大賞はSkyDriveの電動垂直離着陸機「SKYDRIVE」
「MM総研大賞2025」審査結果を発表
2025年06月26日
■大賞は日本発の電動垂直離着陸機「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」
■スマートソリューション部門賞は日本IBM、ソフトバンクグループ、NVIDIA、
NTT東日本/NTT西日本、NEC、KDDI、NTTデータ/Marble Visions、関西MaaS協議会、
三菱商事/KDDI/ローソン、小米技術日本(シャオミ・ジャパン)、ソラリスなど13件
■話題賞はグーグル合同会社のリサーチや執筆のためのAIアシスタントツール「NotebookLM」
ⅠCT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、「MM総研大賞2025」(審査委員長:村井純 慶應義塾大学特別特区特任教授)の最終審査を終え、「大賞」「スマートソリューション部門最優秀賞」「話題賞」を決定した。MM総研大賞はICT市場の発展を促すことを目的に2004年に創設した表彰制度。今回で22回目となる。
最高鋒にあたる「MM総研大賞」は受賞対象の中からICT市場の発展に最も寄与すると評価された技術やサービスなどを選んだ。次世代のスマート社会を支える技術やサービスなどを表彰するスマートソリューション部門の「最優秀賞」には12分野の技術やサービスなどを選定した。ICT分野にとどまらず、社会的に大きな話題となった技術やサービスなどを「話題賞」として選出した。
1.「MM総研大賞」
SkyDrive 「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」
SkyDriveが開発する電動垂直離着陸機(eVTOL)「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」は、ヘリコプターと比べて静粛性や軽量化による利便性、機体構造がシンプルゆえの経済性などが期待されている。開催中の大阪・関西万博では公開デモフライトを実施しており、新たなモビリティ誕生の「産声」として注目を浴びた。世界でeVTOLの開発競争が激しくなる中、世界で張り合える国産機としての将来性と革新性が高く評価された。これによりスマートソリューション部門の次世代モビリティ分野での「最優秀賞」に加え、すべての技術・サービスの中で最高評価に値すると判断され、MM総研大賞2025の「大賞」を獲得した。
2. スマートソリューション部門賞
スマートソリューション部門では12分野で下記13の技術・サービスが最優秀賞に選出された。
■AI分野 最優秀賞
AI(人工知能)の利活用が世界的に進むなか、ビジネス領域に最適化され、AIの迅速な開発と利用に必要となるデータや機能を備えたAIプラットフォームの開発が加速している。AGI(汎用人工知能)やASI(人工超知能)の開発や社会実装に向けた投資も進んでおり、このAI分野では日本IBMとソフトバンクグループが最優秀賞を受賞した。
日本IBM 「watsonx」
企業向けのAIプラットフォーム「watsonx」は、独自の小規模かつオープンな言語モデル「Granite」はじめ複数モデルから選択することができる。ビジネス変革、コード生成などITモダナイゼーション・変革の両面で貢献する点が高く評価された。
ソフトバンクグループ 「Stargate Project」や「クリスタル・インテリジェンス」など、AGI、ASIの実現に向けた取り組み
AIの社会実装に向けた動きが加速する中で、AIインフラを構築する「Stargate Project」や企業用最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」を発表するなど、AIの社会実装およびAGI、ASIの実現に向けたグループ総力での取り組みが高く評価された。
■半導体分野 最優秀賞
NVIDIA 「NVIDIA Blackwell」
AIの演算処理に高度に最適化されたCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)などの半導体はデータセンター向けやデスクトップ、ワークステーション製品など幅広い領域で需要が高まっている。半導体分野ではNVIDIAの「NVIDIA Blackwell」が最優秀賞に選定された。生成AIとアクセラレーテッド コンピューティングの新時代を支えるGPUアーキテクチャであり、非常に高い処理性能を持つ。同社の小型AI スーパーコンピューターである「NVIDIA DGX Spark」にも搭載されており、AIの大規模な学習から推論までを支える製品力や将来性が高く評価された。
■光通信サービス分野 最優秀賞
NTT東日本/NTT西日本 「All-Photonics Connect powered by IOWN」
ネットワークから端末まで、通信ネットワークの全区間で光波長を占有することで、低消費電力、高速・大容量、低遅延の高品質な伝送を実現する光通信サービスの提供が始まっている。光通信分野ではNTT東日本とNTT西日本の「All-Photonics Connect powered by IOWN」が最優秀賞に輝いた。ユーザー拠点間の帯域保証型通信としては世界高水準の最大800Gbpsの帯域対応、高速・大容量通信、低遅延が特徴で、データセンター間接続や通信キャリアのバックボーン、遠隔医療での活用などその将来性が高く評価された。
■光通信インフラ分野 最優秀賞
NEC 「光海底ケーブル事業」
世界的なデータ通信需要拡大のなかで、大陸間や世界各国を結ぶ光海底ケーブルの需要が高まっている。光通信インフラ分野で最優秀賞を獲得したのがNECの「光海底ケーブル事業」である。国際的な通信で重要な役割を果たす光海底ケーブルで世界トップクラスの実績を誇る。デジタルインフラの構築を設計・製造から工事までトータルソリューションで提供し、国際社会の発展を支える点が高く評価された。
■非地上通信分野 最優秀賞
KDDI 「au Starlink Direct」
非地上通信は地上だけでなく、海、空、宇宙に至るまで、あらゆる場所を多層的につなぐ通信網である。災害時や山間部などでの通信確保に加え、新しいサービスの創出なども期待される非地上通信分野では、KDDIの「au Starlink Direct」が最優秀賞に選出された。スマートフォンが通信衛星と直接つながり、空が見えればどこでもテキストメッセージの送受信が可能となる。通信インフラの整備が困難な場所や災害時の通信手段として、その有用性や将来性が高く評価された。
■衛星データ分野 最優秀賞
NTTデータ/Marble Visions 「Marble Visionsの取り組み」
宇宙技術の進化とともに、地球上のデータを高頻度かつ高精度に観測できる技術が確立してきた。AIによる解析技術の向上もあり、衛星データを活用する商用サービスの拡充に向けた動きが活発化している。衛星データ分野で最優秀賞に輝いたのがNTTデータ/Marble Visionsの「Marble Visionsの取り組み」である。衛星データから3D地図を作成する技術「AW3D」を活用し、衛星画像の撮像から解析までをワンストップで提供し、デジタルツイン構築を支援するMarble Visionsの成長性が高く評価された。
■地域モビリティ分野 最優秀賞
関西MaaS協議会 「KANSAI MaaS」
地域の主要交通事業者を中心とした事業者間連携により、地域モビリティの利便性向上や交通課題解決の動きが広がりつつある。地域モビリティ分野では関西MaaS協議会の「KANSAI MaaS」が最優秀賞を受賞した。関西に路線を持つ鉄道会社7社が共同で提供するスマートフォン向けのアプリで、日本初の鉄道事業者の連携による広域型MaaSとしての取り組みや大阪・関西万博の観光需要促進に貢献している点などが高く評価された。
■次世代モビリティ分野 最優秀賞
SkyDrive 「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」
※大賞を参照
■DX支援分野 最優秀賞
NEC 「BluStellar」
デジタル関連事業やサービスをブランド化し、オファリングメニューとして顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する動きが広がっている。DX支援分野の最優秀賞に輝いたのがNECの「BluStellar」だ。先進的な知見と最先端テクノロジーにより、ビジネスモデルを変革し、社会課題と顧客の経営課題を解決に導くNECのDX事業ブランド。SIの豊富な知見・実績をもとに型化されたサービスを安心に最速で提供する。生成AIや顔認証など独自技術を含む点が高く評価された。
■DXソリューション分野 最優秀賞
三菱商事/KDDI/ローソン 「未来のコンビニ『Real×Tech Convenience』などにおける協業」
深刻な人手不足のなかで業務効率化が喫緊の課題となっている小売業界に向け、DXソリューションの開発が進んでいる。DXソリューション分野で最優秀賞を獲得したのが三菱商事/KDDI/ローソンの「未来のコンビニ『Real×Tech Convenience』などにおける協業」である。通信とデジタル技術を基盤に、スマホレジやAIサイネージ、リモート接客など生活に根ざした技術の社会実装に取り組んでおり、ブランド力や事業基盤、Ponta経済圏を活かした拡張性と社会的インパクトが高く評価された。
■スマートデバイス分野 最優秀賞
小米技術日本(シャオミ・ジャパン) 「コストパフォーマンスの高いスマートフォンなどの製品群」
高機能化や物価高の影響などにより、スマートデバイスの価格上昇が続いている。こうした状況のなか、スマートデバイス分野で最優秀賞に輝いたのが小米技術日本の「コストパフォーマンスの高いスマートフォンなどの製品群」である。「ハードウエアの利益率を永久に5%以下に抑える」としているシャオミは2019年に日本のスマートフォン市場に参入し、2024年以降、家電製品や日用品のラインアップも拡充するなど、コストパフォ―マンスに優れた多様な製品を展開している点が高く評価された。
■次世代ロボット分野 最優秀賞
ソラリス 「ミミズ型管内走行ロボット『Sooha(R)』」
近年の道路陥没件数の増加など、社会インフラの老朽化対策は喫緊の社会課題だ。次世代ロボット分野で最優秀賞に選定されたソラリスの「ミミズ型管内走行ロボット『Sooha(R)』」は世界初の空気圧人工筋肉を利用したロボットで、ミミズのように伸縮動作を繰り返しながら前進することができる。配管内での点検・清掃作業が可能で、細管内など人や他のロボットが入れず維持管理が難しい場所のインフラ整備で活躍の可能性が高く評価された。
3. 話題賞
グーグル合同会社 「リサーチや執筆のためのAIアシスタントツール『NotebookLM』」
ICT産業に大きなインパクトを与えた技術・サービスなどを表彰する「話題賞」には、グーグル合同会社の「リサーチや執筆のためのAIアシスタントツール『NotebookLM』」が選出された。複雑な情報を整理し、新たな洞察を生むAIノートツールで、学生の研究論文作成やビジネスパーソンの市場分析、クリエーターのアイデア発想に加え、 教育現場などにも応用できる有用性が高く評価された。
MM総研大賞2025は「MM総研大賞」兼「スマートソリューション部門最優秀賞」の共同受賞の1件、 スマートソリューション部門の「最優秀賞」12件、「話題賞」1件の合計14件となった。
■MM総研大賞2025」概要
【補足1】MM総研大賞の開催趣旨」
「MM総研大賞」はICT市場の発展を促すためMM総研が2004年に創設した表彰制度です。2025年度の今回が22回目になります。ICT分野における優れた技術やサービスなどで新商品や新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰いたします。
【補足2】表彰対象
1.MM総研大賞
2. スマートソリューション部門 (12分野)
①AI分野
②半導体分野
③光通信サービス分野
④光通信インフラ分野
⑤非地上通信分野
⑥衛星データ分野
⑦地域モビリティ分野
⑧次世代モビリティ分野
⑨DX支援分野
⑩DXソリューション分野
⑪スマートデバイス分野
⑫次世代ロボット分野
3. 話題賞
【補足3】評価基準/評価方法
◆「MM総研大賞」
「スマートソリューション部門最優秀賞」に選出された技術・サービスなどのなかから、審査委員会が「スマート社会への貢献度」「今後のICT産業への影響度」などを選考基準に総合的に決定する。
◆「スマートソリューション部門最優秀賞」
スマート社会の核となるスマートソリューションが対象。技術やサービス全般に対する「認知度」「信頼性」「使いやすさ」「先進性/革新性」「独創性」「価格妥当性」「市場性」に加え、「基盤製品・サービスとしての可能性」(技術やサービスの上に大きな付加価値市場ができ上がる基盤サービス・製品となる可能性)などを評価基準とする。消費者及びビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1500件)、候補企業に対するMM総研研究員の取材活動による評価を基準として、外部有識者からなる審査委員会の 協議により受賞企業を決定する。
◆「話題賞」
話題賞はICT産業に大きなインパクトを与え話題を集めた技術・サービスなどを対象とする。2024年度における話題性に加え、今後のICT産業全体への影響の大きさを評価基準とする。消費者及びビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1500件)をもとに選出した技術・サービスなどのなかから、外部有識者からなる審査委員会が話題性や今後のICT産業への影響などを選考基準に決定する。
【補足4】審査委員
審査委員長 村井 純 慶應義塾大学特別特区特任教授
審査委員 天野 肇 一般社団法人モビリティ・イノベーション・アライアンス理事長
審査委員 篠﨑彰彦 九州大学大学院経済学研究院教授
審査委員 石戸奈々子 NPO法人CANVAS理事長
審査委員 西田宗千佳 フリージャーナリスト
審査委員 高橋樹生 株式会社MM総研 研究課長
以上
本件に関するお問い合わせ先
(株)MM総研
担 当 : 池澤、上田
所在地 : 105-0011 東京都港区芝公園2-6-3 芝公園フロントタワー
連絡先 : 03-5777-0161