今後5年間で法人市場にAIパソコンが普及

「AIパソコンの国内法人市場予測」

2024年07月01日

■MMRIが独自設定した普及シナリオを基に国内法人向けPC市場を予測

■2023年からの5年間で法人市場に浸透 2030年度には総出荷台数の70%を占める

■情報検索時間の圧縮など、ホワイトカラーの生産性改善の切り札に

概要 

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI、東京都港区、関口和一所長)は、AI(人工知能)パソコンの国内法人市場予測をまとめた。2023年度から登場したAIパソコンは.今後5年間で急速に普及が進み、2028年度には法人向け年間出荷台数の3分の2に相当する525万台規模まで需要が拡大する見通し(データ1)

 

2025年度に基本ソフト(OS)「Windows10」のサポート終了に伴う更新特需が予想される法人向けパソコン市場だが、AIがパソコンのインターフェイスとなることで買い替えサイクルが変化し、2026年度以降はOS更新サイクルとは別に安定的に市場全体の需要が拡大していくと予測される。

 

【データ1】日本のAIパソコン 法人市場規模予測

 

 

詳細

AIパソコンは比較的小規模なパラメーター数のAIモデルをパソコン内部のAI処理に強いNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)を活用して処理することで、クラウドを経由せずAIを利用することができる。2024年5月に米マイクロソフトが発表した「Copilot+PC」はパソコン内部のデータを検索し、必要なファイルやテキストを順次に探し出すRecallと呼ぶAI新機能などを搭載している。MM総研はこれらの諸機能を踏まえ、AIパソコンの普及シナリオを設定したうえ(データ2)、ユーザーのAIおよびPCへの投資動向を踏まえた予測を実施した。ホワイトカラーの生産性向上に課題を持つ日本企業は、AIパソコンが得意とする情報検索、整理、要約や翻訳といった機能に着目し、積極的に投資するとみられる。

なお、AIパソコンの普及は大企業がけん引するとみられ、形状別ではモバイルノートブックがけん引役と予想する。

 

【データ2】AIパソコン 法人市場向けの普及シナリオ

 

 

【データ3】パソコンの投資とAI活用の関係

企業の情報システム部門への調査によると、PC投資を実際に増やす企業は、生成AIの活用にも積極的であることがわかった(データ3)。労働人口の減少を見据え、従業員個人の生産性を上げていくことが企業にとっても重要なテーマとなっていることがうかがえる。しかし生成AIを活用する意向の高い企業の特徴として、AI人材を外部から採用し、利用を推進している実態もうかがえる(データ4)。現時点でのAI活用は結局人材によるところが大きく、AIパソコンが提供する「誰もがすぐ実践できる」ターンキーソリューションが市場で求められており、AIパソコンの普及ドライバーとなると予測する。

【データ4】生成AIを活用する企業の特徴

以上

 

AIパソコンの定義

AI推論・処理用のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を内蔵するCPUを搭載していること

内蔵のNPUおよびGPUなどを活用し、デスクトップ側でAI処理を高速化するプログラムをOS、アプリ、ブラウザーレベルで利用することができる。

現時点で想定するキーコンポーネントの性能としてNPU40Tops前後以上、メモリー16GB以上

 

予測の前提

2024年5月にWin11OSに統合されたアプリケーションとして発表されたRecallを含む「copilot+PC」のすべての機能が、24年度下期以降、正式版として利用開始となること

AIプログラムが、すべてエッジ側で処理されているか否かは問わない。ただしエッジ側にSLM*などの処理プログラムが含まれ、必要に応じて一部の処理がクラウド側のLLM、LMM*など一体処理されるプログラムもAIプログラムに含む。

 

為替(円ドル)は、155円を想定し需要量を予測している。

モバイルノートタイプは画面サイズ14インチ未満。

タブレットOS(iPad、Android)/スマートフォンOS(iOS他)を搭載したタブレット、スマートフォン機は予測に含めていない。

*SLM スモールランゲージモデル、LLMラージランゲージモデル、LMMラージマルチモーダルモデル

 

分析に活用したアンケート調査の概要

2024年4月実施
日本国内の法人※パソコン&Tablet調達担当者(情報システム部門等) 回答数n1794

 ※法人は、民間および政府自治体・医療機関等としGIGAスクール市場は調査対象としない

 ※アンケートによる購入意向調査については、従業員数セグメントは括弧内のとおりとして分析している(25 -300人、301-999人、1001-3000人、3001人以上)

 

■報道に際しての注意事項

  1. 本プレスリリースは、MM総研が実施した市場調査の結果と分析について、報道機関限定で詳細データを提供するものです。
  2. 出典を「MM総研」と明記して下さい(MMは全角)。
  3. 数値などは表ではなくグラフ化して掲載して下さい。
  4. MM総研の独自調査結果であり、公的機関の統計や企業の公表数値などと異なることがあります。また、作成時点におけるものであり、今後予告なしに変更されることがあります。
  5. 本データを報道以外の以下用途で無断利用することを固く禁じます。
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  6. 調査の詳細、研究員コメント、データ利活用などについては、担当者までお問い合わせ下さい。 

■MM総研について

株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社です。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀以上にわたって経験と実績を重ねてきました。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供しています。

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