出荷金額が減少に転じる

「2024年度上期国内 PCサーバー出荷台数調査」

2024年12月24日

■出荷台数は前年度同期比9.4%減の15万3661台と減少が続く

■出荷金額は同6.9%減の1280億円と減少に転じた

■仮想化ソフトウエアの価格改定がサーバー入れ替えの重荷に

概要

 

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、2024年度上期の国内PCサーバー出荷台数を調査しその概要をまとめた。2024年度上期の国内PCサーバー出荷台数は15万3661台(前年度同期比9.4%減)と上期としては2020年度から5年連続の減少となった(データ1)。オフィス用途などオンプレミス向けのPCサーバー※1需要がパブリッククラウドにシフトしたことに加え、基幹システム向けのサーバー集約も足踏みし、台数減となった。出荷金額は1280億円で同6.9%減となった(データ2)。企業のERPなど基幹業務向けのアプリケーションや、データの利活用に向けたデータ統合などデジタライゼーション向けのサーバー投資は続くが、仮想化ソフトウエアの価格改定の影響でシステム全体のリプレース費用の増加が見込まれ、サーバー入れ替えの鈍化につながっている。

 

※オンプレミスサーバー・・・サーバー利用者が管理する施設内(社内のサーバールームやデータセンターなど)

に設置、運用されているサーバーのこと

 

【データ1】2024年度上期国内PCサーバー出荷台数実績と予測

 

 

詳細

◆サーバー所有は基幹業務にシフト

2024年度上期は出荷台数だけでなく出荷金額も減少した。グループウエア、ファイル、プリントサーバーなどオフィスに設置されていたサーバーの需要は減少し、Microsoft365などパブリッククラウド上のSaaS利用が進む。一方で、企業財務会計や受発注情報などを処理する基幹システムは、企業自らがサーバーを所有してプライベートクラウドとして構築するなど、すみ分けが進んでいたが、サーバーを構成する仮想化ソフトウエアの価格改定により企業のサーバー入れ替え時の負担金額が増加したことが重荷となり、出荷台数、金額ともに伸び悩んだ。今後、基幹システムのインフラ企業内の業務自動化やデータ活用に向けたサーバーの入れ替えは必須だが、仮想化ソフトウエアの価格改定に伴い、今後のサーバーインフラ更新計画を抜本的に見直さなければならない企業も出ており、リプレースに時間がかかっている。出荷単価は、2024年度上期で83.3万円と前年度上期と比較し2.2万円の上昇となっている。

 

【データ2】2024年度上期国内PCサーバー出荷金額実績と予測

 

 

◆2024年度下期も単価上昇は続くが、通期出荷金額は2670億円と減少を見込む

2024年度下期の出荷台数は前年度同期比4.9%減の16万4220台と減少を予測する(データ1)。また下期出荷金額も同5.0%減の1390億円を見込む。2024年度通期出荷金額も2670億円(前年度比5.9%減)と減少に転ずると予測する。業務でのAI(人工知能)活用は、「2025年の崖」といわれる基幹系システムの近代化(モダナイゼーション)後に本格化すると予測するが、大手仮想化ソフトウエアベンダーの価格改定が、AI活用に向けた企業のモダナイゼーシに思わぬ影響を与えている。企業は仮想化ソフトウエアメーカーの変更を含む代替手段の検討が必要となっている。なお、生成AIの活用に向けたGPU(画像処理半導体)やNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)と呼ばれるAI向けサーバーのプロセッサーは高額で、単価上昇の要因となる。現時点では研究開発やソフトウエア産業内でのAI開発利用にとどまり、本格的な業務利用需要につながっていないが、早ければ2025年度以降に業務系サーバーでもGPU活用が広がる可能性がある。

 

【PCサーバーの定義】

・PCサーバーとは32bitベースの汎用CPUと汎用OSを組み合わせた企業向けサーバーを指す。従来は企業内システムでのファイル・プリンタ共有など情報系システムを中心に活用されてきた。現在ではCPU性能と製品全般の堅牢性・信頼性の向上に伴い、独自OS・独自64bitCPUで構成するUNIXサーバーの牙城であったDBサーバーなどの基幹系システムにも浸透。金額ベースで全サーバー出荷金額の50%以上、台数ベースでは95%を占める。

・本統計にはメガクラウド事業者等がODMメーカー等から調達する自社専用設計のPCサーバーを含んでいない。

 

■報道に際しての注意事項

  1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析について、報道機関限定で詳細データを提供するものです。
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■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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