子供のスマートフォン所有率は47.9%

「子供のスマートフォン利用実態」(2024年8月調査)

2024年09月25日

■18歳未満の子供のスマートフォン所有率は47.9%

■子供のスマートフォン利用時間は1週間あたり1,219分(20時間19分)

■利用時間を制限するルールを設けるも、子供のスマートフォン依存を懸念

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は子供を持つ親に対してWebアンケート調査を実施し、子供のスマートフォン所有状況やサービスの利用実態をまとめた。子供の年齢は2024年8月の調査時点。

子供の携帯電話端末※1所有状況を聞いたところ、5~17歳の子供の47.9%がスマートフォンを所有していると回答。小学生から中学生へ進む節目の12歳でスマートフォン所有率は60.9%と過半数を超えた。5~11歳では「携帯電話端末を所有していない」が過半数を占めた。キッズ端末の所有率は6~12歳合計で11.8%、各年齢でみても10%前後となった。
※1:「キッズ端末」「フィーチャーフォン」「スマートフォン」の3分類。それぞれ新品・中古を含む(中古には購入したものだけでなく、家族などからの譲渡品も含む)

スマートフォン利用時間は1,219分/週

5~17歳の子供の1週間あたりのスマートフォン利用時間※2は1,219分(20時間19分)となった。18~69歳のスマートフォン利用者の1週間あたりの利用時間(1,213分=20時間13分)との差は6分で、子供の方がわずかに長かった。
※2:選択肢ごとに設定した係数を掛け合わせた加重平均による算出

子供が利用するスマートフォンの利用機能・サービスは「通話アプリを利用した通話」(84.5%)が最も多く、次いで「インターネット検索・情報収集」(79.9%)、「カメラ撮影(写真撮影)」(79.3%)、「動画視聴」(77.0%)、「メール・メッセージの送受信」(72.3%)と続いた。上位5つの機能・サービスが利用率70%超となった。

スマートフォン依存が問題に

子供がスマートフォンを所有していることで感じている懸念・不安と実際に経験したトラブルについて確認したところ、懸念・不安については「スマートフォン依存」が48.2%で最多だった。次いで「視力の低下」(43.5%)、「いじめ・友人間のトラブル」(35.6%)、「学力の低下」(34.3%)、「犯罪に巻き込まれる」(31.3%)、「歩きスマホ・ながらスマホ」(30.0%)の上位6つが30%超となった。

実際に経験したトラブルについては、懸念・不安と同様に「スマートフォン依存」が最多で14.0%だった。次いで「視力の低下」(12.5%)、「学力の低下」(8.6%)、「歩きスマホ・ながらスマホ」(6.0%)、「集中力の低下」(5.2%)の上位5つが5%超となった。

 

また、子供のスマートフォン利用で設けているルールとその中で破られたことがあるルールについて確認した。設けているルールは「1日当たりの利用時間」が27.7%で最も多かった。次いで「アプリ・サイト内課金の禁止」(26.0%)、「有料アプリのダウンロードの禁止」(23.0%)、「歩きスマホ・ながらスマホの禁止」(22.3%)、「利用可能な時間の制限」(20.8%)の上位5つが20%超となった。

破られたことがあるルールの1位も「1日当たりの利用時間」で16.7%だった。次いで「利用可能な時間の制限」(9.2%)、「歩きスマホ・ながらスマホの禁止」(8.6%)の上位3つが5%超となった。

子供のスマートフォンを利用する上で設けているルールでは、利用時間に関するものが最も多かったものの、実際の1週間あたりの利用時間は大人の利用時間よりも若干長い結果となった。スマートフォンを利用する時間の制限がなくなれば、より利用時間が長くなることが推察できる。スマートフォンを所有する子供の親が最も懸念・不安を持ち、実際に経験もしているとおり、子供のスマートフォン依存の問題をどうするかは大きな課題だ。 

世界でも子供のスマートフォン依存、特にSNSへの依存が懸念されている。本アンケート調査でも懸念・不安に「いじめ・友人間のトラブル」や「犯罪に巻き込まれる」は上位に挙げられているが、海外でもSNSがこうしたトラブルなどにつながるとして社会問題化されている。米国では35州で子供のSNS利用を制限する動きがあり、フロリダ州では2024年3月に14歳未満の子供はSNSのアカウントを保有することを禁止する法案が成立した。オーストラリアでも14歳未満のSNS利用を禁止する法案が年内に提出される見通しだ。

こうした動きの中、2024年9月に米メタは運営するSNSのInstagramにおいて、18歳未満の安全性を強化する新機能を発表した。初期設定でアカウントが非公表となることや、利用時間が1日60分を超えると利用中止を促す通知が届くようになるなどの機能が加わる。日本では2025年1月から適用される見込みだ。日本では国としてSNS利用を規制・禁止する動きはないが、SNS運営会社による自主的な取り組みが子供のスマートフォン依存の解消やトラブル減少につながり、健全なスマートフォン利用が子供の成長に貢献することに期待したい。

 

当該調査についての詳細は、市場分析レポートの販売を予定しております(2024年11月頃)

 

■利用者アンケートの調査概要
1. 調査対象:プレ調査 子を持つ親/本調査 5~17歳のスマートフォンを保有する子を持つ親
2. 回答件数:プレ調査10,128人/本調査1,316人
3. 調査方法:Webアンケート
4. 調査時期:2024年7~8月

参考1:MM総研「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態(2024年7月調査)」
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=638

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■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

 

 

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