォンの比率は現在の19.3%から、3年後には43.3%となる見通しだ。

■携帯電話全体を増やす要因は「通信料金の低価格化」が1位、「外出先からの社内アクセスの必要性」が3位に伸びる
 法人名義の携帯電話・PHSとスマートフォンの総数を増やす理由として、最も多かったのが「法人向け通信料金の低価格化や割引が進んでいるため」の40.2%。以降、「個人情報保護法への対応強化のため(携帯電話を企業として管理できない個人所有とした場合、情報漏えいなどのセキュリティリスクがあるため)」39.3%、「外出先から社内情報にアクセスする必要が出てきたため」35.5%、「災害時や緊急時における安否確認、連絡手段の確保や、事業継続のため」34.6%、「事務処理効率化のため(例:以前は個人名義端末で、会社利用分を計算し支払っていた手間を効率化するため)」31.8%、「コンプライアンス対応強化、内部統制の強化のため」29.0%、「FMCサービスの導入でトータル通信コストを削減するため、または業務を効率化するため」20.6%の順となった。
 前回調査までは、2011年の東日本大震災の心理的インパクトが強かったこともあり、災害時の対応がトップだったが、今回は4位に落ち着いた。前回調査で3位だった通信料金の低価格化が今回は1位になっており、キャリア間での顧客奪い合いが激化していることがうかがえる。また、3位の「外出からの社内アクセス」については、5位だった前回調査から最も比率を伸ばしている。

■スマートフォンの導入拡大の阻害要因は「セキュリティへの不安」
 スマートフォンの導入拡大の阻害要因として最も多かったのは「セキュリティへの不安(不正アクセスによる情報漏えい)」で52.1%と突出。前回調査は46.2%と前の調査よりダウンしたものの、再び上昇した。次いで、「セキュリティへの不安(端末の紛失による情報漏えい)」の37.9%、「セキュリティへの不安(ウイルス感染)」の36.7%と、上位3位をすべてセキュリティ関連が占めた。前回調査では3位に月額料金の高さが入っていた。
 特に、1位の「不正アクセスによる情報漏えい」は前回より比率が5.9ポイント上昇した。2013年に入ってからも大手企業への不正アクセス事件が頻発しており、不正ログインによる顧客情報の閲覧や流出、データベースの改ざんなどの被害が報告されおり、セキュリティ問題を中心に、なかなか導入に踏み込めないでいることが分かる。

■今後導入するスマートフォンのOSは、Android 68.8%、iOS 40.8% 
 今後スマートフォンを導入する場合のOS(複数回答)は、「Android」68.8%、「iOS」40.8%だった。「Windows Mobile/Windows Phone」も15.0%だったが、国内での新規の端末発売が予定されていないため、あくまで期待値にすぎないものと考えられる。OSを選んだ理由については、「Android」が、「端末価格の安さ」(43.0%)、「操作がしやすい」(25.5%)、「パソコン連携がしやすい」(21.8%)が上位になった。一方、iOSは「セキュリティ面で優れている」(31.6%)、「操作がしやすい」(29.6%)、「アプリの数が豊富」(19.4%)と、Androidを選ぶ理由と大きく異なり、両者のニーズの違いが鮮明になっている(図表3)。

■セキュリティ対策として、MDMサービスの利用が進む
 セキュリティ対策の代表格として、MDM(モバイル端末管理)サービスの普及が進みつつある。MDMサービスには、携帯電話の紛失や盗難に遭遇した際に、遠隔操作で端末のロックやデータ消去ができるサービス、端末ごとの管理情報やアプリ導入状況の把握、各種設定の制御などが含まれる。スマートフォン導入企業のうち、MDMサービスを「利用している」企業は62.7%にのぼった。前回より3.9ポイント増加している。
 スマートフォン未導入の企業(従来型携帯電話・PHSのみの導入企業、もしくは、法人契約の携帯電話端末なしの企業)は33.2%だが、こちらも前回よりも5.7ポイント増加しており、スマートフォンに限らず、全体的に利用が拡大していることが分かる。

■キャリア変更後は「au」、「ソフトバンク」、「NTTドコモ」の順に
 この1年間でのキャリアの大きな変更の有無を尋ねたところ、「MNPを使って変更した」(11.1%)、「MNPを使わないで変更した」(4.4%)、「MNPを使う変更、使わない変更の両方を行った」(2.3%)で、計17.8%がキャリアを大きく変更している。変更した企業に、変更前と変更後のキャリアを尋ねたところ、変更前のキャリアは、「NTTドコモ」(46.4%)、「au」(27.5%)、「ソフトバンク」(17.4%)だったが、変更後は「au」(37.7%)、「ソフトバンク」(31.9%)、「NTTドコモ」(29.0%)と順番が入れ替わった。法人向けについては、auが他キャリアからの顧客獲得に成功していることがうかがえる。

■携帯電話・PHSおよびスマートフォンの導入配布規模の分布について
 携帯電話・PHS、スマートフォンの従業員への配布台数は「3,000台以上」の企業が4.9%、「500台以上3,000台未満」が12.4%となり、合計17.3%が「500台以上」の大口ユーザーとなった。その下の「100台以上」まで広げると合計37.8%に達する。また、従業員配布率で見ると「配布率80%以上」が8.3%、「配布率60%以上80%未満」が6.7%で、合計15.0%が「配布率60%以上」となった。以降、「配布率30%以上60%未満」は16.7%、「配布率10%以上30%未満」が24.2%、「配布率10%未満」が20.1%で、残りの24.0%が「配布していない」となった。
 スマートフォンのみの従業員への配布台数は「3,000台以上」の企業が1.8%、「500台以上3,000台未満」が3.3%、「100台以上500台未満」が4.9%、「30台以上100台未満」が6.1%、「10台以上30台未満」が6.9%、「1台以上10台未満」が7.1%で、残りの69.9%が「配布していない」となった。


※データの詳細については
「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートフォンの導入配布状況・ニーズに関する調査」として近日発売予定。

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■調査概要

1.調査対象  :従業員数100人以上の大手・中堅企業及び学校・医療福祉法人の総務部門
2.回答件数  :508社(508人) ※1社1回答
           ※この他に、比較用として従業員数10人以上100人未満の中小企業361社(361人)も調査し、合計で社の結果を分析
3.従業員数属性:5,000人以上15%、3,000人以上5,000人未満4%、1,000人以上3,000人未満16%、500人以上1,000人未満13%、300人以上500人未満12%、100人以上300人未満40%
4.業種別属性 :建設7%、製造27%、流通12%、金融6%、通信・IT関連サービス9%、サービス23%、 学校・医療福祉12%、その他4%
5.調査方法 :Webアンケート
6. 調査期間 :2013年9月13日(金)~10月7日(月)


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■NTTコム リサーチについて
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービス。NTTコム リサーチの厳しい管理基準をクリアした「NTTコム リサーチ・消費者」モニター(73.8万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「NTTコム リサーチ・ビジネス」モニター(8.9万人)、携帯電話でアンケートに答える 「NTTコム リサーチ・モバイル」モニター(15.2万人)を含め、延べ101.4万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応する。(モニターの人数はいずれも2013年11月現在)
※2013年12月9日に「gooリサーチ」の名称を「NTTコム リサーチ」に変更。


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2. 報道機関が引用する場合は、出典を「MM総研」と明記してください(MMは全角)。数値等は表ではなくグラフ化して掲載してください。
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